金田一少年に挑戦!
金田一少年に先んじて、事件の謎を解いてやろうじゃないか!!って企画です。
結果としてネタバレになることもあるかもしれませんので、覚悟して読むように。
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「File16 黒死蝶殺人事件」に挑戦!
第0週《タイトルから真相を看破する!! 〜ともけんと教授の会話より〜》
ともけん「いよいよ新章が始まりますね」
教授 「そうだね。前の(魔術列車)が長かったから、今度は短めのやつを希望するよ」
ともけん「ええ……で、早速ですが、今度の話、どんなものになると思います?」
教授 「何せ"黒死蝶"だからね、蝶が出ると見てるんだが」
ともけん「(笑)」
教授 「いや、それもそのものズバリではなくて、痣なんかどうだろう?」
ともけん「ヒロインの背中に黒い蝶の痣……ですか?」
教授 「そうそう、それで普段は解らないんだけど、興奮すると浮かびあがる(笑)」
ともけん「なるほどねぇ。(^^; で、ミス・ディレクションとして入浴シーンがあるわけですね。
金田一が風呂に入ろうとすると、ヒロインがタオルで前を隠して"キャッ!!"とかいう(笑)」
教授 「どっかで見たような気がするね、似たようなシーン……」
ともけん「話は変わっちゃいますが、今度はどんなトリックが使われるか楽しみですね」
教授 「消失ものは連続しちゃうから避けるとして、ダイイイングメッセージなんてどうだろう」
ともけん「教授、"イ"がひとつ多いですよ(^^;」
教授 「それはともかく、私は思うのだが、今回は文字によるメッセージではなく−−」
ともけん「蝶の"絵"ですね」
教授 「ご明察。正にそれだよ。自分の血で蝶を描くのだが、それがドス黒く変色して……。
そして犯人は心理学者だったりするんだよ」
ともけん「ロールシャッハですね。教授も意外と平凡なこと、考えるんだなぁ」
教授 「まとめるとこうだ。殺人現場に残される黒い蝶を暗示したかのようなメッセージに、
金田一少年は犯人を"黒死蝶"と名付けるのだが、実はそれは蝶の痣を持つヒロインを
指していたと、これが第一段階」
ともけん「で、これが金田一少年のひっかけで、真犯人がついつい言わないでいいことを言って
ヒロインを責め立てると、"語るに落ちましたね"って明智が横から言うわけですね」
教授 「うむ。そこで金田一が、"被害者が本当に書き残したかったのは、心理学者がよく使う
ロールシャッハ試験で……"と続けるわけだ」
ともけん「"あんたは、それを巧妙に蝶の絵に描きかえたんだ!! **さんを陥れるためにな!!
同時に蝶のモチーフを繰り返し見せることで、巧妙に自分への疑惑をそらしたんだ!!"」
教授 「うまい、うまい(笑)」
ともけん「−−と、これで謎はすべて?解けたわけですね。
来週が楽しみだなぁ……というところで、今日はここまでとさせていただきます」
第1週《遠野英治の研究 〜ともけんと教授の会話(2)〜》
ともけん「意表をつかれましたね」
教授 「遠野英治再び……といったところだが、佐木2号の例もあるしなぁ」
ともけん「兄弟だと? でも遠野英治は、妹と二人兄妹だったはずでは?」
教授 「本人も知らない双子の片割れってことも考えられる」
ともけん「そりゃ、面白みがないですねぇ。もうひとひねり欲しいとこです」
教授 「第1週の引きに使うくらいだから、他人の空似ですますわけにもいかないしな(笑)」
ともけん「子供ってのは?(^^;」
