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皮膚外用薬について

皎売主な皮膚外用薬の基剤の特徴

油脂性基剤

 ワセリンなど石油からつくられる鉱物性基剤と、動植物を原料とした動植物性基剤があります。

水溶性基剤

 水に溶ける基剤で、日本薬局方のマグロゴール軟膏があります。皮膚潰瘍などの浸出液が多い患部の使用に適しています。

乳剤性基剤

 油と水を界面活性剤によって乳化した基剤です。水が外層で中に油を含む水中油型(O/W型)と、油が外層で中に水を含む油中水型(W/O型)があります。

ローション

 アルコールや水など液状の溶剤と薬物を用いて作成されるもので、物理的性状により乳剤性、溶液性、懸濁性に分けられます。

ゲル

 ゲルは、ゾル(液体を分散媒とするコロイド)がゼリー状に固化したもので、患部に塗布すると体温で半液体状(ゾル)になり、周囲に広がります。医薬品ではヒドロゲルとリオゲルがあります。
 ヒドロゲルは、無脂肪性で洗い流しやすく、含有水分が蒸発する際に気化熱で皮膚を冷やします。
 リオゲルは、主に高級アルコールとプロピレングリコールで構成され、水分を含まず、外観はクリームに似ていますが吸水性があり、皮膚を乾燥させる傾向があります。

外用薬の経皮吸収経路との経皮吸収に影響を与える因子

経皮吸収経路

 経皮吸収経路は、皮脂腺や汗腺、毛孔など、皮膚の付属器官を経由する経路と、表皮を経由する経路の2つがあり、主にどちらの経路で吸収されるかは、薬物そのものの性質によってことなります。

影響を与える因子

  • 皮膚疾患うや皮膚の損傷によって皮膚のバリア機能が損なわれていると、薬物の経皮吸収性が高まります。
  • アトピー性皮膚炎などでバリア機能が低下している皮膚では、健康皮膚では透過しにくい分子量の大きい薬物でも透過する場合があります。(分子量が500を超えると人の健康皮膚からの透過は困難となる)
  • 乳幼児や学童では、皮膚のバリア機能の形成が不十分であるため、成人に比べて薬物の経皮吸収性が高いといわれています。
  • 皮膚の温度が上昇すると、薬物の吸収量は増します。温度上昇により皮脂の粘度が低くなり、とふした外用薬と馴染みやすくなるためと考えられます。
  • 血流量の増加や発汗による角層中水分量の増加も、経皮吸収量が増える要因であると考えられます。
  • 角質層は脂溶性であるため、脂溶性薬物は角質層と親和性が高いため移行しやすく、水溶性薬物は移行しにくい特徴があります。(脂溶性が高すぎても、移行しにくくなります)
  • 薬物の結晶形や粒子径なども経皮吸収性に大きく影響します。
  • 薬物と基剤や添加物との親和性が高すぎると、薬物は製剤中から皮膚へ移行しにくくなります。薬物がよく溶ける基剤や添加物を用いた場合、薬物が製剤中で飽和状態になりにくく、薬物が角質層へスムーズに移行しません.逆に薬物が溶けにくい基剤や添加物を用いた場合、薬物が角質層へ移行しやすくなります。(薬物が完全に製剤中に溶けている場合に限られ、飽和状態になり、薬物が結晶化してしまった場合はこの限りではありません。経皮吸収性を高める添加物として、プロピレングリコールやミリスチン酸イソプロピル、サリチル酸類などがあります。)
  • 単位時間で経皮吸収される薬物量(吸収速度)は、製剤中の薬物濃度に比例して増加します。
  • 薬物と皮膚あるいは薬物と基剤や添加物との相互作用なども、経皮吸収に影響を与えることがあります。
  • 外用薬の塗布時に圧迫したり擦り込んだりすることで、毛孔、皮脂腺中に外用薬が押し込まれるため、薬物の経皮吸収が促進されます。
  • 塗布面積、外用薬の接触時間、塗布回数なども経皮吸収に影響します。
  • 部位によって吸収量の違いがあります。
頭皮
3.5
前額
6.0
下顎
13.0
腋窩
3.6
背面
1.7
前腕(外側)
1.1
前腕(内側)
1.0(基準)
手掌
0.83
陰嚢
42.0
足首
0.42
足底
0.14

※ ヒトにおけるヒドロコルチゾンの部位別経皮吸収量