ステアリングホイールの交換

(初稿:2003/8/12)



 SRSエアバッグ標準装備が当たり前となった今日この頃ですが、我が家の車たちに付いているものは一台もありません。元々エアバッグだけで安全性を確保できるものではなく、あくまでシートベルトの補助装置としての役割しか果たさないわけですから、無ければ無いで何とかなるもんだとは思っています(決してエアバッグの有効性を否定するものではありませんので、誤解なきよう)。
 さて、エアバッグが無いということは、ステアリングホイールが結構簡単に交換できてしまうものなんですね。
 ステアリングホイールはドライバーとクルマをつなぐインターフェイスの中でも重要な部分です(と、私は思っています)。常に手が触れているところなので、その感触を含めて色んな意味で気を遣いたいパーツです。
 基本的にノーマル至上主義な私ですが、ことステアリングホイールに関しては例外です。ただし、ノーマルのステアリングホイール全てがダメだとは言いません。例外的に私が付ける条件は、

といった、至極当然のことだけです。

 前振りはこのくらいにしておいて、今回はステアリングホイールを交換する時に「これだけは要チェック」というポイントについて、私の経験からお伝えしたいと思います。

(1)ナルディとモモ

 よく「ナルディタイプ」とか「モモタイプ」といいますが、「ナルディ」「モモ」はそれぞれステアリングホイールのメーカーです。しかもメジャーな。さて、この2社が代名詞となっている「タイプ」とは一体何なんでしょうか。
 それは「穴の位置」です。自動車用品店等で現物を見ていただければお判りのとおり、アフターマーケット用ステアリングホイールはそのままではステアリングシャフトに装着できません。中心部分に大きな穴が開いていて、その穴の周りを小さな穴が6つ取り囲むように配置されています。この小さな6つの穴の位置が「ナルディタイプ」と「モモタイプ」を分けるものです。

これが「ナルディタイプ」の穴の位置。
6角形の辺が上になっています。
これが「モモタイプ」の穴の位置。
6角形の点が上になっています。

 また、中心の穴の直径も2つのタイプで異なっています(モモが小さい)。お気に入りのホーンボタンがそのまま装着できなかったりする場合があるので注意が必要です。
 さらに後述するボスアダプターの中にはそれぞれの専用となっている場合があるので、これもまた注意が必要です。

(2)ステアリングボスアダプター

 先ほど少し述べましたように、車側のステアリングシャフトとステアリングホイールを結ぶパーツが「ステアリングボスアダプター(略してボス)」です。このボスは車のメーカー別又は車種別に設定されていますので、必ずご自分の車のタイプに合ったものを使用してください。また、ユニバーサルタイプでないボスはナルディタイプ専用かモモタイプ専用となっていますので、これまた装着しようとするステアリングホイールに合ったものを選んでください。
 もう一つ注意しなければならない点があります。ボスのメーカーによっては装着したステアリングのオフセット量が変わる場合があります。純正装着ステアリングのホーン接触面からステアリングまでの距離をあらかじめ測っておいて、交換しようとするステアリング+ボスの長さと等しくなるよう組み合わせる必要があります。この長さを合わせておかないと、ウィンカーレバーやワイパーレバーと手が干渉したり、逆に遠くなって届かなくなるといったことが起こります。

左から
CARA純正・ナルディ+WJRボス・MS+ダイケイボス。
純正とMS+ダイケイはほぼ同じ長さ。
左から
フレンディ純正・ナルディ+WJRボス・MS+ダイケイボス。
純正とMS+ダイケイはほぼ同じ長さ。
WJRボスの短さがよくわかるかと思います。
また、CARAとフレンディそれぞれの純正でもずいぶん長さが
違いますね。
その短いボスのまま装着した例。
ステアリングを握るだけでウィンカーレバーに干渉します。
10mmのスペーサーを入れた状態。
ステアリングを回した時にまだ干渉します。
20mmのスペーサーを入れた状態。
ようやく純正と同等のスペースを確保しました。
(ここまでたどり着くのに何度ステアリングを
外したことか)


(3)装着時に注意すること

 純正ステアリングホイールを外す方法やボスのトップを合わせる方法などは、すでに多くのウェブページで紹介されていますからここでは割愛します。
 ボスをステアリングシャフトに装着する際、あるいはボスにステアリングホイールを装着する際に気をつけなければならないことは、「必要以上の締め付けトルクをかけない」ことです。
 まずボスのステアリングシャフトへの装着ですが、ここでトルクをかけすぎますと、ボスの材質によっては最悪割れることがあります。そうでなくてもスプラインが噛み込みすぎて、次に外そうとした時にやっかいなことになります。クロスレンチで「ぎゅっ」と締めると、恐らくその時点で締めすぎです。「きゅっ」くらいにしておきましょう。(数字でいうと30〜40N-mくらい)
 次にボスへのステアリングホイールの装着です。こちらは大抵6本の6角ボルトで装着することになりますが、ボスやステアリングホイールに付属する6角レンチでこれまた「きゅっ」と締め付ける程度にしておかないと、6角穴をなめてしまいます。間違ってもボックスレンチ等のビットで「ぎゅっ」と締めないように。なめるとボスからステアリングホイールが外しにくくなります。(私はこれで失敗しました)

見事に割れました。
締めすぎたハブを抜こうとして、ガコガコやったのが
原因だと思われます。
リターンピン穴までひびが入ってしまいました。


 最後にステアリングボスのメーカーを紹介しておきます。








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