教授 「本気で言ってるのかい?」
ともけん「冗談です。……ところで、黒死蝶は、ちゃんと実体があるようですね」
教授 「幻の蝶ね。もしかしたら、この黒死蝶の燐粉には、死者を甦らせる力があるのかもしれない」
ともけん「SFかホラーになっちゃいますよ。もっと合理的な説明がほしいな」
教授 「だって、全然、材料がないじゃない。今週の見所は、美幸と玲香の水着競演につきるんじゃ……」
ともけん「それをオチにしちゃっていいんですか、教授?(笑)」
第2週《展開を読む!! 〜ともけんの覚え書き〜》
壁に磔にされた蝶は、もちろん"殺され方"を暗に予告するものであろう。
見よ、斑目の三姉妹は、蝶の姿を模した着物で登場したではないか。着物のまま磔にされ、夜光塗料を塗りたくられた死体−−来週の引きはこれである。
カメラマン六波羅の登場が告げるものは、トリックが視覚的に説明されることへの伏線である。
彼の撮った写真に、犯人を指し示す何かが写っていたとしたら、彼はそのために殺される運命にある。これまでの例から、六波羅殺害は、物語中盤におこなわれることが予想される。
問題は遠野の正体である。
瓜二つの他人説、兄弟説をとらないとすると、考えられる可能性は本人以外ない−−のではないか……。とするならば、簡単なのは、"死ななかったけど記憶を失った"という最も安易な結論である。この結論は美味しい。物語の最後、遠野が生き延びたとしたら、彼をあらためて告発するべきか、見逃すべきかという金田一の葛藤を描くことができるからだ。
とはいえ究極の問題が残される。なぜ遠野がこのタイミングで再登場したかである。彼自身、物語に関わっているのは間違いなく、だとしたらそれがどのように描かれるのだろう? これは課題として次週以降に持ち越したい。
第3、4週《そろそろ本筋 〜ともけんの覚え書き(2)〜》
取りあえず、この2回分の情報を整理してみる。
・深山日影は、どうやら遠野英治その人であるようだ。背中の火傷は前回ふっとんだときの名残? 3ヶ月前、紫紋が屋敷に連れてくるまでの経歴は不明……。
・黒死蝶にまつわる伝説が明らかに。黒死蝶は死を告げる。そして蝶をはりつけにすること自体、「呪い」を意味しているという。
・どうやら次女の揚羽は、深山(遠野?)に惚れてる。
・揚羽が深山に近づくことをよしとしない人物がいるらしい。
・るりの死体遺棄の現場に、青い羽にオレンジの紋様の蝶が飛び回っていた。
・るりの死亡推定時刻は0時〜1時、さらに朝7時〜8時にかけて死体移動がおこなわれている。
・朝7時〜8時の間に、アリバイがないのは深山だけである。
・小野寺は、深山の正体を知りたがっている。
第一の殺人=るり殺害は、実際の殺人と死体移動の2段階に分けられる。ここで前者に関する情報は未だ明らかにされていないが、後者はアリバイを忖度した結果、深山が最も怪しいという雰囲気になっている。これをそのまま採用すると、彼が誰かを庇っている、という構図を引き出すことになるんだろう。要するに、紫紋、揚羽あたりが犯人への最短距離にいるということになるが……。
深山の正体は保留するしかない。ただ、彼と次女揚羽の接近が何やら利害関係を生むような感じになっている。遺産問題か?
伝説(庄屋に旦那を殺された女性が、後に庄屋との間に出来た三人の娘もろとも自分の命を絶ち、呪いをかける)の再現があるとすれば、次に殺されるのは展開上、長女になるはず。そしてその後、本来なら次女が殺されるはずが……というのが、ありきたりで無難な線ということになるのだろうが、果たして?
