ひのでやエコライフ研究所  かんきょうもんだい一日一言

 涼のとりかた

1999年7月26日
  家というものは熱を溜めるのにはよくできているものです。冬の場合には、暖をとるのに非常にありがたい存在ですが、夏の場合にはそれが逆効果ですね。下宿は午前2時を回っても室温は32度あります。湿度が低いためか扇風機をつけているだけでずいぶん涼しいのですが、それよりも時々窓から吹き込んでくる外気のほうが遙かに冷たく、これが部屋の空気と入れ替わってくれたらどんなに気持ちがいいものかと思ってしまいます。

 私の下宿は京都の町家に多い「うなぎの寝床」形式の建物なのですが、その道路側と路地裏側の2つに分けて部屋が設定してあります。向かいの部屋もドアを開けっ放しにしてくれれば、非常に風通しがいいのでしょうが、どうも冷房を入れているらしくプライバシーの問題もあり、なかなか風通しがよくはなりません。向こうがエアコンを入れたら、こちらもエアコンを入れないといけないという構造になっているんですね。

 暑くてやってられないということで、涼をとりに散歩にでかけてきました。とはいってもここは京都三条、東海道五十三次の終点である三条大橋のそば。すぐ近くに新京極もあり、町中は車も人も多く、とても涼んでいられる場所はありません。そこで東(江戸)の方向へと歩いてみることにしました。

 夜間徘徊というと言葉は悪いですが、要するに夕涼みですね。
 東山三条の交差点を東に抜けたあたりで、南北に白川という整備された小川が流れているところにでくわしました。幅5メートルほどの川底は砂利石で固められており、深みも中州もなく、のっぺりと水が流れています。コンクリートで真っ平らにされているわけではないので、小石の凹凸のために、せせらぎの音が響き渡り、澄んだ水面のさざなみには街灯が映ってなかなか落ち着いた雰囲気の場所にしあがっています。白川の両側には車がようやく通れるくらいの道が整備されており、並木として柳の木が川へと張り出しています。

 ちょうど知恩院の前あたりには、川面に板で張り出しが作ってあり、ベンチで休めるようになっていました。板一枚下にはせせらぎが流れているというのも、くすぐったい響きが伝わってきていいものです。ところどころには、夜中ということもあって、鴨が身体を丸めて水草に足をからませて休んでいるのが見えます。人通りもすくなかったこともあり、ゆっくり涼ませてもらいました。

 家の中を涼しくするのも重要なんでしょうけれども、こうした涼しい所を見つけるのもまた、夏を涼しくすごす方法なのかもしれませんね。

 

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