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雪の立山黒部アルペンルート            (2009.6.2)

黒部峡谷〜立山黒部アルペンルートを旅してきました。ここは昨年(2008)秋にも来たのですが、駆け足でゆっくり見れなかったのと、 冬景色と雪の大谷ウォークが楽しみたいということで、今回もう一度来ることにしたのです。 また、前回は新幹線以外はバスが主体でしたが、今回は、北越急行、JR北陸本線、富山地方鉄道と、鉄道を乗り継ぐのも楽しみの一つでした。

月日 内容 宿泊地
第1日 5/28(金) 東京駅(8:48発)上越新幹線→越後湯沢駅→北越急行・JR北陸本線→魚津駅→富山地方鉄道→宇奈月温泉駅=宇奈月駅→黒部峡谷鉄道トロッコ列車→鐘釣駅→黒部峡谷鉄道トロッコ列車→宇奈月駅=宇奈月温泉駅→バス→宇奈月温泉(17:00〜18:00着) 宇奈月温泉
第2日 5/29(金) 宇奈月温泉(9:00発)=称名滝=立山駅=立山ケーブルカー=美女平駅=立山高原バス=弥陀ヶ原=高原バス=室堂駅(標高2450m・日本最高位の駅)→ 雪の大谷ウォーク 室堂 
第3日 5/30(土) 室堂駅=立山トンネルトロリーバス=大観峰=立山ロープウェイ=黒部平=黒部ケーブルカー=黒部湖 → 黒部ダム=関電トンネルトロリーバス=扇沢駅=バス=上田駅=長野新幹線=東京駅(21:20着)  


 
第1日(5月28日(木))東京→黒部峡谷→宇奈月温泉
    午前8:52 東京駅発の上越新幹線(とき311号)で越後湯沢駅へ。 10:48 越後湯沢駅からJRの特急(はくたか6号)に乗り換えて魚津駅へ。JR西日本の681系ホワイトウィングの「はくたか」は、越後湯沢から直江津までは、北越急行ほくほく線の線路を 狭軌最高速度の160Km/hで走り、直江津からJR北陸本線に入り、12時半に魚津駅に着きました。 魚津で富山地方鉄道に乗り換え宇奈月へ向かいましたが、この車両は、何と、かって西武鉄道で特急レッドアロー号として活躍していた5000系でした。 レッドアロー号が10000系に置き換わって、5000系はここで余生を送っているのです。車内で昼食を食べ、宇奈月駅へ着いたのが13:15頃でした。
    特急「はくたか」(JR西日本681系ホワイトウィング) 前方6両は金沢行・後方3両は和倉温泉行

    富山地方鉄道の電車入線

    車両はかつての西武鉄道5000系

    西武鉄道時代の5000系レッドアロー号

    宇奈月温泉駅から黒部峡谷鉄道の宇奈月駅は徒歩で数分。発車時間まで駅前にある資料館を見て、トロッコ電車に乗り込みました。
    黒部峡谷鉄道・宇奈月駅 黒部ダム資料館

    黒部峡谷鉄道は、一般旅客向けのトロッコ列車が運行される観光鉄道ですが、元々は電源開発のための専用鉄道であり、 現在でも沿線にあるダム・発電所への資材運搬列車や、関西電力関係者専用列車も運行されているそうです。 1937年に登山客や一般観光客からの乗車希望が絶えなかったので、便乗という形で乗車を認めることにしたのですが、 この時乗客に発行した「便乗券」(乗車券)には、「生命の保証をしない」旨が書かれていたそうです。 その後、乗客の増加に伴い、地元の強い要望から、1953年(昭和28年)地方鉄道法による免許を受けて、 正式な鉄道路線として営業を開始し、1971年(昭和46年)に関西電力から分社化され、黒部峡谷鉄道となったとのことです。 トロッコ電車には、4種類の客車がありますが、前回私達の乗ったのは窓なしのオープン車両で開放感を味わいましたが、 今回は窓着きのリラックス車両。気温がまだ低いこともあり、これで正解でした。小さな重連の電気機関車が急勾配を力強く引っ張っていきます。
    トロッコ列車(鐘釣駅) 機関車とリラックス車両

