ひのでやエコライフ研究所  かんきょうもんだい一日一言

 家電製品中の重金属

1999年5月12日
  廃棄物中に含まれる重金属として問題になるのは、鉛、カドミウム、水銀で、重金属御三家と呼ばれています。このうち水銀については、技術開発により1990年ころから主要な用途であった乾電池に使われなくなったため、廃棄量も大きく低下してきています。現状では蛍光灯の用途が大きな物となっていますが、最近では蛍光灯中の水銀使用量を減らす技術が進歩しており、アメリカなどではすでに蛍光灯ごみは有害廃棄物の基準を下回る程度になっているそうです。

 カドミウムはもっぱら充電式電池に使われています。時計機能がついている製品、ウォークマンやコードレス電話、などニッケルカドミウム電池が使われている可能性があり、廃棄のときには本当は分解してニッカド電池を回収場所に持っていく必要があります。一個は非常に小さいものですが、非常に有毒ですから(ポットに入れた場合)。
 ただ、最近は同じ様な充電式電池でも、カドミウムを使わないタイプも出回ってきています。特にあたらしいタイプは、計量化が進んだリチウムイオン電池などが使われており、こちらは有害性はかなり小さいものです。

 残っているのが鉛。これはなかなかやっかいで、今でも焼却灰からは大量に検出されます。1000ppmといいますから、1kgの灰の中に1g程度の鉛が混入していることになります。
 家電製品の中にも、充電式電池として、ハンダとして、塩化ビニールケーブルとして使われています。特にコードレス掃除機などに使われている充電式電池は、大量に鉛を含んでいますから、これは決して捨てないように気をつける必要があります。構造は車のバッテリーとほぼ同じですから、ガソリンスタンドに頼んで引き取ってもらって下さい(300円くらい引取料をとられるかもしれませんが)。
 家電製品の中には、電子部品を基板につなぐためのハンダ、そしてビニールケーブルに比較的多く鉛が使われているようです。1台あたり数g〜数十g程度使われています。これらは今のところどうしようもありません。
 もうひとつ、それ以上に大量に鉛を使っているのが、テレビになります。テレビの中では電子ビーム(放射能のβ線と同じもの)が飛んでいますから、それが外に漏れないようにするために鉛入りのガラスが使われています。ここに使われているのが数百gにもなります。

 現状では家電製品の中の重金属は回収されていませんから、これらは埋め立て地に直接埋め立てられるか、焼却されてしまうことになります。2001年から施行される家電製品リサイクル法ではテレビの鉛ガラスについては適切に処理することが決められましたが、バッテリーなど重要な部分はまだ法律が作られないままとなっています。
 家庭でできることは限られてしまいますが、電池、特に充電式の電池があったら、分けて適切なところに持っていく必要があるでしょう。ニッカド電池は電気屋さんで、鉛電池(自動車用バッテリーを含む)はガソリンスタンドで回収をしています。

 

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