ひのでやエコライフ研究所  かんきょうもんだい一日一言

 自然エネルギーの可能性

1999年4月8日
 私たちが使っているエネルギーの源はいろいろな種類のものがあります。石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料、原子力などは、現在のエネルギーの多くを支えているのですが、いずれも地下資源に頼っているものであり、いずれはなくなってしまうことが問題となっています。二酸化炭素による温暖化の問題も、こうした化石燃料に依存しているために引き起こされているものです。地下に眠っている炭素を呼び起こして、大気中に放出するわけですから、そりゃ大気中の二酸化炭素濃度が高くなって温暖化が起こるのは当然です。
 そこで、持続可能なかたちで使っていけるエネルギーはないかと探してみると、意外とたくさんみつかるものです。すでに実用化されているものとしては、水力、風力、地熱、太陽熱、太陽光、波力などがあります。また、植物を育成させて燃料として使ったりすることも、バイオマスエネルギーとして、持続的な利用が可能です。こうしたエネルギーを一般的に自然エネルギーと呼んでいます。(このほかに、ごみ発電などを含めて「新エネルギー」とも呼んでいます)。

 特にこれらのエネルギーは、自分たちの身近なところでエネルギーが得られると言う点で、特徴的です。水力といっても必ずしも大きなダムを必要とするのではなく、小川のちょっとした流れでも一軒の家の電気をまかなうことができるくらいになります。こうした中小規模の水力発電は、費用としても安上がりでもあり、潜在的にかなりたくさんエネルギーが活用できると見込まれています。田舎で、自由に使える小川がある家庭では検討してみる価値があると思います。

 今日本の家庭で最も普及している自然エネルギー利用は、太陽熱温水器だと思います。2年ほど前に某○○ソーラが訪問販売の関係でトラブルを引き起こしていたのですが、こうした問題にかかわらず、省エネになるのは確かです。もともと、「おてんと様に当てておくと暖かくなる」という簡単な構造のために、ペットボトルを使って自作する人もあるようです。最近は真空管式などの技術改善により性能がよくなり、冬場でも晴れていればお湯が出てくる程度になっています。ただ現状では灯油の値段がかなり安いので、費用を回収するのには20年くらいかかります。一般的にはガスでわかしているでしょうから、これと比較したら10年ほどでようやく元を取れる程度でしょうか。日本政府の計画では、2010年までに現在の4倍以上の普及を見込んでいるのですが、もう少し補助がないと広がらないかもしれません。

 目あたらしいものとしては、太陽光発電でしょうか。屋根全体にパネルを設置することによって、ほぼ1家庭の電力消費をまかなうことができます。売電ができるため、少しでも多く電力会社に売りつけてやろうと、設置した家庭ではかなりエネルギー消費が減るというお話もよく聞きます。外見的にも目立ちますから、「環境にいい家のシンボル」としても定着していくかもしれませんね。大ブレイクするまでもう一歩といったところでしょうか。
 ただ国も1/3程度を補助しているのですが、そもそも値段が高いこともあり、補助金の募集枠を大きく下回る数しか申請が出されていないようです。 2010年までに100倍に増やそうと計画されているようですが、早速行き詰まっているというところでしょうか。
 補助金が出たとしても一世帯200万円ちかくかかるというのはやはり大きな負担となるようです。そこで、出資者を募って共同で太陽光発電所を運営しようという話もあります。「市民の、市民による、市民の為の共同発電所」設置プロジェクト など非常に興味深いです。一口20万円で電力の供給者になれるのですが、単に発電ができた以上にその社会的意味は大きいです。

 一番の注目株が、風力。値段的には他の火力発電と十分対抗できるくらいになってきているようです。風車といっても高さが50メートルあるくらいでっかいものです。デンマークでは農場など至る所に3枚羽の巨大な風車が立ち並んでおり、風力発電の先進国になっています。日本の場合には、風力発電の風車の周りには(安全のため)人が入れないように柵を作らなくてはいけないとか、いろいろな規制があるのですが、デンマークでは本当に牧場の真ん中に立っているといった感じだそうで、日本の制度も考え直す必要はあるそうです。

 いずれも自然に任せたエネルギーですから、消費するエネルギーの全てをまかなうのは難しいものです。しかし、化石燃料と自然エネルギーのどちらをメインにするのかといった考え方くらいは変えていく必要があるでしょう。現状では、化石燃料が主で、お飾り程度に自然エネルギーを導入している感じですが、これから自然エネルギーがメインして用い、自然エネルギーが取り出せないときに補助的に化石燃料に頼ると考え直すべきだと思います。
 別に無理にエネルギーを電力会社や、中東に頼ることはないでしょう。私たちの身近に、生きていくのに十分なエネルギーが使われないまま放っておかれているわけですから、これを使わないのは損です。



追加情報 99.04.12
 風力発電ですが、現在いちばん多く導入されているのはドイツで、日本の100倍程度の導入があります。デンマークはその半分強といったくらいです。
 ただデンマークでは「エネルギー21」という計画の中で、2030年には送電力の40-50%程度を風力でまかなおうというシナリオを作っています。日本のように絵に描いた○○ではなく、実際にここ数年の風力発電設置数も極端に増えているのですが、「地域の住民が自分たちで風力発電を設置している」というのが増加のキーポイントのようです。すでに国民500万人のうち、12万人程度が風力発電を持っているそうです。
 
 
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