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映画「冬の恋人たち」(THE CUTTING EDGE) (2006.8.25)
クールビューティ
荒川静香選手が、東洋人で初めてオリンピックの金メダルを獲得してから、早半年。フィギュア熱も冷めかけてきたころですが、アルベールヴィル・オリンピックのフィギュア・スケートを題材にした、隠れた青春映画の佳品のビデオがあります。
テープ棚からふと取り出して観たのですが、見終わって、改めて、爽やかな余韻に浸りました。
天才少女と謳われながら性格上の問題もあってパートナーに恵まれなかったケイト。そのケイトが新しいコンビを組むのは、なんと元アイスホッケー選手のタグ。彼は、ホッケーの米国代表でしたが目を負傷してこれを断念、フィギュアに転向したのです。2人は何度も対立しますが、やがてパートナー以上の感情が・・・。猛特訓の末、二人はオリンピックで金メダルに輝きます。
自宅にリンクを持つほどの富豪の娘で、勝ち気なヒロインのケイトのわがままお嬢様ぶりと、工員のダグとの生活感のズレがそれなりに面白く描かれています。主演のD・B・スウィーニー、モイラ・ケリーともスケートの経験はなく、この映画のために特訓を積んで、なかなかの足さばきをみせていますが、実は、氷上でのほとんどの場面が別のプロスケーターによる吹き替えだそうです。それが全然わからないカメラワークと映像効果は見事です。
負けず嫌いの二人が朝の練習に来る時間を競ったり、本番で音楽が流れる直前まで喧嘩しあったり、頑固な二人の競い合いは、なかなかは面白いものです。最後の演技の直前、タグはケイトに恋心を打ち明けます。自らもダグへの恋に気がついたケイトは、あえてパンチェンコに挑戦しようとダグを促します。
男性が女性のスケートのエッジを持って女性を分回し、手を離して放り出すという、万一失敗したら女性は大怪我をする危険な技です。
危険すぎると躊躇するダグに、「一発ぶちかましたい気分なの」とケイト。でも氷上では二人の心が一つになって、パンチェンコは大成功。
満場の拍手の中、ダグはケイトに「なぜやった?」と訪ねると、ケイトは、「愛しているから・・・」と。熱い口づけでハッピーエンド。華麗なスケーティングの中に、オリンピックを目指す若者のひたむきさが美しく、スポーツ物としても、恋愛物としても、十分楽しめる作品です。
ただ、原題「THE CUTTING EDGE」が、どうして「冬の恋人たち」なのでしょう?
監督:ポール・マイケル・グレイザー、脚本:トニー・ギルロイ
撮影:エリオット・デイヴィス、音楽:パトリック・ウィリアムズ
出演: D・B・スウィーニー、モイラ・ケリー、
ロイ・ドートリス、テリー・オクィン、ドワイヤー・ブラウン
制作:1992年、アメリカ
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