ひのでやエコライフ研究所  かんきょうもんだい一日一言

 ごみ処理費用の問題

1999年4月23日
 1ヶ月あたり電気代9300円、ガス代6000円、上下水道代4400円。これは日本の一世帯あたりの平均的な支出額です(家計調査年報1997年)。公共料金とはいえ、各家庭で使っているものですから、当然お金は払うものだと思いますよね。ところが同じ公共サービスでも、ごみ処理については税金から支払われており、たいていの所は無料で引き取ってくれます。 有料化している所も一部ではありますが、処理費用をまかなうために有料化しているところは少なく、袋代といった感じの非常に安い値段でしかすぎません。もし処理にかかる費用を全部有料化したら、かなりの反発が予想されるためです。
 ごみ処理には一世帯あたり月に2500円程度かかります(京都市の場合)。電気やガスといった料金に比べたら安いものですが、例えば週2袋のごみを出していると考えると、1ヶ月間に8袋ですから、一袋あたり300円以上もかかっていることになります。無料で市が回収してくれるのであれば、ごみを減らそうという気にもならないかもしれませんが、袋に300円のシールを貼り付けないと市が回収してくれないとなると、ふつうの人だったら多少苦労してもできるだけリサイクルに回そうと考えるでしょう。

 ドイツで容器包装リサイクルが成功している理由の一つに、このごみ処理料金が有料であることがあげられています。そりゃちゃんとわけたら無料になるのですから、せっせと分けるでしょうね。

 こうしたごみ減量の効果が確実に見込めるわけですから、実は自治体でも有料化したいとは思っているのです。でもできないらしいのです。悲しいことに、市民の反発が予想されるために、議会も首長(市町村長)も選挙をひかえてあまり口にしたくないそうです。たいていは首長選から2年たって議会選、議会選から2年経って首長選と繰り返されており、選挙の前の年には準備を始めるために市民の反発する提案ができないとなると、これはいつまで経っても有料化の提案がされない構造から抜け出せないことになります。
 というわけで、市町村から国に対して「有料化を後押し」してくれるようお願いに出かけるそうなのですが、国としても「ごみ処理は市町村の事務で、国が口出ししにくい」ということらしいです。
 今まで税金で払っていた分を個別に払うだけなので、市民としても損ではないはずで、かなりリサイクルなどに関心があって賛成してくれる市民も多いと思うんですけれどもね。

 はてさて、だれが猫の首にスズをつけるんでしょうか。
 

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