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麻薬小売業者間での麻薬の譲渡・譲受について

   〜 麻薬小売業者間での麻薬の譲渡しの許可申請の特例 〜

 平成19年8月13日付官報で、麻薬及び向精神薬取締法施行規制の一部を改正する省令が告示されました。麻薬小売業者間での麻薬の譲渡しの許可申請の特例に関する省令で、平静19年9月1日から施行されます。
 この改正により、事前に同一都道府県内の薬局と共同して「麻薬小売業者間譲渡許可」を申請し許可を受ければ、麻薬の在庫量の不足のため麻薬処方せんに記載された分量の麻薬を調剤することができない場合に限って、当該不足分を補足するために共同で許可を受けた薬局間で麻薬を譲渡・譲受することが可能になります。(今回の改正は麻薬小売業者間が対象で、病院、診療所間は対象外)

背景 〜 在宅での疼痛緩和医療を円滑に進めるための環境整備の一環 〜

 薬局(麻薬小売業者)が自らの麻薬の在庫不足により、急な麻薬処方せんに対応できないという時に、近隣の薬局から不足分の麻薬を譲受し調剤できれば、より適切・円滑な患者さんへの麻薬の交付が可能に。

改正のポイント

改正前

  • 麻薬小売業者が麻薬を購入できる相手先は同一都道府県内の麻薬卸売業者のみ。
  • 麻薬小売業者は、麻薬処方せんにより調剤した麻薬を交付する以外に麻薬を譲渡することはできない。

改正前
矢印

改正後

  • 事前に同一都道府県内の薬局と共同して麻薬小売業者間譲渡許可を受ければ、共同で許可を受けた薬局間での麻薬の譲渡・譲受を行うことができる。※ 麻薬の賃借は今まで通り認められていない。

改正後

※ 麻薬の在庫量の不足のため麻薬処方せんに記載された分量の麻薬を調剤することができない場合に限り、共同で麻薬小売業者間譲渡許可を受けた薬局間での譲渡・譲受が可能になる。

麻薬小売業者間で麻薬の譲渡・譲受を行うには。

許可申請

 同一都道府県内に麻薬業務所がある2つ以上の麻薬小売業者で共同して「麻薬小売業者間譲渡許可申請書」を地方厚生(支)局長に提出し、地方厚生(支)局長より、麻薬小売業者間譲渡許可書の交付を受けます。
※ 共同して申請するすべての麻薬小売業者の麻薬業務所の所在地が同一の都道府県の区域内にある場合でも、麻薬小売業者の数、各麻薬小売業者の麻薬業務所間を移動する際に要する時間等を考慮し、麻薬の譲渡・譲受が、患者に対する適切かつ円滑な麻薬の提供に資するものではないことが明らかな場合には許可がおりない場合がある。

麻薬小売業者間での麻薬の運搬

 それぞれの管理薬剤師又はその管理の下で業務に従事する者が行い、麻薬卸売業者や配送業者等が行ってはなりません。

譲渡・譲受

 麻薬小売業者は、麻薬小売業者譲渡許可に基づき他の麻薬小売業者に麻薬を譲り渡す場合には、麻薬処方せんの写し及び譲受人が作成した譲受確認書の交付を受けた後、又はこれと引き換えに麻薬を交付し、同時に、自らが作成した譲渡確認書を麻薬の譲受人に交付します。交付を受けた麻薬処方せんの写し及び譲受確認書又は譲渡確認書は、交付を受けた日から2年間保存します。
 譲渡・譲受を行った麻薬の品名、数量等について、麻薬帳簿に記載します。

許可の有効期間

 許可の日からその日の属する年の12月31日か、又は期間を限定して許可を受けた場合には当該期間の最後の日の、いずれかの早い日まで。
※ 共同で許可を受けたいずれかの麻薬小売業者の免許が失効したとき、麻薬小売業者の氏名、住所、麻薬業務所の名称などに変更が生じたときは、許可を受けた麻薬小売業者で共同して変更届などを地方厚生(支)局長に届けなければなりません。

許可の有効期限

麻薬小売業者間譲渡の概要(平成19年9月1日施行) 

1.申請方法
 麻薬小売業者間譲渡許可を受けようとする2つ以上の麻薬小売業者は、省令の条件*や制度の趣旨に合致することを確認した上で、共同して以下に掲げるものを管轄する地方厚生(支)局麻薬取締部あてに提出(郵送でも可)する。許可された場合には、原則、許可書は郵送される。
許可の有効期限は、許可を受けた年の12月31日まで。
(1)申請書の正本            1部
(2)申請書の副本            申請する麻薬小売業者の数に1を加えた部数
(3)全申請者の麻薬小売業者免許の写し  1セット
(4)申請した麻薬小売業者の所在地を記載した封筒(A4サイズ以上で切手付きのもの)    申請する麻薬小売業者の数 
2.譲渡・譲受
 麻薬小売業者間譲渡許可を受けた麻薬小売業者(以下「許可業者」)は、許可業者間で麻薬の譲渡・譲受を行う場合、以下の点に注意する。
・麻薬の在庫不足のために、麻薬処方せんにより調剤することができない場合に限り、当該不足分を譲渡・譲受すること
・許可に当たって付された条件を遵守すること
・譲渡・譲受を行う場所は、事故の未然防止の観点から、適切と考えられる場所とすること
・麻薬の運搬については、それぞれの管理薬剤師又はその管理の下で業務に従事する者が行うこととし、麻薬卸売業者や配送業者が行ってはならないこと
・ 譲り渡す許可業者は、予製した麻薬ではなく、原末を譲渡すること 
3.許可業者の義務
(1)報告
都道府県知事への届出(麻薬及び向精神薬取締法第47条)を行う際は、品名ごとに、許可業者間における譲渡・譲受に係る数量の合計を算出し、合計欄 に内数として括弧書きで併記する(毎年11月30までに提出)
(2)記録
許可業者間における麻薬の譲渡・譲受についても、麻薬帳簿への記載を行う
(3)書類等の保管
麻薬小売業者間譲渡許可書:許可を受けた日から3年間保存
麻薬処方せんの写し・麻薬譲受確認書、麻薬譲渡確認書:交付を受けた日から2年間保存 
4.変更届
 許可業者は、許可の有効期間内に生じた変更について、速やかに地方厚生(支)局麻薬取締部に届け出なければなりません。なお、許可業者以外の麻薬小売業者を含め、麻薬の譲渡・譲受を行おうとする場合は、新たな許可を申請し直すこと。 
5.再交付
 許可業者は、麻薬小売業者間譲渡許可書を毀損し、又は亡失したときには、速やかに地方厚生(支)局麻薬取締部に麻薬小売業者間譲渡許可書の再交付を申請すること。 
6.様式
 麻薬小売業者間譲渡許可申請書等は、麻薬取締官のホームページでダウンロードすることができます。
  (http://www.nco.go.jp/report/yakkyoku.html) 
*次の要件をすべて満たすこと
・いずれの麻薬小売業者も、共同して申請する他の麻薬小売業者がその在庫量の不足のため麻薬処方せんにより調剤することができない場合に限り、当該不足分を補足するために麻薬を譲り渡そうとする者であること。
・いずれの麻薬小売業者も、当該免許に係る麻薬業務所の所在地が同一都道府県の区域内であること。