サインボードを作ってみた(ver.3)

(初稿:2007.9.17/作業日:2007.6.30〜2007.7.17)
私、まったくの「ど素人」なので、用語の使い方とかパーツの名前とか間違って使っている可能性があります。ウソは書いていないつもりですけど、書いてあることを鵜呑みにしないでください。



 レース中のライダーに情報を伝達する方法は、サインボードしかありません(無線機の使用はレギュレーションで禁止されています)。
 サーキットで他のチームのサインボードを眺めていますと、それこそ千差万別。とは言うものの、基本的には広いボードの上に文字数字を並べてライダーに伝える。伝え方のルールがチームごとに異なっていて、「今のサインで何を伝えたのだろうか」と、想像してみるのも面白い。

 さて、タイトルでお解りのとおり、サインボードの作成は今回が初めてではありません。ver.1は、2001年のK4-GP出場に合わせて作成。ver.2は、2輪のレースに携わるようになってから作成。今回のものはver.3となります。
 基本的なコンセプトとして、(1)見易いこと、(2)文字数字の入れ替えが容易であること、(3)軽量であること、の3点を重視しています。

 サインボードで文字数字を表現する方法は大きく分けて2種類あります。(1)文字数字を溝に差し込む、(2)プレートを裏返して文字を表現する。ここでは便宜的に前者を「アナログ式」、後者を「デジタル式」と呼びます。
 それぞれの長所短所を私なりにまとめてみました。

 過去に作成した2つは、アナログ式でした。私自身がデジタル式の文字表示が好きでない、というのが一番の理由です。しかし、今回はデジタル式+@で作成してみました。同じ作るなら、市販品に無いものを取り入れて、より見易いものにしよう。ということです。

 前置きはこのくらいにしまして、画像中心で作成レポートをお届けします。

(1)材料を準備する。
 基本的にはホームセンターや文房具店で全て揃えることができるものばかりです。

アルミフレーム
プラダン(ダンプラ)
低発泡塩ビ板
カッティングシート(白・黒)
アルミの棒(正式名称忘れた)
ゴムひも
棚受け用のアングル


(2)レイアウトを決める。
 今回は、アナログ式とデジタル式の「いいとこ取り」とするため、ハイブリッド方式にしてみます。

デジタルな文字を印刷して
並べてみました。
最下段はアナログ式。

 ライダーから見易くするためには、文字を大きくする必要があります。しかし、なるべく沢山の情報を伝えるためには文字数は多い方がいい。限られたスペースの中で妥協点を探ります。
 結果、一段あたり4文字×3段に落ち着きました。ラップタイムを0.01秒単位で表示する必要もないですし、残り周回数を3桁で表示することもないでしょう。あとはライダーと表示のルールさえ決めておけば、4文字でコミュニケーションを図ることは可能だと思います。
 3段のうち、最下段はアナログ式の表示ができるようにしてみました。上の方の空きスペースにチーム名を入れているところが多いんですけど、そのためのスペースがもったいなく、逆に何もないのがうちのチームだと、判別にも使えますし。
 で、1段あたりの文字サイズを最大限にとってみると、上の画像のようになりました。

(3)本体を組み立てる。
 組み立てると言っても、ダンプラをフレームのサイズに合わせて切って、最下段のアングルを固定して、取っ手を付けただけなんですけどね。
取っ手をボルト留め。
アングルをボルト留めして、
ダンプラを差し込んで、
本体の完成。

 で、何故本体が青いかというと、白とか黒だと他のチームと見分けがつかない、とライダーが言うものですから。そこで、ありそうで無い色を選んだら青になった。というわけです。(青=スズキの色と受け取っていただいても結構です)

(4)文字を作る。
 web上に自作サインボードのページが結構あります。今回デジタル式で作成するにあたり、参考にさせてもらおうかと思ったのですが、私のイメージするものと少し異なっていましたので、文字のデザインから固定方法までオリジナルでやってみました。
文字のデザイン。
縦の線がなるべく長くなるように。

 普通に考えると、六角形に文字ピースを切り出せば全て共通で手間もかからないんですが、文字にしたときに違和感が大きいんですよ。例えば、縦の線がメインとなる文字(1,4,7)と上下の横の線を使う文字(2,3,5,6,8,9,0)を並べると、縦メインの文字が小さくなります。単純計算で1ピース分文字の高さが小さくなる。
 そこで、縦メインの文字がなるべく大きくなるように文字をデザインしてみました。これをやるとピースごとの互換性はなくなりますが、より見易くなるんじゃないかと淡い期待。

切り出した文字を
カッティングシートの上に
貼り付けます。

 デザインした文字を発泡塩ビ板に貼り付けて、切り出します。で、文字の裏側に色を付けなければいけないのですが(同じ色じゃ意味が無い)、今回はカッティングシートを使ってみました。

(5)本体に取り付ける。
 切り出したピースの両端に穴を開け、本体側にも同様に穴を開けてゴムひもで固定します。文字ピースだけで、7ピース×8文字×2箇所=112箇所の穴を開けなければなりません。私はこのためにボール盤を買いました。(というのは大げさですけど、前から欲しいと思っていたボール盤を買うきっかけになったことは事実です)
 さすがに機械の力を借りると、作業も早いし仕上がりも綺麗。本体側は錐で開けました。(ダンプラが軟らかいので、ほとんど刺すだけで開いてしまう)
まだ固定前。
いい感じ。
8以外の文字がどのように
表示されるかシミュレーション。
やっぱり1,4,7が小さい。
ゴムひもで固定した裏面。
縛った余りはカットします。


(6)完成。
 ほぼイメージどおりにでき上がりました。
縦線の穴開け位置が真中では
ないため、裏返したときに隣の
文字と重なります。
文字の大きさを優先したので、
これは最初から織り込み済み。
同様に端っこの文字ではフレームに
重なります。
ver.2と並べてみました。
フレームサイズは同一。
ver.2の方が文字は小さいですが、
私はこっちの方が好き。
ちなみにver.2の文字は
こんな感じで差し込んで
使います。


(7)検証。
 実戦(鈴鹿4耐)で使用した結果、ライダーからは「見易い」という評価をいただきました。青バックもすぐに見つけるとこができたらしいですし。

(8)その他。
 アルミフレームの四隅の強度が低いので、使っているうちにそこが折れてしまいます。アングルで補強する必要があります。
 また、捩れに弱いため、今回のように横バーを入れないと使い物になりません。裏でもいいので、一段目と二段目の間にも入れるべき。ver.2はその点丈夫ですよ。
 材料費と作成手間を考えると、市販品でもいいんじゃないかと思えてしまいます。








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