平成11年度採用試験等報告書
(富山県)

第一次試験
 期 日 平成10年7月24日(金)、25日(土)
 会 場 筆答検査・集団面接:富山県立富山中部高等学校
     個人面接:富山市立芝園中学校
 内 容 24日 8:25〜 8:35 入室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
        8:35〜 8:50 出欠点呼【チェックのみ】・・・・(2)
        8:50〜 9:20 適性検査【Y−G検査】・・・・・・(3)
        9:40〜10:10 教養(T)【一般・教職教養】・・・(4)
        10:40〜11:50 専門教科筆答試験A・・・・・・・・・・(5)
        11:50〜13:30 休憩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
        13:30     集団面接集合
        13:30〜13:45 集団面接諸注意
        14:00〜    集団面接【集団討論】・・・・・・・・(7)
     25日 8:50     個人面接集合
        8:50〜 9:05 個人面接諸注意
               控え室で待機
        9:50〜    個人面接・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(8)
  (1)入室
 会場に着いて、自分の席に荷物を置いたら、肩で風を斬ってトイレまで行くこと。 他を圧倒させるくらいの気持ちでいること。これが私のおまじないであった。
  (2)出欠点呼
 点呼はしないが、この時点で6人程度の欠席者があった。国語科は3つの教室を使用したが、 全部で15人ぐらいの欠席者がいたのではないか。敵が一人でも少なくなれば、 それだけ嬉しいものである。なお、第1次試験では「冷やかし」で受験している者も多く、 休憩時間なども締まりがない。但し、第2次試験は全く違う雰囲気なので注意すること。
  (3)適性検査[30分]
 Y-G検査を30分間実施。125問。私は自分を良く見せようとしたが、 途中で嘘をつき通せなくなり、失敗した。最初から失敗すると、 二日間ずっと気持ちが沈んでしまう。偽らず、ありのままの自分を答えるか、嘘をつき通すか。 とにかく一貫した姿勢で回答することが必要だと反省している。
  (4)教養(T)[30分]
 教員採用試験というと、どうしても教職教養の勉強に偏ってしまいがちであるが、 都道府県市によって、その比重は大いに異なる。富山県に関しても、 今年度は教職教養の比重が軽くなり(大問15〜19だったと思う)、一般教養が中心であった (大問1〜14だったと思う)。富山県の過去問ばかり勉強していた私にとって、 この傾向の大幅な変更は痛手であった。さらに、富山県は30分で大問1〜19まで解答しなければならず、 それこそ考える時間などない。今年度は、傾向が変わったこともあり、 低得点であったことが予想できる。第二次試験で知り合った方が、 「今年は専門の得点を重視したのではないか」とおっしゃっていた。私もそう思う。
 最も大切なのは、30分という時間配分を意識し、実際の試験のつもりで過去問を解くことである。 10年分は解いてみよう。教職教養について、西洋教育史は過去十年分を見ると、 出題人物が殆ど同じであることがわかる。人物と業績、そしてその人物が残した言葉を整理しておく。 『教職教養ランナー』(一ツ橋書店)「西洋教育史」章を整理しておけば良かったと思う。 また、最近の答申について、空欄の適語補充ができるように、読んでおくことが必要である。 『教員養成セミナー』(時事通信社)や『教職課程』(協同出版)など、 最近の答申を読んで整理しておけばよかったと後悔したものだ。
 なお、道徳教育・特別活動・生活指導は第2次試験で重点的に扱われるため、 第1次試験の教職教養は、それ以外の内容から出題される。
 (5) 専門教科筆答試験A[70分]
 第一次試験の専門教養は設問が多いだけでなく、問題となる文章も長い。速読力が要求される。 大問は3問で、現代文・古文(復元問題はこちら)・漢文が出題される。だが、現代文には問題文のほか、 3つもの新聞の投書が出題されるため、実際は大問4問のボリュームがある。 出題内容については別紙資料を参照のこと。
