鶴間坂


鶴間坂は、旭町から小立野台地へと登る坂である。
細くて折り返しのある、長い坂である。上り口と降り口で直角に曲がる他、途中1箇所、折り返しがある。あとは崖を斜めに降りるので地形による多少の曲がりはあるが、ほぼ真っ直ぐになっている。坂の距離は結構あり、”金沢で一番長い坂”と呼ぶ人もいる。長さで言えば牛坂の方が長いが、”金沢”をたとえば旧城下町の範囲に絞るなら、その範囲では一番長いとも言える。

鶴間坂、交通規制上は自動車も通行可能なようである。しかし、住宅地の非常に細い道の奥にある。ここに車で行くのは軽自動車でもためらうことだろう。また、途中の折り返しも急で、内側がつかえそうに見える。2004年9月現在、道路わきに石で階段状の歩行者用のスペースが整備されている。そうなるとますます車は登りにくくなるだろう。事実上、2輪車までの道である。但し、長くて急な坂道。自転車で降りる場合は注意が要りそうである。

さて、坂は竹林の中を抜ける。急な崖でもあり、なんだか山の中を歩いているような気分になる。市街地の中とはとても思えない。そして、途中に石仏が並んでいる場所がある。屋根などはない。鶴間坂の途中には以前、旭清水の湧き水があり、お茶の水として、また書道の水として珍重されたという。また、この水を使っての酒造もされたという。しかし、現在は湧き水は枯れているそうだ。湧き水のあった場所、このあたりなのかもしれない。金沢の崖、坂道に湧き水は少なくなく、その脇に石仏などをまつっている場所が少なくない。ここもそうだったのかもしれない。

坂は途中、義堅院に降りる坂道が分かれる。鶴間坂より更に急で、石を敷いた急な坂。こちらは一層風情がある。

鶴間坂の由来であるが、この近くを鶴舞谷と読んでいたことから来ているという。鶴が舞う、非常に優雅な名前である。また、このあたり、眺望がよいことから詩人が好んで散策したとも言われている。

写真は、2004年8月の終わりごろに撮影。工事完了後に再度撮影の予定。

坂の折り返し部分。
写真左側は、竹林となり、鬱蒼としている。
坂の中ほどにある石仏。
義堅院に降りる坂道

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