源 見学コース

 

          所在地     富山県富山市南央町37−6
     入館料     無料
     休館日     なし?
     交通手段    北陸自動車道富山ICから5分、国道41号線”とやまオムニパーク”交差点入る。
     TEL     076-429-7400
     備考

富山の駅弁、といえば”ますのすし”。
ますのすしは、駅弁として非常に有名である。知名度では、峠の釜飯などと並んで最上位に並ぶとおもう。
多くの方はご存知かと思うが、ますのすしは、一種の押し寿司である。直径おおよそ17cmの円形で厚さは1cm程度。すしめしの上に薄オレンジ色のますの切り身を乗せ、笹でくるみ、円形の木の入れ物に入って売られている。富山駅のほか、空港などでも買えるし、デパートの駅弁大会などでもよく売られている。

この、駅弁としてのますのすしを作っているのが”源”である。実は、富山にはますのすしを作るところはたくさんある。ただ、そのほとんどは数はそんなに多くは作っていない。駅弁として出せるくらいの量を作れるようになったのは、源が最初である。だから、源のますのすしを量産品、みたいに言う人も中にはいる。しかし、富山のますのすしがこれだけ有名になったのは源があってこそのことだと思う。

さて、源は富山市の南、41号線の近くにある。企業団地の中にある。白くて美しい建物で、いかにも食品工場らしい清潔感にあふれている。正面は広めのガラス窓が続いていて、椅子が並んでいるのが見える。ここだけ見るとどこかの大食堂?なんて思ってしまいそうな感じがする。
入り口から入るとまず売店が目に付く。富山近辺の銘菓や海産物の加工品、地酒など。もちろん、一番目立つところにはますのすしが並んでいる。この反対側はレストハウス。さっき見えた椅子はここである。700席、あるそうだ。ここの中央には、大きなあんどんが。これは、福野町の祭りで使われる、夜高あんどんである。レストハウスの利用者が多いとちょっと入りにくいが、ぜひ見に行こう。

展示はこの奥。暗くなっていて、通路はトンネルに入るような雰囲気がある。この通路にはちょっとした展示品が並べられている。まずは江戸時代の旅の小物。ちょうちん、枕、小物入れ・・・。続いて駅弁の包み紙。これはもちろん明治以降のものだ。そして最後は弁当の容器。弁当、といってもいろいろあり、中には蒔絵の大名弁当、といったものまである。旅と弁当、いかにも駅弁の源らしい展示品である。
次がいよいよますのすしの製造ラインである。まず目に付くのはベルトコンベア。ますのすしをぶら下げて運ぶもの、と一目でわかる。駅弁として量産しているだけに、つい”やっぱりね・・・”などと思ってしまう。でもその前に、まずはパネルでますのすしの作り方を見てみる。といっても、押し寿司として特に変わったことはない。ますをさばいて切り身にし、笹を敷いたうえに寿司飯を入れ、ますを乗せて重石をする・・・。笹でくるむことはちょっと変わっているかもしれないが、押し寿司としては一般的なもの。これに、木の容器を竹ではさみ、輪ゴムを掛け、包装して出来上がりである。
その上で製造ラインを見学しよう。このコンベア、実はすしを作るところから包装するところへ移動させると同時に重石代わりに圧力を掛ける、というものだ。機械化、というような大げさなものではない。が、派手に動いていてまず目に付くものだからつい自動化?と思ってしまっていたのだ。
製造の様子を細かく見てみよう。向かって左側はすし造り。丸い木の入れ物に笹を敷き、すし飯を入れ、ますを乗せる。そして、笹を閉じてふたを載せ、コンベアに乗せる。コンベアで運ばれている間に圧力をかけ仕上がったころに、包装の作業場所につく。重石をかけていたのをコンベアに任せ、同時に包装のラインへ移動させる、ということのようだ。すし自体は手作業で作っている、といってもいいようだ。もっとも、すし飯やますはこの時点でもう丸くなっている。これは奥で用意されるようだが、既に作業を終えていて、よくわからない。ご飯を丸めるくらいは機械かもしれない。
そして次の包装。これは自動化されているようだ。目に付くのは、木の入れ物に箸などを載せ、ラインに乗せているところだけ。この後の輪ゴムかけなどは自動化されているのかもしれない。もっとも、この程度の自動化は行わないと駅弁としての数は作れないだろう。自動化の程度だけ見れば、たとえばおみやげ物のお菓子あたりの方がよっぽど自動化されている。お菓子の方はほとんど機械生産なのだから。
これに対してますのすしの方は、流れ作業的ではあるが、手作業がまだまだ残っている。訪問したのは土曜日の正午過ぎ。もうすでにピークは過ぎていた時間だろう。コンベアはほとんど空のまま流れている。それでも、ざっと見て20人近い人が作業をしていた。本当のピーク時にはどのくらいの人が作業するのだろうか?これも見たみたいな、などと思う。

次は映像展示、そして伝承館となる。映像はますのすしの歴史など、ということだが、つい飛ばしてしまった。伝承館は、昔ながらの製法でのますのすし作りの実演となる。パンフレットには、ますの切り身を作るところと石で重石をするところが写真で載っている。しかし、残念ながら今日は見られなかった。暖かくなって、見学者が増える時期になったら・・・ということのようだ。また、ここで作られたますのすしは、”伝承館ますのすし”として売店で売られるそうだ。このフロアには、人間国宝・陶芸家石黒宗麿氏のコレクションコーナーがある。陶芸に関心を持つ人には必見だろう。

ここで元の売店にもどる。展示はそう多くはないが、製造ラインを見学できることを合わせるとちょっとした資料館並みの展示ともいえる。しかし、残念なことにここには名前がない。だから、このページのタイトルのように、”見学コース”としか書けないのだ。気の聞いた名前がつけてあれば・・・などと思ってしまう。
それともうひとつ。見学者用のパンフレットが置いてないのだ。私は売店にいる人に声をかけて資料をもらったが、これはどちらかといえば旅行会社などでツアーのコースを決めるときの資料のような感じだ。予約の食事の写真が大きく載っていたりする。ここの見学者は、おそらくまたどこかでますのすしを買う機会があるだろう。そんなとき、ここを思い出すだろうから、やはりパフレットは用意してほしいと思う。
駅や空港から少し離れてしまうが、車での旅行なら、ちょっとよってみるのもいいかな? そう思う場所である。


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