 富山県は殊に現代文に関して、指導法を問う出題が少なくない。例えば、 「傍線部について、どのような発問を行うか」とか、 今年度は「新聞の投書を授業で取り扱う際、どのようなことに配慮するか。三つ挙げよ」 とかいったものが出題される。
 古典に関して、教員採用試験のみならず、教育実習においても常に問われることは、 文法事項を押さえた教材研究ができる力量である。記述問題に際しては、 文法事項を踏まえた解釈を行うことに努力しなければならない。
 おそらく私は60点以下だったのではないかと思う。第二次試験でお会いした人に 「私5問以上空白があったんですよ」と話したら「私もそうでした」とおっしゃっていた。 低得点の勝負であったといえよう。試験中も、時間がなくて諦めかけていたときに、 周りの鉛筆の音が殆どしていないことに気づいた。「みんな、諦めたんだな」と思うと、 「今のうちに頑張らなくては」という意欲が沸いてきたのだ。 但し、低得点勝負という都道府県市ばかりではない。 高得点勝負の平易な問題が出題される都道府県市ほど、油断はできないものである。
 なお、国語科専門試験対策問題集では、概して漢文問題の文章に訓点が施されていないことや、 古文・漢文の問題文に注が付されていないことなどがある。富山県の場合、古文では文章の前に、 そこに至る過程を記した説明文が2行ほど付され、漢文についても訓点が施してあった。 注に関しては古文・漢文ともにみられなかったと思う。
 (6)休憩
午後からの面接に備えて、大いにしゃべり、大いに笑い飛ばすよう、努めた。
 (7)集団面接
 集団討論に関しては、別紙「平成11年度富山県公立学校教員採用選考検査 集団面接に関する諸注意」 が配布され、それに基づき、「集団討論」が実施される。
 私はA組第1グループであり、集団討論としては最初のグループであった。 教科ごとに他の教室も使用して一斉に行われ、その「グループ」ごとにテーマが変わる。 討論時間は30分であり、「集団面接の課題テーマは、検査室前の廊下で、入室10分前に配布」 される。私たちのテーマは、次のようなものであった。

 最近、小学校低学年でも、授業中に教室を抜け出したり、教師に暴言を吐いたりする子どもがいる。 こうした状況に、あなたはどのように対応していきますか。 

 用紙には、だいたいこういった内容が記されていた。「学級崩壊」の問題についてである。 入室前に、用紙の空いているところに、所感をまとめておくのである。そして、入室後、 「一人1分間程度で課題についての所感を述べ」る。私は、安心してモノが言える学級づくりを目指し、 一人一人が自己肯定感を認識できるようにするため、 @お互いの思いを交流し合える学級あるいは授業づくり、 A学級通信などを活用し、子ども一人一人の良さを紹介し、学級間だけでなく、 家庭においても良さを認め合える手立てを講じることを提言した。 現場を踏まえた「具体的な」提言ができることが大切であり、 それこそ「わかったようなこと」を言わなければならない。 かつて教育科学研究会や三月集会や児童言語研究会中高部会全国集会などに参加して、 現場の先生方の真摯な取り組みに触れることができたことが、思い掛けず生きてきたといえる。
 話し合いの際には、学級通信や班活動などの具体的な方法に触れることもさることながら、 自分自身のわずかな「実践」、即ち教育実習の体験を踏まえて発言することが大切である。 私たちのグループは、授業を楽しくすること (但し、楽しいだけではなく、学ばせることはしっかりと学ばせることが大切)、 体験学習の重視、教師の権威をもっとしっかりと示すこと(こんな意見も出てくるのか…)、 そして教師の役割(よき支援者でありたいと発言した)などという意見があった。 最後に時間が余ってしまい、「頑張ります」と言った人に続いて、 「私も頑張ります」などと言ってしまったことが恥ずかしい。 また、「○さんの意見について、私は(も)……と思います」といった、 聞いている姿勢を明らかにする発言の仕方が大切である。
 挙手制で司会者はなし。試験官は3名。「用紙にメモをとることができる」が 「検査終了後、課題用紙は検査室の机上に置いていく」。 評価の観点は「グループとして話し合いを深めてゆくのに、どの程度貢献したか」。 ちなみに、他のグループでは「最近、若い教師の中で『教師らしくない教師』が増えてきているが、 それについてどのように考えますか」などであったと聞く。