ちょいと引っかかる点があるのだが、これは次週、教授と会うときまでにきちんと整理しておこうか。たぶん来週で3分の1くらい、最初の推理を開陳するには良いタイミングだ。
第5、6週《謎は半分解けた!! かな? 〜ともけんと教授の会話(3)〜》
教授 「謎は解けたかね?」
ともけん「恥ずかしながら……まだです。そろそろ、見えてきたものはあるんですが」
教授 「ほぅ……」
ともけん「鍵は、るりの殺害現場で美雪が見た、青い羽にオレンジの模様の蝶にあるんじゃないかと」
教授 「聞かせてくれたまえ」
ともけん「つまりですね、その蝶こそ、夜光蝶の正体ではないかと」
教授 「既製?の蝶だったと」
ともけん「ええ。緑の元恋人の研究に、蝶の羽を光らせる方法−−みたいなものがあったんじゃないかな」
教授 「ユニークな考え方だね。もっと詳しく話してほしいな」
ともけん「もうひとつの鍵、"匂い"ですよ。あれは蝶を光らせる薬品の匂いなんではないか――」
教授 「夜光塗料かい?(笑)」
ともけん「−−のようなものです。つまりそれ欲しさに――緑欲しさもあるでしょうが――」
教授 「紫紋は、緑の元恋人を手にかけた、と」
ともけん「そうです。で、その元恋人の血縁者なりが、今回、復讐を思い立ったのではないか」
教授 「ふむ。検討に値する推論ではある。が、まだ決め手にかけるね」
ともけん「承知しています。後は着物を着せ替えた理由ですか。これには思いついたことがないでもないのですが」
教授 「それから、深山(遠野)の扱いだね。なぜ彼は復活しなければならなかったのか」
ともけん「そこがまるで解らないんですよ。もう少し、時間をいただけます?」
第7週《謎は少しも解けてないっ!! 〜ともけんの反省〜》
とんだ恥さらしだった……。
「匂い」の正体は「フェロモン」だったのだ。蝶が好きな匂い、嫌いな匂い−−。
ひとまずここで、順当に消化された予想と、依然として留保状態にある謎をあらためて見直してみよう。
【ここまでに明らかになったこと】
・やはり三姉妹は、紫紋&緑夫妻の間にできた子供たちではなかった。(やや不確定ではあるが)
・死体を取り巻く蝶は、着物にフェロモンをつけることによって集められていた。
・"どうやら"深山(遠野)は、本当に記憶を失っているようである。
【保留事項など】
・殺される順序はほぼ予想どおりだったが、では次の犠牲者は?
・25年前の"事件"が今回のことに絡んでいるのは確かなようだが、その詳細が解っていない。
・死体の着物は、何故着せ替えられたのか?
・六波羅は、何を狙っているのか?
既に消去法により、犯人の目星はついている。が、それを披瀝するに積極的な根拠がない。
確か予告?では、あと3週ほどで「謎はすべて解け」るはずである。頑張らねば!!
第8週《解決に向けて 〜ともけんと教授の会話(4)〜》
ともけん「犯人は小野寺です」
教授 「ほう……」
ともけん「先々週あたりから、消去法によってそのことは解っていました。しかし−−」
教授 「決め手がなかった、と」
ともけん「そうです。が、それが今週見つかりました。コンタクトレンズです。
眼鏡を常用している小野寺がレンズを持っているのはおかしい、何かある」
教授 「瞳の色だね」
ともけん「そうです。彼もまた片目の色が青い、それを隠すために色つきのレンズをはめているんですよ」
教授 「すると君が言いたいのは、彼は緑の息子であるということかな」
ともけん「緑と須賀の息子です。
緑の言う結婚を早めなければならない理由、それが妊娠にあるというのは明白です」
教授 「なるほど。では動機は復讐かな?」
ともけん「でしょう。本人を含め、斑目の血を引いた人間を殺していく。父の功績を奪ったことへの復讐です。
その一方で、誰彼構わず言い寄ろうとする。小田島は、斑目からすべてを奪いとろうとしている
のです」
教授 「それは解った。では、着物が代えられた理由、蝶が集まったり集まらなかったりした理由は?」
ともけん「その二つは相関関係にあります。
蝶を近づけさせないためのフェロモンを塗りつけた着物をるりに着せる必要があった」
教授 「そのために着せ替えたのか。着物を着せ替えることによって、蝶を遠ざけた」
ともけん「一方で、舘羽と紫紋の着物には、蝶をひきつけるフェロモンが塗ってあった……」
教授 「しかし、それにしても、るり殺害のときのアリバイ調べでは、小野寺は−−」
ともけん「ええ、ええ、解っています。だから、共犯者がいるのです」
教授 「……」
ともけん「るり殺害+死体移動+着物を代えるといった行動を一時にやるには時間がかかる。
しかし、これを二つに分ければ、所要時間は半分で済みます。
小野寺はるりを殺害、部屋で服を着せ替える。ここまでが前半です」
教授 「うむ」
ともけん「で、後半の死体移動ですが、これは小野寺のしたことではありません」
教授 「では、誰がやったのだね?」
ともけん「山野です。彼は事件のあった朝7時過ぎに、3〜4分ですがトイレに立っています」
教授 「しかし、なぜ彼が?」
ともけん「教え子の恨みを晴らすことに協力した。それで足りなければ……、彼こそが、揚羽の父親だからです」
教授 「なんと」
ともけん「血液型から、揚羽が紫紋と緑の間に出来た子でないのは確かです。これが迷彩になっていた。
姉と妹が殺され、彼女だけ助かった理由はこれです。一人だけ、父親が違うのです」
教授 「なるほどねぇ」
ともけん「るりにだけ蝶を近寄せなかった理由は、依然解りません。瞳の色がポイントだって気はするのですが」
教授 「いずれにしても、緑は三人と関係してるってことになる。少年誌で、それが許されるのかい?」
ともけん「う〜ん」
教授 「今回は、どうにも歯切れが悪い気がするね」
ともけん「実は、私自身、矛盾していることを言っているのは解っているんです。
ただひとつのことが解れば、人間関係というか親子関係がはっきりしてくるのですが……」
教授 「そんなことでは、金田一少年には勝てないよ。出直してきたまえ」
第9週《不死蝶の正体、そして…… 〜ともけんの報告書〜》
「黒死蝶殺人事件」に関する報告書
以下、掲載誌よりの設問に応えるかたちで報告いたします。
Q1)「黒死蝶殺人事件」の真犯人"不死蝶"とは誰なのか?
