住所      石川県小松市小馬出町5番地
     入館料     400円
     休館日     月曜日、祝日の翌日(土、日を除く)
     交通手段    JR小松駅より徒歩12分、西町バス停から5分
                  北陸自動車道小松ICから10分程度
     TEL     0761-20-3600
     備考      

宮本三郎氏は、小松市松崎町に生まれた画家である。女性や花をモチーフに数多くの作品を残している。この美術館は、宮本氏の遺族から作品の寄贈を受け、2000年11月に開館した。

さて、この美術館は2つの棟からなっている。入り口に向かって右側は明治19年に築造された石張倉庫を元に作られている。これに対し、左側は美術館として新たに造られた建物で、鉄骨とガラスを多用して作られている。アンバランスになりかねないこの2棟、実にうまく組み合わせたものと感心する。
入り口は向かって左側、新しい建物からとなる。こちらはガラス張りとなっている。更に壁も白色のため、とても明るく近代的な感じがする。ここで受付を済ませ、渡り廊下で旧石張倉庫側に行く。明治19年築造、といっても外観は新しくなっているため、外だけ見ているとそんなに違和感はない。しかし、中にはいると一変する。木組みが剥き出しとなっているのだ。この木組み、さすがに古さを感じる。壁の白さは変わらないのだが、照明も含めて暖かさが感じられる。この木を見ながら階段を上る。1段、また1段と登るにつれ、なんとなく心が落ち着いてくるように感じる。
展示室はやはり白い壁となっている。だから、作品に集中できるし、落ち着いて鑑賞できる。しかし、上を見上げるとそこには木組みのトラスが剥き出しになっている。照明も、この木組みを生かして取り付けられている。ここは美術館。だから、主役はあくまでも作品である。普段、建物は全く自己主張しないのだが、そちらに目を向けたとたん、ずっしりとした存在感がある。だが、絵の鑑賞は全然じゃましない。そこに明治生まれの倉庫の価値を見たような気がする。
訪問したときは”よそおひ 〜画家の視線 視覚から感情へ〜”という収蔵品展だった。宮本氏の得意とする裸婦像などの女性を描いた作品が並ぶ。描かれた年代により、絵の感じはずいぶん変わるが、いずれも実に魅力的な作品である。

ここで再び渡り廊下を通り、新しい建物に戻る。壁だけ見ていると先ほどの旧石張倉庫と全然違和感はない。ただ、見上げてもそこにはごく普通の天井があるだけ、となる。ごく普通の美術館である。造りがこれほど違う建物なのに、と感心してしまう。建物もまた、作品である。


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