【『金田一少年の事件簿』DATA】


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『オペラ座館殺人事件』


■題 名:FILE_01『オペラ座館殺人事件』
■初 出:「週刊少年マガジン」1992年
■単行本:1〜2巻(講談社コミックス)
■惹 句:孤島のオペラ座館に『怪人』は巣食い……
     連続殺人事件は幕を開けた……  (単行本1巻より)
■物 語:
 私立不動高校2年、金田一一(はじめ)は、名探偵金田一耕助の孫である。彼は幼なじみの七瀬美雪に無理矢理頼み込まれ、演劇部の合宿に参加することになった。孤島にそそり立つリゾートホテル「オペラ座館」を舞台に、凄惨な殺人が連続する。どうやら、ひと月前の月島冬子の自殺が関係あるようだが……。
 神出鬼没の怪人「歌月」と、金田一少年の知恵比べは、果たしてどちらに軍配が上がるのか!?
■解 題:
 記念すべき第一話。雑誌掲載時には、当然のごとく巻頭を飾った。
 しかし、当の担当編集者さえ、これほどヒットするとは思わなかったろうなぁ……。


『異人館村殺人事件』


■題 名:FILE_02『異人館村殺人事件』
■初 出:「週刊少年マガジン」1992年〜1993年
■単行本:2〜3巻(講談社コミックス)
■惹 句:『七人目のミイラ』の呪いが 異人館村にふりそそぎ・・・・謎が絡み合う!  (単行本2巻より)
■物 語:
 教師の小田切とホテルに行ったことがばれて、はじめの同級生時田若葉は、実家に連れ戻されてしまう。その若葉から結婚式の招待状が届き、はじめは美雪と、さらに小田切を加えて、若葉の故郷、青森の六角村−−通称異人館村−−を訪れることになった。
 村に巨大なダビデの星をかたちづくる六軒の家には、それぞれ身体の一部がない六体のミイラがあり……そして正にはじめたちが着いたその夜、首のないミイラを所有する時田家の娘若葉が、ウェディングドレスを血に染めて、首のない死体として発見される!! ドレスには犯人−−七人目のミイラの署名が!!
■解 題:
 有名な−−あまりにも有名なトリックをパクったことで有名なお話。
 使い方に多少の味付けがなされているが、オリジナルを超えたとは言いがたい。絵で見せなければならないというのも、この手の漫画の場合、ハンディになりますな。
 最初の殺人の密室トリックも、有名なトリックのバリエーションですね。


『雪夜叉伝説殺人事件』


■題 名:FILE_03『雪夜叉伝説殺人事件』
■初 出:「週刊少年マガジン」1993年
■単行本:3〜4巻(講談社コミックス)
■惹 句:『雪夜叉』が人を喰らう!? この吹雪の 止まないかぎり 殺人は続くのか・・!?  (単行本3巻より)
■物 語:
 冬休み、TV局のバイトで大雪山系にある背氷村を訪れたはじめは、ここでも連続殺人に巻き込まれる。
 伝説の「雪夜叉」とはいったい何者なのか? 明智警視との推理合戦に、はじめは勝利することができるのだろうか?
■解 題:
 以後、はじめのライバルとして再三競演することになる明智健吾警視の初登場作品。
 吹雪の山荘に雪夜叉伝説、ライバル(はじめにも美雪にも)登場、荒唐無稽なトリックと、このあたりからメジャーになりそうな要素が散見されるようになりました。私はあまり好みではないんだけど、意外と人気の高いエピソードかもしれない?

