こけた茶屋料理集 その5
魅惑のTaiwanレポート〜これであなたも台湾に行きたいわん(笑)〜(前編)2000.1.8


 このたび、「さくら助手」あに・おとうと両氏が、研修旅行でアジアNIESのひとつ、 台湾に行って来ました。そこで台湾のジャパニメーション事情を垣間見てきました。
 てなわけで、今回は台湾のアニメ事情について両氏に語っていただくことにしました。 なお、文書量が多いので前・後編に分けてお送りいたします。

※本稿は日本大学法学部アニメーション研究会『透過光99』に掲載されたものです。

1.このアニメ、分かりますか?

 台湾のコトバはもちろん中国語なので、アニメのタイトルは中国語に変換されてしまいます。 パターンは大きく分けてこんな感じになります。

 @意味から変換されるもの……『麺包超人』→『アンパンマン』、 『小紅豆』→『あずきちゃん』、『失落的宇宙』→『ロストユニバース』、 『純愛手札』→『ときめきメモリアル』、『泡泡糖危機』→『バブルガムクライシス』など。うーん。
 A音から変換されるもの……『∀鋼弾』→『∀ガンダム』、 『羅徳斯島戦記』→『ロードス島戦記』、『魔法騎士雷呵斯』→『レイアース』など。 意味変換できない場合。
 Bそのまんまなもの……『大運動會』、『水色時代』、『愛天使傳説』、『秋葉原電脳組』 のように、そのまんま漢字(カタカナ部分の省略はあるが)のものや、 『ToHeart』のように、英語表記そのまんまのもの、の両方がある。
 Cよく分からないもの……『心之谷』→『耳をすませば』(気持ちは分かりますが。 でも『ナウシカ』は『風之谷』なのだ)、『神奇寶貝』→『ポケットモンスター』 (なんだか決め手がない)など。単なる調査不足。

 その他、複数のパターンが混ざっているもの(例:『庫洛魔法使』→『カードキャプターさくら』 …「庫洛」=「クロウ」の音から+「魔法使い」)なんてのもあります。
 なお、表記は必ずしも1つではありません。というのは、日本から中国本土を介して流入したものと、 日本から直接台湾に流入したもので、表記が違う場合があるからです。 実際、『ポケットモンスター』は先程の表記の他に『口袋怪獣』というのもありました。

2.実際に見てみました。

 実際に見てみたとは言っても、なにぶんパック旅行なもので、見られる時間が夕方の5時から6時 (現地時間…日本より1時間遅い)位しかありませんでした。それでも結構見ることができました。

 まず見たのは『忍たま乱太郎』でした(写真1)。これは日本語そのままの放送で、 画面下に字幕が表示されています。ちなみに「きり丸」は「霧丸」、 「しんベヱ」は「新兵衛」と表記されていました。
 また、『レイアース』も放送されていました(写真2)。これは中国語の吹き替えが すでにされていました(それなりに声質の近い人を使っているようでびっくり)が、 それでも字幕表示がされていました。おそらく、香港(広東語)での吹き替えだったか、 あるいはご丁寧に字幕をつけているだけのどちらかであると考えられます。 ちなみにOP(右は「♪止まらない未来を目指して〜」の部分)は歌自体日本語、 ただし字幕付きという形でした。この部分に関しては、字幕は 「遥不可及的未来世界阿NEVERSTOP」となっていますが、普通に中国語表記したのでは 音が足らないということで、NEVERSTOPが余計にくっついているものと思われます。
 なお、日本以外のアニメも放送されていました。写真3はその例なのですが、どこのものでしょう。 怪獣はプルトニウムを飲んでいます(笑)。ちなみに彩色ミスもありました。 私が気付くくらいなんだから、どの程度かは想像に難くないと思います。 その他、妙に動きの激しい人形劇(画面効果もフラッシュばっかり)もありました。 こう見ると日本のアニメって質が高いのかなあ。

 ところで、台湾では『キティちゃん』が尋常でないくらい人気があるそうです。 キティちゃんのキャラクターグッズを特典につけるだけでえらい売れ行きになるようで、 そういったCMも頻繁に流れていました。『ポケモン』も徐々に浸透中とのことです。


左から写真1・写真2・写真3

3.台北のアニメ的スポット

 今回参加した旅行は「東急観光CLASSEスペシャル・たっぷり満喫台北3日間」という パック旅行だったのですが、2日目の午後に自由行動をとらせてもらいました (だって免税店って高いんだもん)。その目的はもちろん 「台湾でアニメグッズを手に入れる」ためです。

 向かったのは「光華商場」。「台北の秋葉原」と呼ばれるだけあって、 電気(コンピュータ)関連のお店がたくさんあります。値段は日本より少し安い程度ですが、 中国仕様です。高速のガード下に、小さなお店がアキハバラデパートのように軒をつらね、 さらに、その地下は古本屋街という所があり、今回はそこで漁ることにしました。
 まず本屋に行きました。日本のマンガやらアニメ雑誌がたくさん。 ところで、話によく聞く「海賊版」は、あまり目立っていませんでした。というのは、 大抵のマンガなどは、現地の出版社が日本の出版社と契約を結んで発行しているためと思われます。 単に探し方が甘かったのかも知れませんが。
 で、写真4(右)はそこで買ってきた台湾版『AX』です(こんなのは他の所でも買えるのですが)。 要するにジャパニメーション誌なわけですが、現地で放送してないものも紹介されています。 どうしてでしょう。
 その答えは「買って見る」……台湾ではビデオCDがかなり普及しているようです。 光華商場には多くのビデオショップがあり、日本アニメのビデオCDが網羅されていました。 しかも安い。
 安いといえば、音楽CDもしかり。アニメのサントラなんかは110元(日本円で400円強)で買えます。 思わず1枚(『CCさくら』のサントラその3)を買ってしまいました。 見る限りではこういったCDを出している会社は少数、いわゆる寡占状態です。 が、どれも元々の版権表示がないようなので、ひょっとすると海賊版かも知れません。 それを裏付けるかのようなCDもあり、例えば「ベスト版」のようなものがありますが、 日本語表記がかなりインチキ。『魔法のスージファンシーララ』とか 『デモンアドベンチャー』とか。

 さて、次に第2のスポット、「萬年大廈」に向かおうとしたのですが、あいにくのスコールで、 光華商場に足止めを食らってしまいました。ちなみに、萬年大廈とは、 知る人ぞ知る台湾の「オタク」ビルだそうで(by『地球の歩き方・台湾』)、 アニメグッズやフィギュアなどを数多く扱っているとのこと。実に残念。


写真4(©勁動畫雑誌社・ソニーマガジンズ)

……後編へ続く

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