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フランスのAGV対日本のFASTECH360     (2008.2.17)

先頃、新聞に「フランスで、時速360キロで走行可能なAGVが公開」という記事が出ていました。AGVは、フランスの新幹線TGV(Train a Grande Vitesse)の新世代版で、TGVの営業運転時速が320キロですから、時速40キロのスピードアップとなります。AGVとは、Automotrice à Grande Vitesse(高速自走車両)のことだそうです。
AGVとTGVの構造上の違いは、TGVの特徴は連接台車と動力集中方式(1編成10両のうち動力車は前後の2両のみ)でしたが、AGVは、日本の新幹線と同様に動力分散方式(1編成10両の各車両が動力車)を採用しているそうです。ただし、新幹線は連接台車を一切使用していませんが、AGVはTGVと同様2〜9両目は連接台車を使用しています。既にイタリアの鉄道会社と契約しており、将来はフランスの全てのTGVをAGVに替え、スピードアップをは図るそうです。
ところで、時速360キロ走行を目指す列車は、日本でもJR東日本が開発を進めています。「FASTECH(ファステック)360」のE954形とE955型電車です。(FASTECHは、FASt TECHnology(高速技術)を短縮した造語)。2010年度に東北新幹線が新青森駅まで延伸するに当たり、新幹線の航空機との競争力を高める為に開発することになったそうです。E954、E955とも、動力分散方式。 ただし8両編成のうち、1両目と8両目はモーターを搭載しない制御車で、2〜7両目が動力車となっています。各車両の連結は連接台車ではなく、各車両に台車があるオーソドックスな方式です。この為、車両の長さはAGVより長くでき、定員はAGVよりやや多いようです。時速360キロ走行中に制動をかけた時に、停止するまでの距離をこれまでの新幹線の制動距離と同等またはそれ以下に抑えることを目指し、「耳のついたシンカンセン」と呼ばれた扇形の板が車両の側面上部にせり出し、空力ブレーキとなる構造になっています。
いずれにせよ、時速581キロを出した磁気浮上式リニアモータカーが、用地買収や莫大な投資などの問題山積で営業運転が夢物語ともなりかねない状況の中で、フランスと日本で、車輪とレールと摩擦力(粘着力)で走るオーソドックスな粘着式鉄道が、時速360キロの営業運転を目指して一層のスピードアップをで競い合っているのは興味のあるところです。

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