『学園七不思議殺人事件』


■題 名:FILE_04『学園七不思議殺人事件』
■初 出:「週刊少年マガジン」1993年
■単行本:4〜5巻(講談社コミックス)
■惹 句:学園に伝わる七不思議の奇怪な呪いが 「あかずの間」に死の影を呼ぶ・・!?  (単行本4巻より)
■物 語:
 学園の七不思議をすべて知ったものは、「放課後の魔術師」に殺される−−不動高校に伝わる七不思議の呪いは今、現実になり、創立祭を前に学園は血に染まるのだった。
 「放課後の魔術師」を名乗り、学校に脅迫状を送り付けた人物の正体を暴き、来る創立祭に発行する会報の目玉としたいミステリー研究会のメンバーだったが、かえって彼らは、一人、また一人と、謎の怪人の手で葬られていく。そしてついに美雪までもが……。
■解 題:
 TVではスペシャル版として放映されましたね。
 第一の殺人の、死体が消えてまた現れるというトリックは、これも先例がないこともないスね。トリックの再使用は構わないけど、この場合、読者層がほぼ一致するので、さすがにまずいんじゃないかと思います。

『秘宝島殺人事件』


■題 名:FILE_05『秘宝島殺人事件』
■初 出:「週刊少年マガジン」1993年
■単行本:5〜6巻(講談社コミックス)
■惹 句:秘められた財宝をめぐる連続殺人・・・・! 日向灘の小さな孤島は災厄の舞台に変わる・・!?  (単行本5巻より)
     惨殺はくり返される・・! 伝説の半獣人"山童"が守る玉の元に・・!?  (単行本6巻より)
■物 語:
 日向灘にある悲報島で、財宝の隠し場所を暗号で記した屏風が見つかり、その暗号を解いた者には財宝の1/10を譲るという触れ込みで財宝発掘ツアーが企画された。
 母にうまく乗せられ、そのツアーに参加することになったはじめだったが、いざ訪れた島で彼を待っていたのは、島のオーナー美作の、バラバラに引きちぎられた異様な死体だった……。
■解 題:
 人形がひとつ消えるたびに、伝説になぞられた殺人が起きる−−ありがちなパターンですが、秘宝探しという一方の話が、作品を彩りを加えています。
 犯人はのっけから読めちゃいますが、それはいつものこと?

『悲恋湖伝説殺人事件』


■題 名:FILE_06『悲恋湖伝説殺人事件』
■初 出:「週刊少年マガジン」1993年
■単行本:6〜7巻(講談社コミックス)
■惹 句:残虐な殺人鬼ジェイソンの罠に 美しい森の湖が血の色に染まる・・・・!  (単行本7巻より)
■物 語:
 長野の山奥にある悲恋湖畔に、リゾート村のモニターとしてやってきたはじめと美雪。二人を到着を待ち受けていたかのように、殺人鬼−−ジェイソン−−が刑務所から脱走したとの報が入り、間を置かず泊まり客の一人が、顔をめちゃくちゃにされて殺される。
 やはり犯人は「ジェイソン」なのか? 通信手段もなく、リゾート村に孤立するはじめたちに、殺人鬼の魔の手が襲いかかる。
■解 題:
 「ジェイソン」は、かなり安易。(^^; 話は悪くないと思うんだけど、シリーズ中、最もチープ感が漂うのは、やはりこいつのせいでしょう。
 犯人の仕掛けたトリックですが、なかなか使い方がうまくて感心しました。もちろん、この手のトリックに先例のなかったためしはないのですが、これはこれで悪くないと思います。
 ところで、ジェイソン君が入っていた刑務所ですが、いつきさんは近所のムショと言ってますが、長野県に死刑囚を入れるとこってあったっけ?