A1)小野寺将之
Q2)金田一少年が真犯人の正体に気づいた"きっかけ"は何か?
A2)眼鏡を常用している小野寺が、コンタクトレンズのケースを持ち歩いていることから、彼が瞳の色を隠そうとしていることを看破した。小野寺こそ、須賀と緑の間にできた子供だ。と。
(揚羽に黒死蝶がまとわりついたとき、隣にいたのは小野寺。それは、人に見られないよう揚羽にフェロモンを振りかけられる位置でもある。ちなみに、作者は二人の位置を1カット書き間違えている)
Q3)斑目るり殺しの時に真犯人が仕掛けた前代未聞の"アリバイトリック"とは何か?
A3)カリマイナチウスは、眠っているときは保護色で枯れ葉に変わる。これを利用して、薬品で眠らせた蝶でるりの死体を覆い隠したのではないか。朝7時過ぎに目覚めた蝶たちは、元の色にかえって四散し、そこに死体が現れる。枯れ葉の敷き詰められた蝶塚を遺棄場所に選んだのはこのため。(カリマイナチウスに関する知識がないので、適当なこと言ってる可能性あり(^^;)
補足)
動機:斑目紫紋&緑に対する復讐
=斑目紫紋は、須賀の研究及び彼の発見した夜光蝶のサナギを奪い取った。
緑は、須賀のことを忘れたかのように、紫紋のもとに走った。
この二人に代表される斑目の家の者全員を残らず殺してしまおうという気持ちが犯行に踏み切らせた。
以上、報告を終わります。
第10〜12週《解決編を読んで 〜反省会(1)〜》
教授 「なかなか、いいところをついていたようだね」
ともけん「ま、半分勝利−−といったところでしょうか」
教授 「揚羽に黒死蝶がまとわりついたあたりの推理は、深読みしすぎだったね。それにしても−−」
ともけん「人工授精とはね。あの血液型の問題は最後までひっかかってたんですよ。
一時は、山野と緑の関係まで疑わなければならなくなったんですから……」
教授 「それ以外は概ね正解したんだからいいじゃないか」
ともけん「あとひとつ、疑問があるのですよ」
教授 「なんだね?」
ともけん「美雪の見た、カリマイナチウスですよ。結局、羽の色が表裏違ったわけなんですが−−」
教授 「そのことは、見た瞬間に気づいていたはずだ、と?」
ともけん「当然でしょ。青と水色ということじゃない、片方は枯葉色なんですから」
教授 「ちょっと公平性に欠けたかな。しかし、それくらいは本筋に影響ないのでは?」
ともけん「大いに影響あり、と思うんですがね」
教授 「ところで」
ともけん「はい、来週はいよいよ、深山(遠野)の謎に決着がつきますね」
教授 「楽しみだよ」
第13週《解決編を読んで 〜反省会(2)〜》
ともけん「けっきょく、予想どおり、遠野は見逃してもらったようですね」
教授 「しかたないだろうね。あそこで彼を司直に突き出すはじめちゃんでもなかろう」
ともけん「しかし、戸籍を失ったんでしょう、彼。結婚なんてできるんですか?」
教授 「結婚=入籍というのは、君、古い考え方だよ」
ともけん「でも、子供できちゃったらどうするんです?」
教授 「未婚の母ということになるだろうな、父親は存在しないわけだから」
ともけん「子供はぐれませんかね?」
教授 「そんなこと、わしに解るわけがない」
ともけん「ごもっともです」
教授 「−−というわけで、13週にわたってはじめちゃんと知恵比べ?してきたわけだが」
ともけん「早速、次にいかにゃなりません」
教授 「次こそは、はじめちゃんを出し抜きたいものだね」
ともけん「御意」
「File17 仏蘭西銀貨殺人事件」に挑戦!
