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ドン・キホーテ:関西バレエカンパニー公演(2003)  (2006.5.25)
「ドン・キホーテ」全幕の映像があります。2003年の日本バレエ協会関西支部、関西バレエカンパニー公演の録画です。 主役のキトリ役の堀端三由季は、スラッとしたプロポーションの美しいバレリーナ。高校2年生の時「白鳥の湖」のオデットに抜擢されるなど10代から主役を踊ってきたそうで、 2004年度文化庁芸術祭舞踊部門で新人賞を受賞しています。若いのに大阪バレエアカデミーの講師も務め、後進の指導もしているそうです。 この映像は、新人賞受賞の前年のものですが、さすが美しくあでやかでパッと舞台に大輪の花が咲いたようです。 ロシア留学で得た技術は正確で、演技は伸びやかで華もあり、舞台に出てきたときからふんわりした暖かい空気が漂ってきます。 グラン・パ・ド・ドゥのヴァリエーションのフィニッシュでわずかに足がもつれてハッとしたり、コーダのグラン・フェッテの後半、 軸足が左右に振れて、はらはらしたところもありましたが、 むしろ、はじらような笑顔がこぼれて気持ちよく、また、若いけれど日本人ダンサーにありがちな幼さもなくて良かった。 同じ関西人と言うことで、1997年の江川由華の キトリと比較してしまうのですが、優しい雰囲気の江川由華は、また違ったキトリのイメージで楽しめました。 ただ、ドルシネア姫も、決して悪くはないのですが、キトリと雰囲気の違いがあまりないのが気になりました。 キトリの快活さに比べ、優しさ、清楚があったらなお良いと思いました。この点は、私は、江川由華の方が好きです。 グラン・パ・ド・ドゥを踊り終えた堀端三由季、額には汗が光り、胸は大きく波打っていました。

バジルは佐々木大。1990年頃から世界各地のコンクールに挑戦。91年秋、国立ロシア・バレエ団に入団し、クレムリン宮殿で踊った「ドン・キホーテ」の主役で脚光を浴びたとのこと。佐々木のバジル、テクニック的には問題なし、素直で真面目という印象です。 第一幕、第三幕とも、二人を見守る群舞とも調和のとれた踊りで、物語の中にしっくりと収まっていました。 堀端三由季の背が高くトゥで立つとさらに15センチほど高くなり、佐々木より高いのが気になりましたが、佐々木のサポートは問題なかった。 二人のパートナーシップもよく、堀端三由季を支える佐々木大が、とても丁寧で良い印象でした。 アダージョ見せ場の高いリフトからのフィッシュダイブも、佐々木は落下する堀端をがっちり受け止め、観客は大きな拍手。 堀端三由季の「やった!!」という感じの笑顔が美しかった。

また、第2幕で目をひいたのが、森の女王を踊った楠本理恵香。とても優雅な素敵な踊りです。 出だしのバットマン・タンデュは足が高く上がって美しく、終盤の難しいイタリアン・フェッテにも果敢に挑戦。途中で回転がとまりそうになりバランスが崩れそうになったところを必死に堪え、頑張って踊る姿には感動でした。 第3幕のグラン・パ・ド・ドゥのキトリの友人のヴァリエーションを踊った山下摩耶も魅力的。小柄でふっくらとして可愛らしく、軽快なステップと爽やかな笑顔が美しかった。 ポーズもステップも正確ですし、グランジュテに続くフィニッシュもピタリと決めて見事でした。

堀端三由季も楠本理恵香も山下摩耶も、東京の舞台で観る機会がないのがとっても残念です。
   
   キトリ 堀端三由季、バジル 佐々木 大
   町の踊り子 要垣内康子、エスパーダ 山口 章
   キトリの友人 山下摩耶、藤田美和子
   森の女王 楠本理恵香、キューピット 柳生明菜
   2003年1月25日、大阪国際会議場メインホール

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