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「海賊」(キーロフバレエ)    (2003.11.1)

キーロフ劇場の「海賊」です。この映像では、アスィルムラートワ、ネフ、ルジマトフのパドトロワが一番見どころなのではないでしょうか。通常、パドドウで踊られるこの踊りに、ルジマートフの奴隷、アリが加わってのアダージョの流れるような展開、そのあと、熱い情熱のほとばしるような奴隷のヴァリアシオン、華やかなコーダと続きます。コーダでのアスィルムラートワの胸のすくような32回のグランフェッテは見事。歯を食いしばって必死に回る人が多い中で、軽快に一糸乱れず笑みさえ浮かべた余裕の踊りでした。 ロイヤルの「ラ・バヤデール」に客演したときの、凛とした姿のニキヤも素晴らしかったのですが、メドゥーラは彼女に、よりよく似合う役柄だと思います。
このパドトロワでは、アスィルムラートワとルジマトフ、同じ黒髪、黒い瞳で、東洋系のきりりとしたフェイスで、理想のカップルのように見えますが、その後けんかをしたとかで、コンビを解消したとのことです。
また、幻想のシーンでのアスィルムラートワには、うっとりです。支えられた両手を離してアチチュードのバランスをとるところは、はっと息を呑む美しさです。
ザクリンスキーが奴隷商人ランケデムとしてアスィルムラートワと同じ舞台に立っているのを見られるのは嬉しいものです。このころ芽生えた恋で二人は結婚、その後二人で踊る機会が増えたようです。子供も生まれたそうで、数年前に撮られた「眠りの森の美女」は、微笑ましさ一杯で、二人の幸せな気持ちが自然に現れた映像なのでしょう。
グルナーラのパンコーワは繊細で美しく、見とれてしまいますし、その他、コールドバレエまで、皆それぞれ、いい踊りを披露していると思います。キーロフバレエの面目躍如といった感じです。
 
私の持っているのは古いレーザーディスクですが、最近は、DVDでも出ているようです。1986年の録画で、録画時期は新しくありませんが、画質は良いほうだと思います。
 
  バレエ「海賊」、振付=マリウス・プティパ
  メドーラ:アルティナイ・アティルムラートワ
  コンラッド:エフゲニー・ネフ、アリ/ファルフ・ルジマトフ、
  ランケデム:コンスタンチン・ザクリンスキー、グルナーラ:イリーナ・パンコーワ
  キーロフ・バレエ (1989年)

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