ひのでやエコライフ研究所  かんきょうもんだい一日一言

 アイドリングストップの効果

1999年8月2日
 アイドリングとは、車を動かしていない時にエンジンが動いている状態のことです。空回りをさせているだけですがガソリンを消費するので、信号待ちなどの時にはエンジンを止めることによってガソリンの消費を減らしましょうというのが、アイドリングストップの呼びかけです。
 言葉としてはよくあちこちで見かけますし、荷下ろしをしている宅配の車などではよく実施しているようです。ただ信号待ちでアイドリングストップをしているのはまだ珍しいのでしょうかね。そういった車には、いまだに2度しか出会ったことがありません。
 環境庁によると、全国の7000万台の車が一日10分間、荷物の積み替えや人の乗り降りなどの停車中にエンジンを止めることで、二酸化炭素が炭素換算で年間224万トン、燃料で同34億リットル削減できるそうです。また同じく環境庁の調査では、アイドリングストップ条例や要綱について全国33自治体で制定しているそうです。 (朝日新聞 99年4月7日)

 ただ一方で、ちょっと前の話しになりますが、次のような内容の新聞記事を見た方も多いでしょう。
 
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  ◎エンジン切ると逆効果も  警察庁シミュレーション  共同通信   99年6月 4日

 地球温暖化防止や燃料節約のため、駐停車時に車のエンジンをいったん切る「アイドリング・ストップ」について、警察庁科学警察研究所(科警研)がコンピューターで模擬実験したところ、東京の環状7号のように交通量が多い道路での信号待ちでは、渋滞を助長する上、エンジン再始動により二酸化炭素(CO2)排出量が車1台当たりで約3・2倍にも増えるとの結果が4日、まとまった。
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 どうもアイドリングは環境に悪そうな表現ですし、周りの人からもよく「本当はアイドリングは環境によくないのか?」といった話を聞くこともありました。結論から言うと、個人的な省エネとしてはアイドリングストップは有効だけれど、渋滞が起こりそうな特殊な状況下では逆効果もあり得るでしょう。「迷惑にならないアイドリングストップ」をしましょうということでしょうか。

 エンジンは止まっていても1000回転くらいしていますし、アクセルを踏んでいる状態で3000回転とかいった数値になるんでしょうか(助手席から時々眺めるくらいなのでよく知りませんが)。エンジン気筒内のガソリン濃度が一定と考えると、回転数に応じてガソリンが消費されることになります。
 エンジン始動から発車まで4秒かかるとします。この時間にアイドリング状態の3倍の回転数があったとしても、アイドリング12秒分にしかすぎません。それ以上ストップする時間があれば、アイドリングは止めておいたほうが負荷が少なくなるという話です。こんなわけで、個人的にはアイドリングストップすることには問題ないでしょう。

 ではなぜ悪い状況がでてくるのかというと、渋滞で目的地までの到着時間が長くなる(自動車を動かす時間が長くなる)可能性があるためです。自動車の省エネを考えるのに結構重要になってくるのが、この「渋滞」の要素です。
 アイドリングストップ状態から車を始動させると、アイドリング状態で待機しているよりも時間がかかるために、交差点を通過できる車の台数が少なくなる(交差点通過に時間がかかる)ことが起こるというわけです。
 特に「渋滞」は研究対象としても面白いもので、交通量がある敷居値を越えると一気に渋滞が増加して、通過時間が長くなる現象が起こります。アイドリングから復活するための時間はわずかですから、それだけで3.2倍も二酸化炭素を排出することはあまり考えにくいでしょうが、このわずかな差が渋滞を新たに引き起こしてしまい、車の動きが止まってしまったためにこれだけガソリンを多く排出してしまったという次第です。

 車で走る事自体、二酸化炭素の排出量は多いのですが、たくさんの車が道路を走ることにより渋滞が引き起こされ、相乗効果で悪くなるということが起こるわけです。アイドリングストップはその渋滞を助長することがありうるので、渋滞が起こりそうな場所へは、「アイドリングストップをするから出かけてもいい」のではなく、「車で出るのを避ける」のが正しいというわけです。

 しかし、そもそも何を意図してシミュレーションしたのか知りませんが、このシミュレーションの設定にかなり無理があるような気がします。記事にある3.2倍の設定として、「すべての車が信号待ちでエンジンを切り、信号が青に変わって順番にエンジンを始動させた場合」を想定しているそうですが、これではエンジン始動の時間がかかって後ろの車が発車するまでに大きな時間ロスが生まれるのは明らかですし、明らかに迷惑行為でしょう。ふつうアイドリングストップしても、自分の車が発車するタイミングを見計らってエンジンをスタートさせておきません? シミュレーションで意図的に渋滞を引き起こしているとしか思えないのですが・・・・・・。

 ちなみに、同日のNHKの報道では以下のように伝えられていましたので、警視庁は交差点でのアイドリングストップに乗る気でないということなんでしょうかね。

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 警察庁では、信号待ちでクラッチを切ると自動的にエンジンが切れる特殊な装置を付けたバスについては、調査対象になっていないため、判断できないとしていますが、一般の車についてはアイドリング・ストップは、渋滞や信号待ちの時には行わないよう指導することにしています。
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 どうも悲しいことに警察庁は環境問題に関心がないみたいですね。
 

この内容に関してのお問い合わせは鈴木まで。お気軽にどうぞ。

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