インターネットを使って医療過誤裁判やってます!
〜大切なことはすべてメールで教わった。
著者 海野祥子
出版社: メタモル出版 ; ISBN: 4895952657 ; (2000/03)

原告患者側代理人・橋下徹弁護士 (1997年登録49期) 
被告病院側代理人・前川信夫弁護士 (1962年登録14期)
被告・大阪回生病院及び当時の外科部長

1審 大阪地裁、三浦潤裁判長、林俊之裁判官、徳地淳裁判官、
2審 大阪高裁、根本真裁判長、鎌田義勝裁判官、松田亨裁判官
最高裁担当裁判長は、梶谷玄裁判長。


半年間の入院でカルテ三枚、血液検査二回、CTゼロの医療現場との闘い。 一審中の争いを綴ったノンフィクション


民事裁判は、訴えた原告が被告の非を見つけだして立証しなければなりません。
これを立証責任といいます。
特に、医療訴訟は難しいといわれ、一筋縄ではいかないようでした。

裁判官は世間知らずで、医療のことはわからないというのが通説です。
わからない人達だけで審議されるのもどうかと思いますが、私たちが漠然と信じてきた裁判所というところはそういうところのようでした。

裁判所では、嘘の証言をしてはいけません。
しかし、地位と名誉と財産を守らねばならない人は都合が悪くなると例外なく嘘をつくものです。信じられない嘘をついて、自分を正当化してくるものですが、裁判官たちは嘘を見抜こうとしないのでは?と思いました。

金と時間を使って立証責任を背負わされる私は考えました。
「嘘つきには、心理的な圧力をかけるのが一番てっとり早い!」
法廷という密室で嘘をつかれても誰も見抜いてくれないのなら、見抜いてくれる人に見せるのが一番!と分析しました。


裁判は公開が原則。法廷での偽証は、本来は犯罪行為。


平成9年4月の証拠保全をしてから、憲法、民事訴訟法、著作権法を調べつくしました。
その 結果、裁判は公開が原則の元に行われ、著作権法第40条第1項により、裁判書面はどこに公開してもいい書面であることを見つけてしまいました。
おまけに、日本国憲法で表現の自由が保証されています。
これは、司法の盲点でしょう。 こんなおいしい法律はないと思いました。
係争中は、単なる狂った原告になっている方がHPのギャラリーが増えると思っていましたので、始めた当初、著作権法は黙っていましたが、訴訟が終わっても著作権を活用してHPをやめる気などありませんでした。

私ら原告には、立証責任という最も重要な責任を課せられているのです。
医療被害の原告は、裁判をしても何をしても救われないようでした。
私、この現実にばかばかしさを感じました。
相手が嘘をついてきたら容赦なく追いつめて真実を吐かせようっと!

本来、法廷という場所での嘘は犯罪です。
法廷では、全面的に争う姿勢を見せ、自分が正しいと主張してきます。 正しいという証言なら、誰に見られても平気です。
通常、正しい証言しかしていないのなら、同業者に見られた時点で訴えられた汚名挽回に繋がるハズです。
相手さんには喜んでいただけるものです。

心理学が大好きな私は、相手の嘘ほど同業者の目に触れる環境下におけば、嘘は簡単に反証できると分析しました。
人が嘘をつく時は、問い詰められた居心地の悪い状態から逃れたいがために後先考えずにその場逃れの嘘をつくものです。
こういう場合は、同僚や同業者、不特定多数の人が見ているという環境下に証言を置けば、イチコロです。
その場にいた同僚は、最初は口が堅くても気づいたら「ホントわね」と誰かに真実を話すもの。

嘘をついている方は、嘘がばれる恐怖と四六時中闘い続け、また、後先を考えず、新たに真実と嘘を絡めた言い逃れを言い出すもの。
そして、 揚げ句の果てには、自分の口でそれが嘘であると証明してくれるものなのです。


私は、迷うことなく平成9年12月15日の提訴日よりインターネット上に裁判公開。
リアルタイム裁判報告をしたのです。合法的、合理的、建設的な手法であるというラインは崩さず、立証責任のためには、無情、冷徹を決め込みました。

相手の嘘ほど執拗に浮上させ、怒らず笑い飛ばし、茶化しまくりました。
こんな私の態度に多くの医師たちが説教をしようとHPを見に来てくれました。そして、とんでもない原告に対して理詰めメールで諭そうとカルテ類を見てくださったのです。そうするとあらびっくり。病院の方がひどいじゃないかと、応援してくださったのです。

病院、医師らの主張がデタラメだったからこそ、すべて見知らぬ善意の医師たちに被告医師の医療のおかしさをメールで教えてもらえたのです。私のHPの目的は、嘘つきへの心理追いつめ方。同業者に見られているよ。「さーどうする?」という感じで嘘を重ねさせ、真実を吐かせるためのものでした。まさか、多くの医師たちに助けてもらったり教えてもらえるとは思ってもいなかったのです。

