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小林紀子バレエ「ラ・バヤデール」「レ・ランデヴー」「チェックメイト」 (2003.8.2)

私の手元に、古い舞台写真があります。英国ロイヤルバレエの「チェックメイト」です。ベリル・グレイの黒の女王のが誇らしげに二本の剣を振りかざしています。多分、1960年頃の写真です。
今回の演目は、「ラ・バヤデール」「レ・ランデヴー」「チェックメイト」ですが、私は、この「チェックメイト」が目当てでした。そんなわけで、まず「チェックメイト」から感想を述べます。
 
「チェックメイト」は、ニネット・ド・バロワ振付で1937年に初演されて以来、ロイヤルバレエでは何百回となく上演を重ねているそうですが、日本ではあまり知られていません。小林紀子バレエシアターで、以前上演したことがあるそうですが、私は見ておりません。
今回の主役の黒の女王は大森結城さん。すらっとした長身で、どこか、写真のベリル・グレイを感じさせます。ダイナミックな迫力ある踊りは、黒の女王のイメージを良く出していました。彼女は初役だそうですが、汗びっしょりの熱演に感動しました。
このバレエは、チェスになぞらえて「愛」と「死」の戦いを描いているのですが、戦いの場面でのコールドバレエが勇壮で迫力があります。40分程度のバレエですが、主役もコールドも、踊りはとても充実していて、楽しめました。
 
「ラ・バヤデール」からは、有名な「影の大国」の場面。コールド・バレエが整然とスロープを降りてきて、長いアラベスクの列を作ります。
パドドゥは、下村由理恵さんとトーマス・エデュール。長いリボンを持って踊るシーン。下村さんにしては、やや、いつもの華やかさが少なく地味な踊りに思えたのですが、この物語に合うように派手な動きを抑制していたのでしょう。いつもながら、高いジャンプから着地しても、靴音もほとんど立てない優雅な踊りは、さすがだと思いました。
 
「レ・ランデヴー」は、小林紀子バレエシアターでは初演とのこと。リズミカルで楽しい踊りを楽しめました。主役の島添亮子さんが可愛らしく、とても軽快な美しい踊りでした。
ストーリーは特にないようですが、非常に品の良い、しゃれた感じに好感をもちました。
 
ただ、「ラ・バヤデール」→「レ・ランデヴー」→「チェックメイト」という演目の順序は、少し考えた方がよいかもしれません。というのは私の席の周りに「レ・ランデヴー」が終わったところで、帰ってしまった人がいたからです。観客を最後まで繋ぎとめておくには、よく知られた演目を後ろにしたほうが、良いような気がします。「レ・ランデヴー」→「チェックメイト」→「ラ・バヤデール」の順にしたら、どんなものでしょう。

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