モトコンポと同型で、しかも最終型エンジンを搭載している”ロードパルS”の
2段変速機をモトコンポに移植することに成功しました:(*^^*);
実は近所のバイク屋さんの常連さんの渡邊さんが、「どうも、ロードパルSのエンジンは
モトコンポ系の最終型で、しかも変速機が付いてるらしい」って情報を仕入れて
いらっしゃったことから、このプロジェクト(笑)は始まりました(^o^)
早速、モトコンポ系エンジンを使っているバイクのパーツリストを全部見比べてみると
確かにロードパルSだけは2段変速機が組み込まれています:(*^^*);
(渡邊さん、いろいろと教えていただいたり調べてくださってありがとうございます!!)
ただし、クランクケースの型番が微妙に違っていてそのままモトコンポに
組み込めるのかどうかは、実際にやってみないとわからない状態でした;(=^^=)ゞ
まずは”ロードパルS”のエンジンを探すことから始めることにしました。
雑誌に載っている解体屋さんに片っ端から電話をかけて「ロードパルS、ありませんか?」と
聞いてまわったんですが、かなり遠くまで電話しても残念ながら見つかりませんでした:(T_T);
半ばあきらめかけていたある日、なんとうちの近所で運良くロードパルSの不稼動車を
発見することができたんですよ:(*^^*);(灯台元暗しとはこのことです(笑);(=^^=)ゞ)
譲ってもらったロードパルSを家に持って帰って、さっそくクランクカバーを
開けてみることにしました。 まずはドレンボルトをはずしてオイルを抜きます。
真っ黒いオイルがたっぷりと出てきました。
ロードパルSには、2.00−14という大きなタイヤが付いています。
基本的にエンジンユニットの取り付け穴など外形はモトコンポのものと同じなんですが
リアタイヤの直径が大きいために、減速比の大きなギアがファイナルに入っています。
そのため、このままエンジンごとモトコンポに付けるとリアタイヤの直径が小さくなる分、
最高速がムチャクチャ低くなってしまいます(笑)
カバーをとって中を見てみると基本的にモトコンポと同じような構造になっていました。
ただし、リアタイヤの車軸側に付いているファイナルギアーの歯数がモトコンポよりも多く、
減速比が大きくなっています。 それから、モトコンポはこのファイナルギアーが
平歯車なんですが、ロードパルSではヘリカルギアになっていて
回転抵抗が少なくなるようになっていました。
モトコンポとほぼ同じ内部です(^o^)
とりはずしたカバーの内側もほぽモトコンポと同じです(^o^)
まずはクランクシャフトについているロックナットをゆるめて、次にシザースレンチと
ドライブプレートプーラーという専用工具を使ってクラッチシューが付いている
ドライブプレートをクランクシャフトからはずします。
この2つの工具がないとぜったいにドライブプレートははずせないでしょう(笑);(=^^=)ゞ
ドライブプレートをはずすと、内部にもうひとつの自動遠心クラッチが出てきました。
モトコンポでは、ここにはなにもついていないんです(^^;)
クラッチアウターの内側にもギアが切ってあり、セカンドクラッチを遊星ギアを介して支えています
上の画像のユニットをクランクシャフトから抜いてひっくり返して裏から見ると
このようになります。 3個の遊星ギアで中心のセカンドクラッチが付いているユニットを支えています。
外側のクラッチアウターが1回転すると中心のセカンドクラッチは2/3回転するようになっています。
小さいながらもきれいによくまとまっています(^o^)
ちなみに、さきほど取り外したドライブプレートをひっくりかえすとクラッチシューの内側に
セカンドクラッチが接触するためのクラッチアウターリングがついています。
モトコンポのドライブプレートにはもちろんこれはついていません(^^;)
クラッチシュー内側のリングにセカンドクラッチが押しつけられます
遊星ギアのユニットの下にはラチェットプレートがついています。
ロードパルSを手で押してバックさせる時にはこのラチェットプレートが空回りして
遊星ギアに回転を伝えないようになっています。 おかげで軽くバイクを引くことができます(^-^)
エンジンが回って遊星ギアを回すときにはこのラチェットプレートが踏ん張って
