所在地     石川県小松市大文字町95−1
     入館料     300円
     休館日     毎週月曜日(但し祝日の場合はその翌日)、祝日の翌日、年末年始
     交通手段    JR小松駅から徒歩10分
     TEL     0761-23-2668
     備考      

錦窯とは、上絵を焼き付けるときにのみ使用する窯である。外窯と内釜、二重構造になっていて、内側には熱だけが伝わるようになっている。現在は電気やガスを使うようになり、ここに展示されているように薪を使う物は、殆どが失われてしまったという。

この展示館は、九谷焼で有名な徳田八十吉氏が三代に渡って工房そして住居として使った昭和初期の家屋を改修したものである。ここには、前述の錦窯の他、九谷焼の名品、下絵などの資料が展示されている。

入り口から入り、奥に進む。畳の部屋に上ると墨絵の屏風があり、その前の机には壺の下絵が置かれている。これは、初代八十吉氏の作品という。彩色は施されていないが、日の出と海、そして鶴の飛ぶ姿は日本画としての美しさと上品さが伝わってくる。奥には初代八十吉氏の愛用の品などが展示されている。筆や文鎮などに混じってガラスの器、時計、望遠鏡などもある。特にガラス器は当時はまだ珍しく、自慢の品で毎晩晩酌に使っていたという。

さて、奥に進むといよいよ錦窯である。縦に長い円筒形で、手前に焚き口が付いている。これが2基並んでいる。ちょっと覗いてみよう。窯の内側には更に内釜があり、炎はその隙間を通るようになっている。この内窯の中に絵付けを済ませた作品を入れ、薪をくべる。覗いて見た内釜の中には壺などもいれてあり、その様子が分かる。この壺、サンプルにしては実に見事な色で、現代九谷を思わせる。それもそのはず、これは3代目八十吉氏の作という。これほどの品を見本代わりに入れてしまうのだから贅沢なものだ。もっとも、それだけに覗いた瞬間の驚きも大きい。きっと、焼き上げた後、窯を開いた瞬間も同じような光景が広がっているのだろう。思い通りの色に焼き上がり、それを見た瞬間の喜びは、熟練した八十吉氏といえども、決して小さくはないだろう。それと同じような気持ちを味わえたような気がする。
この奥は、作業場風になっていて、九谷の色見本などがある。古九谷には、緑、黄、紫、時には紺、の合わせて4色が使われた青手、そしてこれに赤を加えた色絵。この5色が基本となる。この色の見本が皿に焼き付けられたのが置かれている。また、壁には江戸期の九谷の、図柄の見本もある。これは、当時の図柄を真似て作った品だが、中には淺蔵五十吉氏が作った物もある。写しなのかもしれないが、これほどの人が作った物が無造作に置いてあるのには驚いてしまう。

最後に、初代から三代目までの八十吉氏の作品が展示されているのを見ることが出来る。数は多くはないが、古九谷風の作品から現代九谷まで揃っている。そして、一番奥の別室には古九谷の名品が展示されている。九谷の職人たちは、この古九谷の色を目標にしていたという。これは、八十吉氏といえども難しく、古九谷の色を再現するのに30年かかったという。そんな目標となる作品だけに、色といい細かな書き込みといい、名品中の名品を思わせる。展示品は決して多くはないが、これだけの品が見られるのは素晴らしいことだと思う。

 

最終訪問日 1999年12月5日

 

石川の博物館に戻る

博物館のページに戻る