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藤川真弓の弾く「メンデルスゾーン」   (2002.8.2)

一枚のDVDがあります。市販のものではありません。かつてテレビで放送されて録画したビデオから、作ったものです。
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。藤川真弓のヴァイオリン、エーリッヒ・ベンゲル指揮BBCウェールズ・ナショナル交響楽団、1983年の録音です。
 
もともとこのメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、クラシックとは言うものの、極めてポピュラー。メンチャイといって、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲と組んで、多くのレコードが出ています。
藤川真弓さんは、こんなメンデルスゾーンの協奏曲をとても丁寧に美しく弾いておられ、女性の細やかな感情が伝わってきます。
藤川さんは、モーツァルトの演奏に定評があります。私は、彼女のモーツァルトヴァイオリン協奏曲全集のCDと、藤川さんがデビューした直後に録音したヴァイオリン協奏曲第3番K.216と第5番K.219のLPレコードを持っていますが、このLPの演奏は特に素晴らしいと思います。パーヴォ・ベルグルンド指揮、日本フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、埼玉県民会館で録音されたものです。彼女は、何て率直にモーツァルトにぶつかっていることでしょう。日本フィルの控えめな渋い伴奏に対して、若い藤川さんのヴァイオリンの音が踊っています。知らず知らずに引き込まれていくのです。
 
ポピュラーであるからこそ、弾くのは極めて難しいメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。モーツァルト弾きの藤川さんのメンデルスゾーンへの果敢な挑戦に、大きな拍手をおくりたいと思います。


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