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白鳥の湖〜黒鳥のパドドゥ:スーザン・ジャフィ,ホセ・カレーニョ    (2004.7.4)

パドドゥの醍醐味というか、この上ないパートナーの助け合いの美しさを感じる映像があります。スーザン・ジャフィーとホセ・カレーニョによる「白鳥の湖」から「黒鳥のパ・ド・ドゥ」です。「アメリカンバレエシアター・ナウ」というビデオの中の一演目の映像ですが、特に好きなものです。
踊りだけでなく、ジャフィーとカレーニョの話も入っていて興味深い。「古典作品が大好き。高度な技術が要求され、だからこそ、やりがいがある。ホセは力強くて理想的なパートナー。しっかり支えてくれ、私は安心して踊れます。」とスーザンジャフィ。「スーザンと共演するときはいつも役にのめりこむ。パートナーとしての責任は重い。」とホセ・カレーニョ。
出演前、ジャフィの緊張は頂点に達しているようで落ち着きません。脚が冷えるのが不安なのか、レッグフォーマーで包んだままポアントの屈伸をして調子を確かめたり、バーから恐る恐る手を離してバランスを試したり・・・。また、カレーニョに腰を支えてもらって、繰り返し繰り返しピルエットの練習を繰り返す・・・・。彼女の表情は不安が一杯で逃げ出したいといった感じ。
でも、カレーニョ「僕がついているから大丈夫だよ」と言っているようなの優しいまなざし、「落ち着いて」と足踏みを促したり・・・・。カレーニョのリードに促されて、ジャフィは、意を決したように頷いて、お互い見つめ合って、手を握り合ってステージに駆け込んでいきました。
アダージョの最初、ジャフィの表情はこわばっていました。でもカレーニュのサポートに次第に落ち着いてきたのでしょう。中盤から、にこやかな笑顔が見えてきました。このアダージョ、「助け合う気持ち」が感じられて、微笑ましさに溢れた美しい踊りでした。アダージョを無難にこなし、ジャフィは、ヴァリエーションではすっかり自分のペースを取り戻したようで、溌剌と、しかも優雅に踊っていました。コーダの、グラン・フェッテ・アントゥールナン。ジャフィはかなり辛そうでしたが、必死に頑張って踊りぬきました。フィニッシュのピルエット、出演前はかなり心配そうに、繰り返し繰り返し練習していましたが、本番ではばっちり決めてホッとした笑顔。大きな拍手が沸きました。
それにしても、ホセ・カレーニョの相手の動きをよく見た丁寧な暖かいサポートは、本当に気持ちがよいものです。ソロは凄くうまいけれど、アダージョでは気の無いサポートをすることもある日本の某氏に、爪の垢でも飲ませたいくらいです。 カレーニョのサポート、女性に不安を与えまい、最高の踊りをさせたい、と気持ちが溢れていて、パ・ド・ドゥのパートナーはかくあるべきといったものを見せてくれているようです。


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