東北白景

あらためて初乗り - 東北新幹線 -


八戸 7:58-(3006B:はやて6号)-8:33 盛岡
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明けて3月9日、小降りにはなったが雪は一晩中続いてさらに上積みされた様子。

盛岡に戻る。予定ではきょうの〔はやて6号〕が新幹線延伸区間の初乗り、そしてJR東日本の完乗記録回復……ということになっていたが、一日早く乗ってしまった。だから今度は逆に青い森〜IGRでもいいのだが、この状態なので計画通り新幹線にした。青い森(IGR)は動いているようだが、八戸線はいまだ運休中と駅に掲示されていた。(この日は(さめ)までしか復旧できなかったとか)

八戸の新幹線ホームは地上2面4線。1時間1本の折り返しにはおおげさな駅だが、新青森、さらには北海道への延伸を前提にした作りで、将来は追い抜きも行われることだろう。中央の2線、12・13番線には可動柵が設けられていることから、最速列車は八戸を通過することになろう。発着列車はおもに両脇の11・14番線を使用している。ホーム全体が屋根に覆われているのは雪国の新幹線駅に共通する仕様だが、雰囲気は明るい。全車指定では乗車口に列をなすこともなく、そもそも乗客の数が格段に少ないわけで、東京の喧騒とはずいぶん違うものである。

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曲線で構成されたドームに覆われている
八戸新幹線ホーム
〔はやて〕車両にはリンゴをイメージした
シンボルマークが掲げられる

ほどよく席を埋めて〔はやて6号〕は定刻通り八戸を発車し、一面の雪景色の中をぐんぐんと加速する。すこし山間に入るとすぐにトンネルで抜け、そのたび紙芝居のように景色がパッパッと変わる。コンクリート壁の新しさで意外に明るいトンネルが続き、たまに外に出ると「ガッ、ゴソッ……」と床下で雪のぶつかる音が絶えない。

延伸区間で先行投入された新型デジタルATCの威力のひとつ、一段ブレーキでゆるやかに二戸(にのへ)の地上ホームへ滑り込むと、横に見える在来線にブルーの車体が。上野方に機関車がついて〔北斗星〕のマークを掲げていた。この付近で足留めされてしまったらしい。新幹線は奥中山(おくなかやま)越えも陸上最長の一戸トンネルで抜けるため平然と走る。唯一の高架駅、いわて沼宮内は通過して、トンネルを何度も抜けると晴れ上がった盛岡へ。しかし岩手富士は雲に隠れていた。

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連結を見守る駅員・車掌そして見物客 〔北斗星〕×2 (盛岡)

あいかわらず注目度の高い〔こまち6号〕との併結作業から発車までを見届けて、乗換コンコースに降りた。窓口で釜石線が動いていることを確認し、〔はまゆり1号〕が待つホームへ向かう。するとまたしてもブルートレインが横たわっていた。下り〔北斗星〕が2本とも運転を打ち切られていた。


リアス点景 - 三陸鉄道(南リアス線) -


盛岡 9:01-(3621D:はまゆり1号)-11:12 釜石 12:30-(5216D)-13:18 盛 13:44-(3336D:スーパードラゴン)-15:55 一ノ関 17:15-(64B:Maxやまびこ64号)-20:04 東京
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「チエールアルコ(虹)」花巻は
銀河鉄道の始発駅

これから未乗の三陸鉄道南リアス線 (盛〜釜石) へ向かうつもりだが、動いていなければせっかく釜石まで行っても無駄足になる。時刻表に番号を見つけ電話してみたところ、南リアス線は動いているとのこと。北リアス線 (宮古〜久慈) は除雪が追いついていないらしく、すくなくとも午前中は運休という話だった。