    前回は、9月で、紅葉がまもなく始まる頃でしたが、今回は初夏。明るい緑の中を列車は進んでいきました。

    前回見た景色を思い出しながら、改めて車窓から景色を眺めること約60分、鐘釣駅で下車。 鐘釣駅は、相対式2面2線のホームを持つ、列車交換対応駅で、 他の駅がダムや発電所関連施設のために設けられているのに対して、観光客向けの純然とした旅客駅で、有人駅です。 前回は、直前の大雨で流れてしまって見ることは出来なかった万年雪は、今年は残っていました。 駅の近くの万年雪展望台で万年雪を見てから、黒部川の河原に降りて水に触れてみましたが、思ったほど冷たくない。 近くにわき出している温泉が流れ込んでいるからだそうです。
    万年雪 黒部川の河原

    黒部峡谷鉄道の終点は、鐘釣駅よりさらに20分先の欅平駅ですが、ここから宇奈月駅へ引き返し、宇奈月温泉駅からバスで宿泊地の宇奈月温泉へ向かいました。

    宇奈月は古くからの温泉地で、黒部峡谷の黒薙温泉からのお湯をひいているそうです。 源泉は80度ですが、宇奈月に着くと60度に下がるそうです。1日3000tの豊富な湯量を誇ります。 宿は、延楽。川合玉堂中川一政らの芸術家が滞在したとか。 気品ある器に盛られた料理や、窓の外の渓流の響きが快かった。
    宇奈月温泉・延楽 ホテル前を流れる黒部川

 
第2日(5月29日(金))宇奈月温泉→室堂
    二日目は、宇奈月温泉→立山黒部アルペンルートの立山側の旅。
    立山黒部アルペンルートは、富山県中新川郡立山町の立山駅と長野県大町市の扇沢駅を結ぶ大規模な山岳観光ルートで、 北アルプスの大自然を、ケーブルカーやロープーウェイ、トロリーバスなどを乗り継いで楽しめます。 前回は黒部側から入りましたが、今回は立山側からです。
    立山黒部アルペンルートは、以下の交通機関と徒歩ルートから構成されています。
    ・立山駅〜美女平駅:立山黒部貫光立山ケーブルカー
    ・美女平駅〜室堂駅:立山黒部貫光立山高原バス
    ・室堂駅〜大観峰駅:立山黒部貫光無軌条電車線(立山トンネルトロリーバス)
    ・大観峰駅〜黒部平駅:立山黒部貫光立山ロープウェイ
    ・黒部平駅〜黒部湖駅:立山黒部貫光黒部ケーブルカー
    ・黒部湖駅〜黒部ダム駅:黒部ダム堰堤上を徒歩連絡
    ・黒部ダム駅〜扇沢駅:関電トンネルトロリーバス

    黒部ケーブルカーは全線がトンネル内であり、立山ロープウェイは途中に支柱を1本も設けていません。 これらは自然環境に配慮した結果とのこと。さらに立山高原バスはディーゼルバスからハイブリッドバスへの移行を進めており、 既に大多数が移行を完了したとのことです。

    宇奈月温泉よりバスで立山駅へ行く途中、天然記念物で、日本の滝百選にも選ばれている称名滝へ立ち寄りました。高さ350メートルの見上げるような高さから落下する大瀑布に圧倒されました。しかも、称名滝の右側に雪解けの季節のみ現れるという高さ500メートルのハンノキ滝も見ることができました。 昨年、立山高原バスの「滝見台」というところで、木々の間から、称名滝が見えるはずでしたが、霧に隠れて見えなかったので、今回間近に見ることが出来感動でした。
    称名滝とハンノキ滝


    称名滝の近く、称名川の左岸に、悪城の壁という断崖が見えました。難攻不落を意味する壁は、長さ2キロ、高さ500で、 称名川が溶岩台地を10万年かけて浸食したものだそうです。この後、立山国際ホテルへ立ち寄り昼食をとり、立山駅へ向かいました。
    悪城の壁




    13:00時頃、立山駅に着き、そこからケーブルカーに乗り替えて美女平をめざします。距離1.3km、標高差およそ500m。 最大勾配29度の下を見ると思わず足がすくむような急勾配を登っていきました。美女平からは、立山高原バスに乗って、室堂へ向かいました。立山高原バスは、環境保護のためハイブリッド仕様。 約1,500mの標高差があるため、車窓から見える風景が、初夏からだんだん冬の終わりに戻っていくように感じられました。