 友だち6人ぐらいが集まれば、模擬集団討論を行うことができる。 都道府県市の過年度の出題テーマを扱って練習すれば良い。そのことは論作文にもつながっていく。 方法の相違こそあれ、細かいことを気にせず、練習を行うことを、私の反省点を踏まえてお薦めする。 また、就職指導室の先生方が模擬集団面接を開催してくださり(7月9日)、 参加することで感覚をつかむことができた。適切な御助言を賜り、有り難く思った。 余談だが、集団討論と個人面接の日程が分かれている場合、 集団討論がある日は地味な服装をして行ったほうが良いのではないか。 大学生にとって、臨採経験のある受験者の存在に圧倒されることがある。 私たちの国語科グループは大学生が多かったように見えたが、 社会科グループは殆ど臨採経験者だったと聞く。せめてもの抵抗として、フケた格好をして、 「大学生」を圧迫させてやるのも作戦の一つかと思う。

 (8)個人面接
 この日、会場を間違え、急遽スリッパを買いに行った愚か者である。
 私が質問された内容は次のようなものである。今年度から、第1次試験の個人面接は「自己アピール」 に基づいて聞かれるようになった。

○ まず、志望動機を改めて自分で話してください。
○ あなたはたくさんの公開研究会に参加しているようですね。 この中で「大村はま国語教室の会」というのがありますが、いつ、どこで行われ、 どのようなものですか。
 →よくわかっていない。どうやら面接官は国語科担当者ではないようだ。
○ 「実践を大切にした教育を学ぶ会」とは。
○ 「実践を大切にした教育を学ぶ会」の代表者としての経験はこれからの人生に必ずや生きていくものと思いますが、 大変だったことは。
○ 最近、学校内で問題行動が起こっていますが、それについて、 あなたは子どもとどのように対応していきますか。
 →ここで「毅然とした態度ではなく、時にはこちらも弱い面を見せたり、謝ったりしながら、 共感的に接していきたい」と答えるが、面接官は首をかしげている。
 →第2次試験の圧迫面接の原因では?
○ 昨日の試験について、自信のほどはどうですか。
 →正直に「自信はありません。しかし、私はどうしても教師になりたいので、 何度も何度もこの富山県を受験したいと思っております」と答えると、面接官が笑っていた。 今にして思えば、1日目で筆答試験の結果が出て、それに基づいて個人面接が行われるのではないか (個人面接は2日目から)。
○ あなたの性格を、教育の中にどのように生かしていきたいと思いますか。
○ 特別活動に関して(前の質問で特別活動に関することを答えたため)。

 面接官は2名で、交互に質問なさった。前述の通り、国語科の受験生に対して、 国語科担当者が面接官になるとは限らないようである。うち1名は記録をとっておられた。 時間は15分であるが、私の場合、14分ぐらいで時間が余ってしまった。「だめなのかなあ」と、 がっかりしてしまった。また、同じ教室を半分で仕切り、同時に2人の面接が行われ、 相手のことが非常に気になり、余計に落ち込んでしまう。
 個人面接については、『平成11年度教員採用試験パーフェクトガイド』(東京アカデミー)の、 富山県の「平成10年度面接試験情報」(P49)に掲載されている質問項目に対する解答を 一つずつノートにまとめることにした。面接ノートの作成は、私のような他県受験者には蓄積になるし、 既述した小論文対策にもなり得る。そして、何より『就職体験レポート』(都留文科大学就職係) の先輩方の面接体験が心強く、参考になった。
 就職指導室で模擬面接をしていただき(7月15日)、適切な御指導を賜った。ぜひお薦めしたい。

 ★ 第1次試験の結果は8月14日(金)に都留に届き、15日(土)に富山に転送された。

第2次試験
 期 日 平成10年8月24日(月)、25日(火)
 会 場 筆答検査・個人面接:富山県立富山中部高等学校 
     一般体育実技:富山市立芝園中学校体育館
 内 容 24日 8:40〜 8:55 入室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
        8:55     出欠点呼・諸注意
        9:10〜10:10 教養(U)【道徳教育・特別活動・生活指導に関する論述】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
        10:35〜11:35 作文検査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
        12:20     個人面接集合