第1〜3週《ゆるやかな助走 〜ともけんと教授の会話より〜》
ともけん「教授、おひさしぶりです」
教授 「やあ、今までどこに行ってたんだい?」
ともけん「ちょっと修行の旅に出ていました。今度こそ完勝をめざして」
教授 「いい気合い乗りだね。で、早速だけど、どうだい今回は?」
ともけん「なんともね。有益な情報はほとんど出ていないし」
教授 「そこをなんとか考えるのがこの企画、何かないだろうか」
ともけん「まず、題名にもなっているフランス銀貨、こいつがポイントですね」
教授 「うむ」
ともけん「ぼくは例によって復讐ものと読みましたよ」
教授 「その心は?」
ともけん「銀貨の刻印"1970"、26年前ですが、この年、フランスで何かがあった」
教授 「なるほど」
ともけん「で、その時、何らかの怨みが生まれたとして、それを引きずっている人間が"葬送銀貨"氏です」
教授 「親の怨みを子が晴らす−−パターンだね。で、何があったと?」
ともけん「さて、そこまではまだ……ただ、犯人は少なくとも、26才以上の人間でしょうね」
教授 「今の段階でそこまで言えるかどうかはともかく、ま、いい線ではある」
ともけん「それから、奈緒子の位置づけですが、これは保留しときます」
教授 「三友、六条も、何かありそうだ」
ともけん「ええ、ええ。例えば、奈緒子が三友会長の血を引く者だとか」
教授 「ところで、次にに殺されるのは誰だろう?」
ともけん「これまでのパターンから、君沢ユリエが有力でしょう」
教授 「次回あたりだね。まずは展開を見守るとしようか」
第4〜5週《ミスディレクション? 〜ともけんと教授の会話より(2)〜》
教授 「〈葬送銀貨〉は奈緒子だというのかい?」
ともけん「今のところは、それがいちばん無難な推理でしょう」
教授 「詳しく聞きたいね」
ともけん「自分が狙われているという状況をつくることで彼女は容疑者の範疇から逃れることができた。
身近に、自分が葡萄アレルギーでワインを飲めないとことを知っている人間もいたわけで」
教授 「危険がないのを承知で、偶然死なずにすんだというシチュエーションをつくった。うん」
ともけん「実際、六条が死のうが死ぬまいが関係ない。狙われたということを周囲に見せつけられることができさえすればいい」
教授 「ドレスを送りつけたのも奈緒子自身なのかな?」
ともけん「無論。自分のサイズは自分がいちばん良く知っている」
教授 「なるほどね」
ともけん「その上ご丁寧に、奈緒子を殺すのは難しいから、次のターゲットを繰り上げようとますみに持ちかけた」
教授 「ふむ。しかし、そんな簡単でいいのだろうか?」
ともけん「私の悩みもそこにあります。これはミスディレクションかもしれない。だったら私は見事に騙されたということになります」
教授 「さて、今後が楽しみだ」
第6〜9週《犯人は解った! 〜ともけんからの年賀状〜》
新年、明けましておめでとうございます。
すっかりご無沙汰しております。私、この冬、猛威を奮うインフルエンザにやられてしまいました。すっかり体力を失ってしまい、大人しく自宅で療養する毎日です。研究室のほうに顔を出すこともままならず、直接ご挨拶に伺えないのを申し訳なく思っております。
さて、連日床に伏せてばかりいると、さすがに退屈に襲われるようになってまいりました。そこで、あらためて仏蘭西銀貨事件のこれまでの経緯を復習してみることにしました。結果、犯人だけはどうやら特定できたような気がしますので、ご報告いたします。
犯人は奈緒子です。
金田一少年が、剣持とフロッピーを前に何かを調べていたところ、ある発見をしました。そのときのディスプレイに映っていた社員リストと、その少し前、キミサワの本社がある場所の地名を問うシーンから、ひとつの推理が導き出されてきます。また、美幸がリストを見て首をひねるシーンも、重要な伏線になっています(これがあったので、金田一少年は、"あるリストを見て確認する"ことを思いついたのですから)。
