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藤木明美さんのCD「孤独の歳月」 (2004.9.23)
「リベルタンゴ」という曲、私は、今まで知りませんでした。9月中旬の日曜日、バレエダンサーのJUNさんが、横浜・関内ホールで踊られたバレエの音楽がこれでした。この日、私の目当ては、彼女のもう一つの演目の「
瀕死の白鳥」であり、この「リベルタンゴ」には、正直、あまり期待していませんでした。実際、怪我を克服しての感動的な踊りとなった「瀕死の白鳥」に比べ、この「リベルタンゴ」は、それほど記憶に残らなかったのです。しかしながら、純クラシックの踊りが主体だったJUNさんの新しい分野への挑戦には拍手を贈りたいと思います。とは言え、やはりJUNさんには純クラシックの踊り方が似合うように思います。「今度はもう少し練習して短いスカートでトゥシューズを履いて『リベルタンゴ』を踊ってみようかと思います。」というJUNさん、やはり純クラシックの踊りが、ご自身に最も相応しいと思っておられるのでしょう。ドン・キ・ホーテのキトリのような赤い鮮やかなチュチュを付けて、軽快にポアントで踊るJUNさんの姿が目に浮かびます。
そんなJUNさんのバレエ「リベルタンゴ」でしたが、なぜかこの曲が耳に残っていました。「これがタンゴ??」・・・、今まで南米の情熱的なイメージしていたものと、遙かに異なった旋律とリズム。アストル・ピアソラという人の曲だそうですが、激しいながらも、優雅さ、上品さが漂っています。
私が良く行く横浜駅の駅ビル内のレコード店で、いつもの通り、クラシックレコードを探していたとき、ふと、この「リベルタンゴ」を見つけました。アルバムのタイトルは「孤独の歳月」。演奏は藤木明美さん。JUNさんの踊りに使われたCDです。ケースの藤木明美さんの美しい写真につられて??、衝動的に買ってしまいました。早速、聴いてみたところ、これがなかなか良いのです。
ピアソラという作曲家、「タンゴをベースにしつつも常に時代の先端を行く音楽づくりを目指しており、その結果、彼の音楽はタンゴにとどまらずクラシック・ジャズ・ロックなど様々な要素が入り乱れたものとなっている」とのこと。初めて聴いたとき「これがタンゴ??」・・・と感じたのも頷けます。
さて、このCD、魅惑的な藤木明美さんの演奏で、ピアソラの美しい曲がたくさん入っていますが、特に印象に残ったものについて、触れておきます。
「リベルタンゴ」:リベルタンゴとは、libertad(自由) + tango (タンゴ)に由来する造語だそうです。情熱的な激しさ溢れる旋律ですが、「タンゴ??」というイメージとは違います。むしろ、優雅さ、上品さを感じます。躍動的なピアノの音色が美しい。
「ミケランジェロ」:「最後の審判」「ダビデ」の巨匠の名をとった?ミケランジェロは、ライブハウスの名前とか。ボレロのように、ピアノが単純なメロディの繰り返すことで、躍動感が高まっていきます。
「孤独の歳月」:このアルバムの題名にもなっている曲ですが、哀愁を帯びたなんとも言えない情感が漂う静かな曲。藤木明美さんの、音楽への真摯な情愛が、静かに、時に激しくひろがっていくのが感じられる美しい演奏です。
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