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幻の名画「バレリーナ物語」   (2008.12.01改)

東京オリンピック翌年の1965年、「バレリーナ物語」(原題:Ballerina)という映画が公開されました。 出演は、200年の伝統を誇る当時の王立デンマークバレエ団のダンサーたち。 主役の少女メッテには、同バレエ団の新鋭として輝かしい将来を期待されていた当時19歳のメッテ・フニンゲンが起用され、彼女を助けてプリマ・バレリーナのキエステン・シモーナがプリマ・バレリーナそのままの役で出演しています。
 
あらすじは次の通りです。
メッテ(メッテ・フニンゲン)はバレエ団に通う少女。彼女はプリマバレリーナ、キエステン(キエステン・シモーナ)に憧れていると同時に、キエステンからも才能を買われています。彼女はダンサーになりたいのですが、彼女の両親は反対しています。「なにもダンサーになって苦労することはない。普通に結婚して幸せな生活をして欲しい」と願っていました。
そんな彼女は、「コッペリア」の主役を踊る幸運を得ました。
練習を重ねて、本番の日。メッテは極度に緊張していました。その為か、彼女は階段を踏み外して転落、足首を捻挫してしまいました。 もうだめだとあきらめたとき、フットボール選手の恋人スペンは、選手の足を治す名人のトレーナを連れて戻ってきました。 医者も驚くほどの荒療治でしたが、30分後、立てるようになったメッテは舞台に向かいました。

心配そうに見守るスペンやキエステンの期待に応え、メッテは、美しく、見事に「コッペリア」全幕を踊りきりました。 割れ返るような拍手に深々と頭を下げるメッテの姿に、両親はもう「バレエを辞めなさい」とは言えませんでした。
若く美しいバレリーナが誕生したのでした。
 
こんなストーリーです。この映画では、200年の伝統を持つ王立デンマークバレエによって、コッペリア以外にも、ラ・シルフィードと白鳥の湖のシーンが踊られました。また、この時プリマバレリーナだった、キエステン・シモーナの踊りも魅力的でした。 また撮影の舞台となった北欧の都コペンハーゲンの美しい風景も存分に楽しめました。
 
この映画は、ウォルトディズニー・プロダクションから公開されましたが、あまりヒットしなかったようで、その後リヴァイバルもなかったと思います。 伝統に輝く王立デンマークバレエ団の最高のバレエを存分に楽しめる、心温まる感動の物語を、是非、もう一度観たいものです。 こんな珠玉の逸品、DVDで発売してくれることを期待します。
【キャスト】キエステン・ホルム:キエステン・シモーナ、
メッテ・ソレンソン:メッテ・フニンゲン、 父ポール:ポール・ライカート、
母:ヘルガ:アストル・ビヨーム、 総指揮:ウォルト・ディズニー、
監督:ノーマン・キャンベル、 音楽;ハインツ・シュライター

ところで、先日、マーゴ・フォンティーンがナレーションを務め、BBCで製作されNHKで放送された、「バレエの魅力」(The Magic of Dance)というドキュメンタリー映像を見ていたら、 このメッテ・フニンゲンが踊っているシーンがありました。ラ・シルフィードの主役のシルフィードでした。 映画出演の時は、まだ19歳の少女だったのが、 「バレエの魅力」が撮られた1980年代までには、立派に王立デンマークバレエのプリマ・バレリーナへと成長していたのです。

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