つまりこういうことです。
社員に対しておこなった身体検査の結果は、その場では手書きで処理され、しかるのちパソコンに入力されたものです。この入力の段階で、オペレーターが勘違いをしてしまった。キミサワの本社があるのは京都の「烏丸通り」です。普段からこの地名を見慣れていたため、「鳥丸」を「烏丸」と読み違えて入力してしまったのです。故に、本社には「カラスマ」のデータが入ったディスクが盗まれずに残り、「トリマル」が入っている(はずの)ディスクが盗まれてしまったのです。
教授には、もうお解りでしょう。そうです、犯人は、ディスクを盗んだものの、鳥丸奈緒子のデータは結果的に手にしてはいないのです。するとおかしなことになる。なぜならば、実際に奈緒子にピッタリのドレスが送られてきたのですから!!
こうなると、奈緒子犯人説は俄然有力になってきます。前回お話した件、覚えてらっしゃいますか? あれも状況証拠として、私の推理を補強するものです。〈葬送銀貨〉は、鳥丸奈緒子の他にはいない。
問題は犯行動機ですが、これは現段階では解りません。
残された今ひとつの謎−−密室の問題ですが、これは鍵のすり替えがあったことは間違いありません。奈緒子はフロントに自分の部屋の鍵を置いて、かわりに317号室の鍵を手にしていたのです。これを、フロントから持ってきて、金田一少年の手に渡す前に再度本物にすり替えた。ただ、細かい手続きの問題が残っていますので、これは次回、私の病気の治りました暁には、直接研究室にてお話したいと思います。もうしばらくのあいだ、検討をしてみるつもりです。
最後になります。
旧年中は、一方ならぬお世話になりました。本年もまた、宜しくお願いいたします。
ともけん
第10〜13週《ちょい待てぃ!! 〜ともけんと教授の会話より(3)〜》
ともけん「なんか、納得いかないんですよね」
教授 「?」
ともけん「密室トリック、大体は解けていたんですよ」
教授 「ふむ」
ともけん「ひとつだけ引っかかることがあった。それは鍵をとりにいって戻ってくるまでに、キーホルダーを取り替える時間があるかってことで」
教授 「なるほどね。鍵谷も同道していたことだし」
ともけん「でしょ。だからぼくは、フロントに預けていたのは別のどうでもいい鍵だと思ったわけです」
教授 「うん、うん」
ともけん「小夜子が部屋の鍵を使ったといったことまで推理しておきながら、自分の部屋に入れなかったことも推理しておきながら−−」
教授 「すり替えが可能かどうかという点で推理の開陳をためらっていたのだね」
ともけん「ええ。本当に悔しい。それにスペアキーのすり替えができたはずがないようなことを金田一に言わせてるんですよ」
教授 「まあしかし、犯人の特定には概ね成功したわけだから……」
ともけん「それはそうですけど、今回こそ完璧に正答したかっただけに悔いは残ります」
教授 「それはまた次回の楽しみとしよう。それより−−」
ともけん「はいはい。君沢のことですね。う〜ん、やっぱり親子?」
第14週《なんともはや 〜ともけんの反省〜》
ますみにはもしかしたらハッピーエンドだったかもしれない?
しかし今回の最大の謎はメグレ伯爵の登場だろう……。特に必要があったとも思えないし、今後しばらくはフランスネタも使えまい。いずれ再登場があるとしても、今回は彩りにすらなってなかったような気がする。
まあ、それはさておくとして−−
奈緒子が無難に刑期を終えたとして、その頃には40才を過ぎることになるだろう。その後、業界に復帰なるかと言うと、そんな甘い話もないような気がする。視線のみ殺人者に甘くて、被害者の恨み辛みを背負った人生の行き先を想わせないのは少年漫画の常道とはいえ、しかし多少気になるところではある。
−−と、たまには真面目に締めくくろう。
「File18 魔神遺跡殺人事件」に挑戦!