遊星ギアが効くようになります(^-^)
ラチェットプレートの爪が外側の内歯車に踏ん張って遊星ギアを作動させます
ラチェットプレートをはずすと最後にチェーンのかかっているスプロケットがあらわれます。
このスプロケットは歯数がモトコンポと同じで、使用されているチェーンもモトコンポと
同じものであるためそのままモトコンポに使うことができました(^o^)
スプロケットの歯数はモトコンポと同じです
この2段変速ギアの作動を解説すると、まず最初はモトコンポと同様のクラッチシューがクラッチアウターに
クランクシャフトの回転によって生じる遠心力で押しつけられます。
モトコンポの場合には、このクラッチアウターにフロントスプロケットが溶接されているのでここからは
クランクシャフトの回転数=フロントスプロケットの回転数ってことになるんですが、
ロードパルSの場合だと、クラッチアウターの回転は遊星ギアによって2/3に減速されて
フロントスプロケットに伝達されます。
ここで、エンジン回転数があがってある程度を越えるとフロントスプロケットとつながっている
セカンドクラッチが遠心力でクラッチアウターリングに接触します。
ここからは、ファーストクラッチとセカンドクラッチの回転数が同じになり、遊星ギアを介さなくて
直接クランクシャフト→ドライブプレート→セカンドクラッチ→フロントスプロケットと動力が伝達され
クランクシャフトとフロントスプロケットが同じ回転数で回るようになります。
これによって、車速が遅いときにはファーストクラッチのみつながって通常の1.5倍のトルクを
リアタイヤに伝えて加速力や登坂力を増加させ、ある程度スピードがあがってくるとセカンドクラッチが
つながって速度重視の設定になるようになっています(^o^)
ちなみに、うちのモトコンポに組み込んだ場合には1速から2速への変速は
時速25km/hぐらいでおこっています。
さて、この機構をモトコンポに組み込むための一番のポイントはラチェットプレートの外側の
内歯車がうまくモトコンポのクランクケースにつけられるかどうかというところです。
モトコンポのクランクケースカバーを開けてみるとロードパルSと同じところに
この内歯車を取り付けるための出っ張りが2カ所出ていました(^o^)
ところが、このままでは出っ張りの高さが高すぎて内歯車を取り付けることができません:(T_T);
それに、もちろん取り付けネジを入れるためのタップも切られていません:(Y_Y);
とりあえず、内歯車を取り付けて固定するための出っ張りが2カ所ありました(^o^) ちなみに右の画像はとりはずしたモトコンポのフロントスプロケットです
直径の小さな回転砥石を使い、電気ドリルで根気よくこの出っ張りの高さを
ちょうどいい高さまで削ることにしました(^^;)
少しずつ削っていって、約6〜7mm削り落としました(^o^)
いや〜;ここが一番苦労しましたよ〜;(=^^=)ゞ
(ロードパルSのクランクケースごとモトコンポにつけてしまうという手もありますが、
そっちの方がたいへんなので今回はこちらの方法でやりました;(=^^=)ゞ)
根気よくちょっとずつ削っていきます(^^;)
なんとかちょうどいい高さになったので、内歯車を取り付けるためのネジ穴を
開けてタップでネジ山を切りました(^o^) これで作業の山をなんとか越えることができました(^o^)
左は削る前のものです。 右はけずった後のものです。ずいぶん短くなったのがわかりますでしょうか;(=^^=)ゞ
あとは、ロードパルSのクラッチ回りをバラしたときの逆の順序で、モトコンポにロードパルSの
2段変速ギアを取り付けていけば出来上がりです(^o^)
そうそう、ファーストクラッチのクラッチシューには、肉抜きしてあるモトコンポの
クラッチシューを使用しました(^o^)
乗った感じなんですが、いままでとは違った加速フィーリングを味わえるようになりました(^o^)
最初に1速でかなりエンジンの高回転まで引っ張れます(^o^) で、時速25km/hぐらいになると
セカンドクラッチがつながるので、つながる瞬間にグンって加速してさらにぐいぐいスピードが
伸びていきます:(*^^*); 一度この感触を味わうとノーマル機には乗れなくなるかもしれません;(=^^=)ゞ