               控え室で待機
        14:00〜14:30 個人面接・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
     25日 8:30     一般体育実技検査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
 (1) 入室

 第1次試験の時と異なった緊迫した空気に、思わずひるんでしまった。どの人を見ても、 学習指導要領などをまとめた分厚いファイルを見返している。 私など、15日に第1次試験合格の通知が届き、喜びに浸る日々が続き、 19日頃からようやく勉強を始めたのだから…。受験者のほとんどが講師経験のある人のようであった。
 国語科は8名。男性が3名、女性が5名受験した。恐らく、男性・女性各1名ずつ落とされるのだろう。 しかも、男性3人のうち、私ともう一人が新卒者。どちらかが消えるのだろう。焦りが募るばかりである。
 (2) 教養(U)[60分]
 大問3題、小問8題。大問1題につき、B5版解答用紙が1枚、即ち3枚の解答用紙が配布される。 問1から問3までは解答欄の分量は均等であるが、【3】問2に関しては、 2問分の解答欄が与えられる。
 問題を詳しく覚えていないが、思い出せる限り、記していくことにする。
  ┌─生活指導────────────────────────────────┐
  │【1】 次の事例を読んで、後の問いに答えよ。(事例は忘れた)       │
  └─────────────────────────────────────┘
    問1 この教師の指導上の問題点を述べよ。
    問2 この問題に対して、あなたはどのような対応をとるか。
    問3 ?
  ┌─特別活動────────────────────────────────┐
  │【2】 次の表は、ある中学校の年間行事予定表である(表は略)。      │
  └─────────────────────────────────────┘
    問1 (中)学校における特別活動の意義を述べよ。
     →「学校教育目標」を振り返るとよい。
    問2 体験学習が重視されている意義を述べよ。
    問3 この学校では、11月に福祉施設での実習が予定されている。これについて、
      あなたはどのような指導を行うか、述べよ。
  ┌─道徳教育を含む総合問題─────────────────────────┐
  │【3】 A子は最近、クラスでの居心地が良くない。掃除についても、A子は真面│
  │目に取り組むが、他の生徒はいつも取り組まない。班活動になじめないまま、毎日│
  │を過ごしている。                             │
  │ A子は今日も一人で机を整頓し、戸締まりを行って、帰っていった。     │
  └─────────────────────────────────────┘
    問1 A子の心情を踏まえて、この教師の指導上の問題点を述べよ。
    問2 この事例に対して、あなたはどのような指導をしていくか、述べよ。
 以上であるが、小問8題は時間的に厳しく、見直す時間などない。 さらに、第2次試験に関する情報もないのだから、精神的にもゆとりが持てない。 この「教養(U)」は、論作文の一環とも解することができ、その後に行われる作文検査よりも 「論作文」の要素が強いと思われる。
 こうした具体的事例に即した設問は、徳島県や高知県などでも出題されているので、 『99年度版 教員試験事典』(1998年3月、時事通信社、P9)などの過去問で対策を講じた。 『富山県の教員試験』(協同出版)も購入した。また、セサミシリーズ(東京アカデミー) の教職教養問題集所収の、道徳教育・特別活動・生活指導の問題を解き、 学習指導要領や『生徒指導の手引き』(文部省)に記されている内容をまとめた。
 第2次試験ともなると、途中でギブアップする人もいない。ただ焦るばかりである。
 (3) 作文検査[60分]
 800字以内 (27字×29行)。テーマは「子どもに伝えたいこと」。平易である。 もしかしたら作文検査は軽視されているのかも。「教養(U)」重視か。教育実習の体験を踏まえ、 「もっと自信もっていいよ」ということについてまとめた。 常に、授業や特別活動(部活動)について書くことを心掛けた(両方を踏まえられないこともある)。
