ひのでやエコライフ研究所  かんきょうもんだい一日一言

 環境家計簿の効果

1999年4月20日
 ちょっとひのでやエコライフ研究所の業務として、環境家計簿の整理を行っていました。環境家計簿は全国30カ所以上で取り組まれていると言っても、たいていは自治体が家計簿の冊子を作成して希望者に配布しているだけで、成果がどうだったのかまとめているところとなるとかなり少なくなってしまいます。しかも比較的きちんと集計をしているところでも、環境家計簿を通じてどれだけ環境負荷の削減ができたのかについては、言及していないところもたくさんあります。
 
 それもそのはずで、きちんと「環境家計簿によって削減が達成された」ことを言うためには、昨年の同じ月に比べて増加したかどうかを集計し、さらにその期間の気温が暖かかったのか寒かったのかによっても補正をかける必要があるため、かなり話がややこしくなるようです。
 単純に先月と比べたいところですが、残念ながら暖房や冷房の関係で、春秋が二酸化炭素排出が少なく、夏冬が多くなる傾向があり、比較してもあまり意味はありません。

○京都市(実施期間 1998年10月〜1999年1月)
 電力消費量は1.3%の減少。ガス消費量は9.1%の減少。特に、環境家計簿に参加した人が集まって話し合いをするワークショップを開いており、これに参加した家庭は削減が多くなっている。

○環境庁・世田谷区(1997年11月4日〜12月10日)
 電気・ガスを合わせた二酸化炭素排出量で比較を行い、対象世帯全体での削減量は1.9%、比較的積極的に取り組みを行った世帯では約5%の削減となった。

○おおさかパルコープ(1998年7月〜9月)
 単純な昨年との比較では、電気は8.6%の増加、ガスは3.5%の削減、水道は3.2%の削減。ただしこの年の夏は蒸し暑かったため、関西全体でエアコンの消費が多く、関西電力の統計でも1契約あたり7.8%の増加となっている。これを補正すると二酸化炭素総量で0.6%の削減となる。
 また、家族の協力が得られた家庭ほど、削減量が多くなっている。
 

 全体で見ると、取り組んだことによって二酸化炭素の排出量は削減できるみたいですね。ただ家庭のエネルギー消費量は複雑ですから、大幅に増やしてしまった家庭もあれば、大幅に削減できた家庭も含まれています。
 環境家計簿の取り組みは、一つには二酸化炭素排出量をチェックしながら減らしていこうということですが、なかなかきれいにはいかないようです。ただ、意識という点では、参加することにより省エネのことに関心を持つようになった人が多いようです。
 こうした点を評価にいれたら、まあ取り組んでみていい結果が得られると言えるのでしょうね。
 

 なお、環境家計簿を取り組むのには、とりあえず地元の自治体(県など)に問い合わせてみてください。たいていは作っているはずです。
 

この内容に関してのお問い合わせは鈴木まで。お気軽にどうぞ。

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