『異人館ホテル殺人事件』


■題 名:FILE_07『異人館ホテル殺人事件』
■初 出:「週刊少年マガジン」1994年
■単行本:8〜9巻(講談社コミックス)
■惹 句:聖夜を控えた古い異人館ホテルを舞台に"殺人劇"の幕が静かに上がる・・・・!  (単行本8巻より)
■物 語:
 はじめのところに、六角村の事件以来の俵田刑事から電話が入る。劇団アフロディアの主催するイベントの最中に、人が殺されるという内容の脅迫状が送られてきたというのだ。
 題して〈殺人劇への招待 ナルシスの魔鏡〉−−函館は異人館ホテルでおこなわれるそのイベントに出席するため北海道にやってきたはじめと美幸だったが、そこにははじめを敵視する北海道警の敏腕警視不破の姿があった。
 謎の怪人「赤髭のサンタクロース」からの再度の脅迫状、やがてリハーサル中に劇団長の万代が命を落とし、聖夜を控えた雪の町に連続殺人事件の幕が上がる。
■解 題:
 髭の赤い人っておかしいですよね(笑)。
 今回は、どうでもいいキャラがどうでもいい扱いを受けるので、犯人は序盤から絞られてきます。あとは犯行方法ですが……。
 被害妄想気味の犯人像は、結構珍しいかもしれません。

『首吊り学園殺人事件』


■題 名:FILE_08『首吊り学園殺人事件』
■初 出:「週刊少年マガジン」1994年
■単行本:9〜10巻(講談社コミックス)
■惹 句:呪われた学園にかすかに響く子守唄・・
     生にえの血を求め 地獄の使者が口ずさむ!  (単行本9巻より)
     死者に手向けられる「コモリウタ」の血文字
     最後の一文字は 誰のために残されている・・!?  (単行本10巻より)
■物 語:
 またもや母に乗せられたはじめは、名門予備校四ノ倉学園の門をくぐる。そこは自殺する者が後をたたない、日常的に人が死ぬ、別名、首吊り学園と呼ばれる呪われた学園だった……。
 それより一週間前、盗んだテストの答案の上にニワトリの血をまき散らすという奇怪な事件が起こり、数学講師の浅野遥子からその事件の解明を頼まれるはじめだったが、そんな彼をあざわらうかのように再び事件は起こり……犯行声明とも思われる血文字脅迫状には「地獄の子守唄」の不気味な署名が残されていた。
 そして三度、今度こそ人の命の失われた現場には、不気味な子守唄の調べが……。
■解 題:
 さすがにこれ以上、不動学園で殺人事件というわけにはいかないのでしょう、ところを変えて、名門予備校での事件です。
 しかし、なんともケレン味にかける話です。最後にお涙頂戴となるのが金少のパターンとはいえ、いい加減、ねぇ……。

『飛騨からくり屋敷殺人事件』


■題 名:FILE_09『飛騨からくり屋敷殺人事件』
■初 出:「週刊少年マガジン」1994年
■単行本:11〜12巻(講談社コミックス)
■惹 句:"首狩り武者"の凶刃がふりおろされ・・・・
     奥飛騨の小さな村は復讐の血に染まる・・・・!!  (単行本11巻より)
■物 語:
 ある日、剣持警部の元に届いた一通の手紙。差出人は彼の幼なじみ紫乃、彼女は奥飛騨にあるくちなし村に嫁ぎ、今は巽姓を名乗っているという。  手紙の内容はこうだ。「首狩り武者」を称する正体不明の人物が、巽家の次の当主の生首をもらいうける旨、脅迫してきているとのこと。紫乃に心ひかれる剣持は、彼女を守るため、はじめを誘い、くちなし村に急いだ。  死亡した先代は、先妻の子で長男の龍之介ではなく、紫乃の連れ子征丸を次期当主に指名した。それを恨んだ龍之介こそが首狩り武者の正体ではないかと紫乃は言うのだが……。  いずれにしても脅迫状が単なる脅しであることを祈るはじめ、だが容赦なく事件は起こるのだった。
■解 題:
 やはり金少には、こういった舞台がよく似合う。
 プロットも安定した、ひさびさのヒットですね。大小いずれのトリックも、なかなか優れているように思いました。ただ、ミス・ディレクションがフェアではないように感じましたよ。さすがに今回の人物配置だと犯人が見え見え、だからといって無意味に容疑者を増やしても……。

[ほわいとぼーど]