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ニースのハイブリッド路面電車  (2008.7.2)

2008年6月、南仏を旅行しましたが、ニースでとても興味深いものを見てきました。架線のない路面電車(トラム)です。地下鉄には、架線の代わりに第三軌条(サードレール)から集電する電車もありますが、この第三軌条もありません。この路面電車、バッテリーに蓄えた電気で走っているのです。
電車は発進時や加速時には、電気でモーターを回して走りますが、慣性走行時や減速時には電気を使わず、逆に車輪によって回されたモーターのコイルには電気が起きます。この電気をバッテリーに蓄えて、再利用しようというものです。トヨタ・プリウスのようなハイブリッドカーの集電・蓄電方式とよく似ています。
ニースの路面電車は、街の中心部以外は架線から電気をもらって走ります。マセナ(Masséna)広場やガリバルディ(Garibaldi)広場付近にさしかかると、運転手はパンタグラフをたたみ、これ以降の架線のない区間は、バッテリーで走ります。
なぜこのようなことにしたかというと、電力の節減もさることながら、ニース市民は景観にこだわったのです。世界有数のリゾート地であるニース市街地の美しい街並みを、路面電車の架線柱や架線で損ないたくなかったからとか。フランス人の美への意識は、新しい物も積極的に受け入れるとともに、古いものも残すという、懐の広さがあるのでしょう。
「景観を維持しつつ、環境にも配慮する」、日本も見習うべきところがありそうです。

ニースのトラム開通時の記事(Nice Premium ニュースへのリンク)
ニースのトラム路線(Tramway de l’agglomeration Nice Cote d’Azur 公式サイトへのリンク)
  
 

マセナ広場をパンタグラフをたたんで走り抜けるトラム

架線があるのはここまで
パンタを降ろした車両と上げた車両

ニースの街並み。架線がないのはこの景観を壊したくなかったからとか

ところで日本では、こんな取り組みは無いものかと調べてみたら、ありました!!!。
札幌市の市電軌道で実験中とのことです。この電車は、JR総研製ハイトラムと川崎重製工スイモで、ニースのトラムと同様、架線区間は商用電力で、無架線のところはバッテリーで走ります。ハイトラムは最新・高出力のリチウムイオン電池、スミモは低温に強く安定しているニッケル水素電池搭載だそうで、それ以外は大きな違いはないようです。
ただ、無架線区間を何処にするかといった地区の思惑や、現行車両をどうするか、費用をどうするかなど多くの問題を抱え、いつ実現できるか見通しがたっていないそうです。
ニースの「景観重視と環境保全の両立」といったような採算性度外視の思いきった発想と市民の理解がないと、実現には、いろいろな壁があるかもしれませんね。

札幌のハイブリッド路面電車紹介(札幌LRTの会(Sapporo LRT Society)へのリンク)

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