第1〜8週《ともけんと教授の会話 〜謎はすべて解けた!〜》
ともけん「ご無沙汰してました」
教授 「やあ、お見限りだったね。どこかへ行っていたのかい?」
ともけん「いえいえ、仕事です。ちょっとバイトに精を出してましてね。こっちまで手が回りませんでした」
教授 「そんな言い訳をして、まだ今回の謎が解けていないんじゃないろうね?」
ともけん「あ痛っ!」
教授 「おいおい。真面目な話、どうなんだね?」
ともけん「ええ。ええ。大まかなところは掴んだと思います」
教授 「そうか。それは是非、聞かせてもらいたいものだ」
ともけん「では、お馴染み【真相当てクイズ】の3つの設問に、順をおって答えていきます。よござんすか?」
教授 「よござんすよ」
Q1:「魔神遺跡殺人事件」の真犯人"凶鳥の命"とは誰なのか?
ともけん「村西弥生でしょう。理由は次のQ2で−−」
Q2:第3の犠牲者蘇我豊広が残した"ダイイングメッセージ"を解読し、50程度で簡潔に答えよ!
ともけん「答えよ!−−なんて命令されちゃいましたが、お答えしましょう。
これは蘇我の握っていたカレンダーの次に何が来るかを考えてみればいい」
教授 「ほうほう」
ともけん「2/27、2/28と続けば、4年に1回の大放出でもない限り次は3/1になります。弥生朔日ですね」
教授 「−−で、何字になったかね?」
ともけん「へ? あー、字数制限のことですか。そんなもん、誰かにまとめてもらえばいいんです」
教授 「なんとも雑だね」
ともけん「私解く人、あなたまとめる人−−です」
Q3:"七鏡の館"の「暗号」を解き「魔具」のありかをズバリ指摘せよ!
ともけん「これは、少々露骨に図面に描かれていますね。
玄関ホールの壱の鏡から番号順に先の鏡の映像をうつしていくといえばお解りでしょう」
教授 「ふむふむ。なるほど……。結果として七の鏡にうつったものが壱の鏡にもうつると。閻魔地蔵か!」
ともけん「それは、家中の扉を開け放って、初めて可能なことなんですがね」
教授 「それで、例のガス漏れ事件のとき、犯人は"魔具"の在処にピンときたわけだ」
ともけん「そのとおりです。もちろん、宗像今日子が鏡を割った理由というのもここにあるわけです」
教授 「素晴らしい。冴えてるね、今回は」
ともけん「恐縮です。しかし、まあ、先を続けさせてください」
教授 「おお……どうぞ、どうぞ」
ともけん「今、ガス漏れ事件について軽く触れました。
このガスが曲者でして、前に金田一がラーメンを食べようとしてガスがつかなかった一件、覚えておいでですか?」
教授 「そういえば、そんなことがあったねぇ」
ともけん「実はあれ、密室トリックと関係があるのですよ」
教授 「なんと!」
ともけん「なぜガスがこなかったかといえば、供給が止められていたからと考えるのが普通でしょう。
で、ポイントはガスが止まった理由です。これは、別の用途に使われていたと私は見ました」
教授 「別の用途?」
ともけん「ええ。たとえば、凶鳥の座の密室に送り込まれていたとか−−」
教授 「! そうか!」
ともけん「お気づきになったようですね。そう、この行き先不明のガスは大和殺害に利用されたのです」
教授 「ガスの充満した部屋に閉じこめられた大和は、嫌でも唯一の通気孔に向かい、新鮮な空気を求めたはずだ」
ともけん「そこに彼を殺そうとしている人間が待ちかまえているというのに」
教授 「絞殺の方法も解っているのかい?」
ともけん「輪っかを使って、鳥を捕らえる罠があったでしょう」
教授 「なるほどねぇ。あれなら確かに通風孔の奥行きをゼロにできる……」
ともけん「残るは腐ったカラスの死骸ですが、これはガスの臭いを腐臭に紛らすためということで−−」
教授 「うむ、ほとんど謎は解かれたわけだね!」
[ほわいとぼーど]