 受験都道府県市の過去10年分の作文検査のテーマを調べて、取り組んでみること。
 そのことは自信にもつながるし、面接検査にも生きてはたらくことになる。
 当日は、練習した作文を綴ったファイルをお守りとして持っていくと良い。
 (4) 個人面接[30分]
 待ち時間がとにかく精神的に長かった。面接ノートをまとめていた。
 まず模擬授業。面接開始10分前に、課題の書かれた用紙が与えられて、空欄にメモなどを加え、 教材研究を行ってもよい。教科指導ではなく、 いじめや不登校の生徒に対する指導などホームルームに関することが課題になる場合もある と聞いていたので、私もホームルームを行うことになるだろうと思い、面接室に向かった。 手渡された課題を見て、青ざめてしまった。
  A 坂口安吾「ラムネ氏のこと」の一節                   
  B 北原白秋「春の鳥な鳴きそ鳴きそ…」                  
  C 「すさまじきもの」(『枕草子』第22段)                
    すさまじきもの。昼ほゆる犬。春の網代。三、四月の紅梅の衣。牛死にたる牛
   飼ひ。ちご亡くなりたる産屋。火おこさぬ炭■、地火炉。博士のうち続き女子生
   ませたる。方違へに行きたるに、あるじせぬ所。まいて節分などはいとすさまじ。
  D 夫天地者万物之逆旅、光陰者百代之過客。(李白『春夜宴桃李園序』)   
 上記A〜Dのうち、一つの教材を選択する。
 10分間。対象は中学校・高等学校のいずれかを選択し、模擬授業前に申し出る。 必ず板書を行うことが求められる。
 教採用の模擬授業を行うポイントとして、次のようなことをお聞きしたことがある。
・ 指名するときは「……さん」とつけること(「君」より「さん」の方がよい)。
・ 活動を取り入れるように展開していく。その意味では、中学生を対象とした授業を行ったほうが良い。
・ 指名して、発言が終わった後は「ああ、なるほど。そうだね」と認めてやる姿勢を見せること。 言わせっぱなしにはしない。
 とはいえ、面接官3人の前で、受験者は「授業者」「学習者」の2役を遂行しなければならない。 一人芝居である。
 私は教材Cを選択し、高校第2学年を想定して授業を行った。 学習者は、教育実習を行った学級の生徒を想定し、実際の名前を出しながら指名を試みた。
 10分間の授業記録(実際に行ったこと)を記しておく。
  ┌──────────────────┬──────────────────┐
  │      学習者の活動      │      指導上の留意点      │
  ├──────────────────┼──────────────────┤
  │                  │○ 題名「すさまじきもの」を板書。 │
  │「すさまじ」の意味を理解する。   │                  │
  │ 辞書で調べる。          │○ 「辞書になんて書いてあった?」 │
  │ ┌─────────┐      │                  │
  │ │すさまじ=興ざめな│      │                  │
  │ └─────────┘      │                  │
  │ 「興ざめな」とは。        │○ 「興ざめな」という現代語の意味に│
  │  ・ つまらない。        │ ついても問い直してみる。     │
  │  ・ 残念だ。          │                  │
  │どんな時に「すさまじ」と感じるか。 │                  │
  │ ・ 野球が雨で中止になったとき。 │                  │
  │ ・ 桜が散ってしまったとき。   │                  │
  │                  │○ 作品読解後、「2年4組版『すさま│
  │                  │ じきもの』」をまとめるということを│
  │                  │ 予告する……@          │
  │「すさまじきもの」を読む。     │                  │
  │ 指名読み……A          │○ 机間指導により、読みの確認を行う│
  │                  │               ……B│
  │ 書かれている内容を挙げ、整理する。│○ 板書する。           │