快速〔はまゆり〕は2002年11月まで急行〔陸中〕として運転されていたもの。JR東日本の急行列車全廃の方針により、奥羽・花輪線の〔よねしろ〕、中央本線〔アルプス〕ともども消えて行った。ダイヤはそのまま存置され、車両も急行時代と同じく専用仕様のキハ110系が使われている。盛岡・新花巻駅での新幹線乗継割引も廃止されてしまったが、急行料金そのものが不要になったので結果として値下げになる。といっても安穏としてはいられない。東北横断道・花巻釜石線の建設が進んでいるからだ。

ところで北上〜新花巻・盛岡〜新花巻について、新幹線経由と東北本線(花巻)経由で選択乗車ができる、平たく言うと新幹線経由で作ったきっぷで花巻を経由してよいことになっていたのだが、2002年11月限りでこの扱いが廃止されていることがわかった。(北上〜盛岡については従来通り)

釜石線は愛称「銀河ドリームライン」。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」はこの路線の前身である軽便鉄道を基にしたとされている。エスペラント語の駅愛称も各駅に掲げられている。

新花巻で席がほぼ埋まり、遠野で半分くらい降りた。山に近づくと雪が深くなり、仙人峠へ入るとさらに大雪になった。


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釜石を後に盛へ向かう三陸鉄道36形 (釜石〜平田)
[Nikon D100, AF Nikkor 50mm F1.4D]

終点の釜石では雪がちらつく程度になった。山田線はまだ再開の見通しが立っていない。(結局15時すぎに宮古〜釜石間は再開したらしい) (さかり)ゆきへは20分程度で接続するが、1時間後の列車に乗っても大船渡線への接続は同じになる。南リアス線が平常運行していることを確認したので、ここで休みを入れることにして、先発列車の走行写真を撮ることにした。

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橋上市場の跡

釜石から「鉄の町」としての活気が消えて久しい。駅近くにあった名物の「橋上市場」も今年はじめに閉鎖、すでに跡形もなく撤去され、唯一面影を残していたのは橋のたもとにある看板だけだった。

釜石12:30発の5216Dは本来なら北リアス線の久慈(くじ)始発、山田線を経由してくる「三陸縦貫列車」なのだが、山田線ともども運休の今日は盛から到着した列車の折り返しとなる。のりばも所定のJRホームではなく、別に設けられた三陸鉄道のホーム。停車している36形1200番代は夏期間中に仙台〜盛〜宮古〜久慈〜八戸間を走る大縦貫列車〔リアスシーライナー〕に使用される車両。車内はセミクロスシートをすべて撤去し、代わりにリクライニングシートを並べている。

接続列車もなく発車。街を後にしてトンネルに入り、リアス式海岸を串刺しにするように根元を通過していく。半島をひとつ越えるごとに天候が変わり、だんだん雪が激しくなってきた。近くにみえるはずの海もよく見えない。

吉浜から旧盛線、三陸で下り列車と交換した。綾里(りょうり)を過ぎ、すこし長いトンネルをぬけると景色が一変した! 雪は降っていないし、地面にも積もっていなかった。今回いろいろな場所を通ってきたわけだが、山を一つ越えただけで天候の変化は劇的であった。最近天気予報ではこまかく地区を分けた予報がされているが、それも宜なるかなという感を強くする。


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車窓から見る東北白景
(左上から)板谷峠・山形置賜・宮城平野・八戸・盛岡・仙人峠・三陸海岸・盛

盛駅では、岩手開発鉄道の旅客営業廃止後もディーゼルカーは残っていたがすでに解体され、構内はずれの旅客用ホームと、工事用の一風変わった車両だけが残っている。

快速〔スーパードラゴン〕に乗って、一ノ関へ。すると北上方からまた〔北斗星〕を掲げたEF81がやってきた。今日の下りにはとうてい間に合わない時間だが、回送しないわけにはいかない。

フルスピードで駆け抜けた上下〔はやて・こまち〕の後に到着した〔Maxやまびこ64号〕はE4系8両編成。自由席はすでに満員、指定席車のデッキ通路にも立つ状態になってきたが、仙台で臨時にあと8両を増結することになった。一気に700人分の席が増えるギネス級の輸送力を確保して、車内も落ち着いた。