Piaキャロットへようこそ!2  

   Short Story#2  嵐の下見旅行っ!?

 注: これは、葵さんとのEDから1年後の夏休みという設定です。
    現在別に創作している「GoGoウェイトレス!」とは全く
   別のお話です。
    ちなみに、主人公の耕治は大学へと進学し、葵さんは引き続き
   Piaキャロット2号店に勤めています。



 第1話 「事の始まり」


 「え? 社員旅行の下見・・ ・ですか?」
 
 大学も夏休みに入り、今年もPiaキャロットへとバイトに通い始めたある日、

仕事も終わって事務室に帰って来たところを涼子さんに呼び止められた。

 しかも、葵さんと一緒に。

 去年のあの夏、僕はここで何の目的もなくアルバイトを始めた。

 あっという間の1ヶ月だった。

 その短い間に、僕はいろんな人と出会い、そして、楽しい時を過ごした。

 そして、葵さんという、かけがえのない女性と知り合うことが出来た。

 あれから1年、僕はあれから猛勉強して、何とか大学に入った。

 偶然にも空いていた葵さんや涼子さんが住んでいる同じアパートの1室を

何とか借りることが出来たので、今はそこで生活している。

 まぁ、葵さんの部屋で過ごしてる時間の方が長いかもしれないが。


 「ちょっと、何で私たちが揃って呼ばれるのよ。」

 そのかけがえのない女性は、今は僕の横でちょっと不機嫌に立っている。

 涼子さんは、「ちょっと待ってて」と言って席を外している。

 その間に、お互いの心当たりを考えている訳だが・・・

 「知らないですよ。

  涼子さんにまた何かばれたんじゃないですか?

  この間、葵さんがパチンコ行ってた時にアリバイ作りしたのがばれてから、

  僕まで怒られるようになってしまったんですから。」

 「なによぉ〜。

  あの時はあなただってはりきってたじゃないの。

  “お金がないからコレで景品とって宴会やりましょうっ!”って

  言ってたのは誰よ?」

 「いや、もしかしたら葵さんが、涼子さんの部屋にあった高い料理用のお酒を

  少しずつ飲んでるのがついに見つかっちゃったとか」 

 
 「ば、ばかね。違うわよ。

 きっと、あなたが涼子の水着姿の写真をこっそり隠し持ってることが知られたとか・・・」

 (な、なんでそんなこと知ってるんだ、葵さんは!?)

 お互いに少し不機嫌な表情で見つめ合っていると、事務室の入り口のドアが開いた。

 「はいはい、喧嘩はそれくらいにしておきなさい、二人とも」

 ガチャリ、とドアのノブが音を立て、涼子さんが呆れた声で入ってきた。

 「しかし、あなた達二人はいったい陰でどういう事をしてるのかしらね。

 これからは、もっと厳しく私が見てないと駄目なようね」

 声だけでなく、表情まであきれかえっていた。

 どうも今までの暴露合戦をしっかり聞いていたようだ。

 「で、涼子。

 私たちはなんで揃って怒られるの?」

 葵さんはばつが悪そうに頬のあたりを指でかきながら、涼子さんに尋ねた。

 「ん?

 別に何かを怒るつもりで呼んだ訳じゃないわよ。」

 その瞬間、僕と葵さんは瞬間的に視線を交わして、「助かった!」って瞳で会話した。

 (そっか、怒られるんじゃないのか。良かった。)

 ただ、次の瞬間、

 「さっきの色々な事については、あとでしっかりと言わせて貰いますけどね」

 とにっこりと微笑みながらこちらを見つめた。

 ・・・・・さっきまで弾んでた視線が、「あ〜あ」って沈んでしまった。

 (余計なこと言わなければ良かった)

 僕と葵さんが落ち込んだのがよく判ったのか、涼子さんが一つ咳払いして、

 「ま、それはさておき、今日はお願いがあって二人とも呼んだの。

  あなたは去年一度来たこと有るから覚えていると思うんだけど、今年も、

 社員旅行を計画しているの。

  それで、いろいろ調べたところ、ある所から「是非下見に来て下さい」って


 連絡があって、誰かに下見をしてきて欲しい、って言うことに店長と決めました。

  誰を行かせようかと考えたんだけど、葵と耕治くん、あなたたち2人でいってもらおう

 かと思って・・・」

 「え、そんな急にいわれ・・・いてっ」

 そんな急に言われても困ります、と涼子さんに言おうとしたら、隣に立っている葵さんが

僕の足を思い切り踏みつけた。

 「いいの? ホントに旅行に行ってきていいの、涼子!?」

 凄く嬉しそうな声で葵さんが尋ねる。

 そんな葵さんに涼子さんは少し困ったような表情になった。

 「葵、間違えないでね。

 あくまでも下見であって、あなた達の旅行じゃないのよ?」

 「わかってるわよ〜。

 ちゃんとよく見てくるわよ、ね、耕治くん?」

 そう言ってこちらを見た葵さんの目がキラキラ輝いていた。

 (わかってないな、これは)

 僕は(おそらく涼子さんもだろう)、大きくため息を付いた。

 〜〜第1話 終わり〜〜


  <NOVEL PAGEへ戻る>   <第2話へ続く>