  │                  │○ 導入段階であるから、難語句につい│
  │                  │ ての説明は行わない。辞書を調べるよ│
  │                  │ う指示し、習慣化させたい……C  │
  └──────────────────┴──────────────────┘
 @で「2年4組版『すさまじきもの』」を作成することを予告し、 <書く>活動を取り入れることを示した。面接官も、 ここまでは聞いているのかどうなのかわからない様子であったが、 このことを予告することによって、真剣に聞いてくださるようになった。
 Aで指名読みを取り入れることにした。だが、実際に読むのは私自身である。 「三、四月」を素直に「さん、しがつ」と読んでしまったり、「地火炉(じかろ)」や 「節分(せちぶん)」の読みを間違えたりしてしまった。「地火炉」を読み誤った時など、 面接官からも「ああ…」という反応があり、思わず落胆してしまった。 私の前に面接を終えた方も、この教材を選択したそうだが、 彼いわく「読みの難しい教材を選び、受験者を試しているのだろう」とおっしゃっていた。
 Bで机間指導を試みたため、Aの指名読みは、面接官の前を一周しながら読むことになった。 だからこそ、読み間違いが恥ずかしい。
 Cで、辞書活用の習慣化を訴えた。これは、文法軽視による「文化を学ぶための古文学習」ではない、 「ことばの力を身につける古文学習」を打ち出したかったためである。
 ことばにこだわる指導を行う姿勢をどこかで示さなければならないと考えていた。
 以上を9分間ぐらいで終えた。20人ぐらいに指名し、問答を行った(一人芝居だが)。言葉遣いも、 最初の1分ぐらいは丁寧だったが、その後は方言丸出しの、普段の楽な言葉で話すことになった。 あと1分だと判断し、「もう終わってもいいですか」と尋ねると、「もう少し聞きたいなあ」 と面接官がおっしゃった。すっかり気分がよくなり(面接官は持ち上げ方が上手)、 あと1分間ほど続けたところで、10分経過の合図があった(時間を測っていらっしゃったようだ。 こちらは何も聞いていなかった)。
 富山県は、第1次試験の専門教科筆答試験では教科書に採録されていないような難解な文章を提示し、 第2次試験の模擬授業では教科書採録の基本的な教材を提示することにしているようである。 とにかく専門重視である。小学校を受験した方も、教科指導を行ったようである。
 国語科に関して言えば、『高等学校国語教育情報事典』(1992年11月、大修館書店)所収 「現行国語教科書教材リスト」(p330〜412)の、主要教材に接しておくべきであった。 とはいえ、情報がないだけに対策を講じることはできなかった (5年前に合格なさった先生に受験に関するお話をお聞きしたが、その時とは内容も異なっていた。 1・2年前の情 報を大切にしなければならない)。
 国語科の中でも、1日目午後に、個人面接を行うグループと、 一般体育実技を行うグループに分けられる。後者の人たちは2日目午前に個人面接を行うため、 模擬授業の情報が 漏れることのないよう、課題も変えられていたのではないかと思われる。

 その後、面接に入った。面接官は3人。国語科を担当しておられた校長・指導主事のようである (模擬授業に関しても同様)。質問は次の通りであるが、反応は大変厳しく、圧迫的であった。
 ○ 卒論の内容は。
→ 練習はしてきたはずなのに、うまく答えられず、しどろもどろになってしまった面接官が 「それ、おもしろいですか」と鼻で笑うようにして言うので、私も「おもしろい」ということを全面にアピールするよう努めた。
 ○ 教育実習で大変だったことは。
→ マイナス面から問うてくる。この辺りでも、いくつかのやりとりがある。
 ○ 逆に良かったことは。
 ○ (私の「親のような愛情をもって、生徒と接していきたい」という発言に対して) 「親のような愛情をもって」といいますが、そのような愛情を毛嫌いする生徒もたくさんいると思いますよ。
→ 実習の例を挙げて、その意見も認めながら、最後には自分の考えでまとめる。
 ○ 問題のある生徒に対して、どのように接するか。
→ 優しく接するだけでなく、「いいものはいい、悪いものは悪い」ということを明確にし、 時には嫌われることも恐れず、接していくつもりであると答えた。
 ○ 「嫌われることを恐れず」というのは違うのではないですか。
