グリーンフェア’99



波(wave)アップ


波(wave)全景



この作品は、一見単純に見えますが、私の庭に対する感性の集大成とでも云いますか、随所にもてるノーハウをつぎ込み制作した作品であります。
 先ず構想ですが、今回は海岸近くの岩群れをイメージ(image)し石組でその抽象表現を試みました。与えられたスペースに石組を骨格として空間構成するには、量、石質、場所に応じた石の大小、他の素材との調和を考慮しなければなりません。
 波の表現には、白川砂、撒き石3.5.8分、草花を使った。竹垣、この囲は庭をクローズアップ(close-up)する役目を果たしていて、外の風景を遮断することで庭に視線がそそがれるからであります。庭の効果として石橋、灯篭を配置。これは深い意味よりも、単に加工物として自然石と対比させるためです。また植木の松は庭に柔らかさをと考えました。この庭の狙いは空間構成の粗密、つまり「立体感」(solid)であります。従って地面は当然ながら、波打たせた形の方が効果が出ます。草花や撒き石3分.5.分.8分は「波の花」泡(bubble)を表現しています。立体感を醸し出すには、それなりの要素が要求されます。それは素材と素材を対比させることによって、より強く表現されます。対比関係を連記しますと、「自然、人工」「硬、軟」「静、動」「明、暗」「強、弱」「大、小」「粗、密」「高、低」等でありす。その他にも「色合い」「質感」「錯覚」「聴覚」「先入観」等に訴える技法が非常に重要であります。石組と起伏させた海面の相乗効果は、地面を起伏させることによって据えた石が動いている様にみえる。また逆に毅然とすわった石組があることで、起伏の地面がさらに波打っているように錯覚するだろうと考え設計しました。尚この庭には起点と終点のない設計をしています。それは囲いの外に続いている「無限の広がり」を意味し、観賞者の「無」からの想像、(imagination)発想を掻きたてる企みがあるからであります。「想像(imagination)を掻きたてる」という点ではこの庭は私の意図とは関係なく、観る人各々が感じたままがこの庭の素顔かもしれません。