この書は、医療従事者の方々からいただいたメールの一部と、一審係争中、被告医師の証人尋問までのいい言い逃れや臨床医学では決して通じない医学上の嘘をまとめた素人でも理解できるノンフィクションです。


民事訴訟は、弁護士同士の勝敗争いゲームとよくいったものだと思います。


大阪回生病院側の弁護士は、医療訴訟の大家(?)といわれる昭和8年生まれの前川信夫弁護士。

そして、原告側である私の弁護士は、橋下徹弁護士でした。
今や超売れっ子タレントのようになってしまった茶髪の風雲児、橋下先生。
弁護士登録半年後のイソ弁駆け出し時代は、黒髪で面白いこと一つ言おうとしない真っすぐな性格の体育会系青年。
おしゃれなスーツにネクタイ。今の姿からは想像できないほど爽やかな男前でした。


女弁護士に40万円で証拠保全をしただけで逃げられた後、ある起業家団体の代表に弁護士を紹介して欲しいとメールを入れ、
弁護士探しのために作ったシークレットホームページを見てくれメールをくれたのが橋下先生でした。

もはや、医療訴訟に強いという弁護士を探すのに疲れ果てておりました。ネット公開して裁判すると決めた私は、医学的な立証責任はすべて私が果たすと、橋下先生に受けていただくことにしたのでした。
医療訴訟は難しくて裁判官は女でジャーナリズムを嫌うので勝てないとか言われていた時代。そんな状態なら、若くて男前雇っている方が精神衛生上いいですから。


大阪地裁、平成12年9月8日判決は、全面棄却。そして、控訴も全面棄却。
最高裁は、「受理しない」という既存の用紙だけよこして、28万円ほどの費用をぼったぐられました
。すなわち敗訴。大負けです。


これは駆け出し新人弁護士が悪いのではなく、ベテラン年寄り弁護士の法廷テクニックが一枚も二枚も上だったということでしょう。

前川さんは、書面を出すたび主張が違いました。

『癌検査を実施するがごときは愚の骨頂で過剰な話』(平成一三年五月一〇日準備書面の二二行目) 、
『検査をすれば、取り返しのつかない混乱におとし入れたであろうことは明白』 (平成一一年十二月二日・準備書面 一五頁六行目)、
『(検査は)百害あって一利なく、断じて実施すべきことではなかった』 (平成一一年十二月二日・準備書面 一五頁七行目〜八行目)、
『劇薬であっても注意しない』 (速記録・一五〇頁)、 『医薬の添付書面は、製薬会社の都合』 (速記録・一五三頁)などなどなど。呆れてしまう医療の現場では決して通じない主張を勢いよく書いて正当化して裁判官を丸め込んでくるんですもの。

新人弁護士には太刀打ちできません。


こちらは、裁判費用を支払ったことで、裁判を受ける権利を本格的に得たのです。


徹底的に立証責任を果たしました。合計4名の協力医を得ています。

かし、裁判官たちはこちらが提出した裁判書面を見ていないかのような、判決文を残してくれました。

カルテは「記録にしかすぎない」と、カルテ類の証拠を見ないで、判決文に憶測書くような裁判官たちに、
下手に中途半端に認められて、微量の損害賠償を手にするよりも、裁判官の書く判決文のお粗末さをまとめる機会を与えられた全面棄却の判決文を手にしたことは、ラッキーだと思っています。

中には、ホームページに公開したから、まともな審理をさせなかったという方もいます。
しかし、ホームページを作ったから事件が起こり裁判があるのではなく、順序は逆です。

本来、裁判所、裁判官の仕事はプロの事実認定です。
それで、原告から金をとっているのです。
わかりますか?、契約が成立した時点でまともに働けということです。売買契約と同じなのです。

従って、裁判官にはわからない。裁判官は忙しい。なんて、通説は通じません。
忙しいのがわかっていて裁判官という職を選んだのですから、模範的な仕事をしてもらって当然なのです。

裁判官は、女が医者を訴えるのを嫌う。ジャーナリズムを嫌う古い体質とよく聞きました。
嫌いだから仕事しない!と言われているようです。
古い体質というより、昔からぼったぐりのデタラメな仕事をしてきたという裏付けにしか聞こえませんでした。

裁判官は独立性をとって他の事件に口出してはならないようですが。 その人達がどのような仕事をしたのか、同業者に見ていただいて評価できる環境に置かないと、足下を正さないような気がします。
不法行為を審理する方たちが、カルテは記録にすぎないと切り捨てた。
こちらは、
ぼったぐり裁判官に対して、「何を根拠に事実認定をしたのか?」といえない分、公開し続けます。

裁判書面は、どこに公開してもいい書面。いわば国民の文献です。
主張した医学や、裁判官の事実認定は責任を持っていただきます。
こちらは、金と時間を使って立証責任を背負わされてきたのです。
よい子が真似をしたら駄目なので、立証責任は係争が終わった後でもキッチリ果たし続けておきます。


医師法違反、保健師助産師看護師法違反、不正請求ありでも 民事裁判では極めて誠実な医師をまとめました。
よろしければご覧ください。