→ 確かに考えてみれば、嫌われてはならないものである。素直に自らの非を認め、謝りながら、 「やさしさと厳しさを兼ね備える教師でありたい」と言い換えた。
 ○ 山梨県肢体不自由児協会のホームヘルパーを行っているそうですね。 既にご存じかもしれませんけど、新採で養護学校にいくこともありますが、それでもいいですか。 → 誠意をもって取り組みたい旨を話したが、面接官の一言「大変ですよ」。
 ○ 《「自己アピール」から》「確かなことばの力を身につけさせたい」とありますが 「確かなことばの力」とは、どのようなことだと考えていますか。
→ 私なりの考えを述べた。<書く>ことと、それを通じての相互交流の大切さを説き、教科指導の他、 学級通信の活用についても述べた。面接官「わかったような、わからないような答えですね」。
 ○ 進路指導について。
→ 生徒が夢を発見できるための手助けを精一杯行っていきたいと話した。
 ○ 親の要求は「夢を実現させる」ところにあるのではないですか。  
→ 確かにその通りだが「夢を発見させる」ことが第一だと思う、と答える。  最後は、自己アピール中にある「自己肯定感」について問われるところだったが、時間がなくて終わり、 正直いって救われた思いがした。とにかく質問の中心は生活指導に関することであった。 理由を考えてみると、第1次試験で生活指導について問われた際、面接官が渋い表情をして、 私の考えを記録していたことから、私自身の生活指導に関する考え方が試されていたのであろう。 私も、そのことに勘づいたため、「教採用の解答」をした部分もあった。 とにかく20分の面接はきつかった。 面接終了時にも「よくわかりませんでしたねえ」などと言っておられるのが聞こえてきて、 駄目だろうと思ってしまった。だが新卒者は実力がないため、 面接官が高圧的になるのも無理はないかもしれない。講師経験者の話では、 面接はもう少し寛容であったということだ。 富山県の場合、20分もしないうちに面接が終わってしまうこともあると聞く。 そうならなかったことだけが救いである。
 対策として、既述『富山県の教員試験』(協同教育研究会編)の面接項目を一読していったが、 今年度から志願書の「自己アピール」を中心に問われるようにもなったため、 参考にならない面もあった。私の場合、富山県の第1次試験の他、 北海道の面接検査を受験してきたこともあり、そこでの面接の蓄積も少々生きてきたかもしれない。 経験がものをいう。面接ノートをしっかりつくっておくことが大切だと思う。

 (5) 一般体育実技検査
 一般体育実技検査はA〜Dのグループに分かれ、ローテーションを組んで、次の三種目の検査を行う。
 ・ジグザクドリブル=バスケットボールで5旗門を往復する。
 ・鉄棒運動=鉄棒(高さ150p以下)で、逆上がり、体支持、前回り下りをする。
 ・マット運動=マット上で一方向へ連続して、前転、後転、伸膝後転をする。
 練習時間が各種目を行う前に5分程度与えられる。また、出欠点呼後にも10分程度の練習時間があったと思う。 富山県は年齢制限がないため、50歳ぐらいの方も一緒である。
 国語科に関しては、女性1名が妊娠のため、一般体育実技検査を受験しなかった。 特別な事情がある場合、医師の診断書を提出すれば認められる(ちなみに私も、ある先生から 「どうしてもできなかったら、接骨院にいって、2日間だけギブスをしてもらえ」という「助言」をいただいた。 できるわけないだろ)。
 一般体育実技検査の、判定に占める割合は小さいといわれる。だが、その中でも、 逆上がりだけは差が開きやすい。国語科でも、女性1名が最後までできなかった。僅差の場合には、 それが影響するのかもしれない。要は「できる」か「できないか」の相違だけであろう。 上手下手は関係ない。
 2日間、練習のために実習校(高校)の体育館へ通った。 ちょうど体育担当の教育実習仲間が帰省していたので、指導してもらった。 実習で担当した生徒たちに見守られ、教わりながら伸膝後転の練習をしたものである。 ありがたい限りである。でも、練習しておいて本当に良かった。 さもなければ、伸膝後転が如何なるものかを知らないで受験することにもなったから。 まさに筋肉痛を引きずりながらの第2次検査であった。
★ 第2次検査の結果は9月18日に発送され、 21日に「名簿に登載しました」という通知が都留に届いた。 9月28日までに登載基準及び内定通知発送のための封筒を送り、 10月2日に実家宛てに内定通知が届いた。

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