『さくらにっき』第2部総集編


 2000年4月10日、一ノ宮小入学式。緊張した面持ちでイスに座っている76人の1年生。彼らとの楽しい日々(格闘の日々?)のはじまりである。私の担当は2組。まずはうちとけなければ、と思っていると、記念撮影時にさっそく話しかけてくれる子が。クラス全体とうちとけるのもそう時間はかからなかった。

 最初のうちは特定の子(4人)につきっきりになることが多かった。授業中に出歩いたり、寝転がったり、大声を出したり。こういった子の相手をしてあげるのが「さくらプラン」の主な仕事である。しかし、むげに怒ってしまうのでなく、なるべくやさしく、少しでもいいところがあったら褒めてあげることにした。昨年度を思い返すと褒めることにかけていた気がしたからだ。ただ、この加減というのがなかなか難しい。なめられまくり、単に「やさしいおにいさん」になってしまった面も強かった。

 まあ、「さくらプラン」はこういうものと割り切ってしまうしかなかった。2組の担任の話では、「私にはまだ緊張してるけど、うぶさわ先生には割と心を開いてる子もいますよ。」とのこと。少しでも学校生活に慣れてもらったという点では役に立てたのかも知れない。休み時間も子どもの要求に応え、肩車やお絵かきなどをした。ハードなところもあるが、子どもの笑顔を見るとどうしても断れない。

 一ノ宮小は文部省・県教委の研究開発校の指定を受けている。そういったこともあり、多くの公開授業が実施された。1年生も主に生活科の授業を公開した。一味違った生活科を実践しているので、1年生も楽しかったのではないか(私も)。宮崎公園には何度も足を運び、そのたびに私はカメラを持って撮影した。カニ取り・ガケのぼりなど、子どもの生き生きしたすがたを撮ることができた。

 10月16日。1年生も学校生活にだいぶ慣れ、なにか「変化」もほしいかも知れない、ということで、さくらプランの交替が行われた。1組の子とは先に触れた生活科で何度も顔を合わせているので、こちらもすぐにうちとけることができた。

 学習発表会(宮小フェスタ)・中間発表など、いろいろな行事を経て、1年生は着実に成長していった。しかし、私がなめられるのは相変わらずで、担任がお休みの時などはうるさいことこの上なかった。結果として怒ることが増え、褒めることを少しずつ忘れていってしまった気もする。結局昨年度と同じ反省を持っているのでは、あまり私自身は成長していないようである。

 しかし、勤務最終日の納め会で、2組の担任からこんな事を聞かされた。「来年の1年生に書いたお手紙に、『うぶさわ先生がさくらプランの先生になるといいね。えをたくさんかいてもらえるし、やさしいよ』って書いてた子がいましたよ。」……ちょっとびっくりした。こう思ってくれている子がいるのか。なんだかうれしい気持ちがした。

 私自身は「さくらプラン」としての勤務はこれで終わり、一ノ宮小から転出することになる。なんだかさきの手紙を見ると「裏切り?」とも思えてしまうが、仕方がない。私自身も名残惜しい。今後の勤務では、上手い「あめとむち」の使い分け、また教科指導などにも力を入れ、今年以上に慕ってくれる子が増えるよう、努力していきたい。


さくらにっき第2部トップページ