    美女平を出てまもなく、左手に直径2メートルもありそうな杉の巨木が立っていました。美女平には、このような多くの タテヤマスギが生育しているそうです。 滝見台でバスが一時停止しました。 木々の間から、先ほど見てきた称名滝が見えました。前回は全く見えなかったのですが、今回はラッキーでした。
    タテヤマスギ滝見台からの称名滝




    約1時間で、室堂に到着。室堂は、標高2450mの立山黒部アルペンルートの最高所です。さすがにまだ寒い。雪の大谷ウォークを体験。 地獄谷まで行きたかったのですが、時間の関係で、みくりが池で引き返しました。みくりが池の名前は、神様の台所=御厨に由来するという説が有力だそうです。宿泊は、日本最高位のリゾートホテルであるホテル立山。
    雪の大谷

    みくりが池

    みくりが池温泉と地獄谷

    第3日(5月30日(土))室堂→黒部ダム→東京

      早朝、大観峰から御来光を拝むツアーがあったので申し込んでおいたのですが、天候不良のため中止。残念でした。 しかたなく、ホテルの近くから、日の出を拝みました。
      日の出

      ホテル立山


      朝食後再び、みぐりが池の近くまで行きましたが、はい松の間の道で思いがけなく雷鳥に出会いました。 雷鳥の体の色は、冬は白、夏は茶の保護色ですが、今の時期は、腹は白、背中は茶という変色の途中でした。 人間を恐れていないようで、近づいても逃げず、ゆっくりとカメラに収めることができました。
      雷鳥とはい松


      室堂ターミナルから、立山トンネルトロリーバスに乗り大観峰に向かいました。 立山トンネルトロリーバスは、正式には「立山黒部貫光無軌条電車線」と言うそうです。 公共の乗り物駅としては、日本でもっとも高所(2,450m)を走るトロリーバスです。 全区間、立山直下の立山トンネルの中を通り、対向車とすれ違う交換所のところが、立山山頂直下だそうです。 15分ほどで大観峰駅に到着。よく晴れていて、大観峰展望台からは、眼下に黒部湖、その向こうにそびえる針ノ木岳、赤沢岳などの後立山連峰がよく見えました。
      大観峰より黒部湖、後立山連峰を臨む


      1時間ほどして、ロープウェイに乗り込みました。 景観保護を考え、支柱がないワンスパン方式の立山ロープウェイは、黒部平のロープウェイの駅まで、全長1,702m高度差500m。下っていくにつれて、新緑が目立ってきます。 途中で下りのゴンドラとすれ違いましたが、その速さに驚きました。10分余りで黒部平に到着、ここで昼食をとりました。
      黒部平


      黒部平駅より、黒部ケーブルカーで最終目的地の黒部ダムへ向かいました。黒部ケーブルカーは、景観の保護と雪害防止を考えて、日本で唯一、駅舎もトンネル内にある日本で唯一の全線トンネルを走るケーブルカーです。 片道0.8km、高低差373m、最大勾配31度ですが、軌間はJR在来線と同じ1067mmです。5分ほどで、黒部ダムに到着。

      黒部ダムは、富山県東部の黒部川上流に建設されたアーチ式コンクリートダム。 発電に利用する水を確保することを主目的として関西電力によって建設されました。 ダムの高さ(堤高)は186mで日本一を誇り、現在でも破られていない日本を代表するダムのひとつです。 総工費は、当時の関西電力資本金の5倍という金額の513億円。作業員延べ人数は1,000万人を超え、 工事期間中の転落やトラック・トロッコなどによる交通事故等による殉職者は171人ということで、 いかにダム建設工事が苦難を極めたのかがうかがえます。放水は、6月末からということで、今回はみれませんでしたが、上流の真っ青な黒部湖と下流の新緑の谷の美しい景色を堪能しました。
      黒部湖とダム下流の谷

      黒部ダム


      黒部ダムから、関電トンネルトロリーバスで、扇沢駅へ向かいました。 赤沢岳の真下を貫く関電トンネルは、黒部ダム建設時に資材搬送用トンネルとして掘削されたもので、 途中に富山・長野県境と、難工事の末突破した破砕帯があります。 トロリーバスは、屋根から伸びた2本のトロリーポールで天井の架線から電気を取り入れて走り、 排気ガスの出ない、無公害交通機関です。 外観はバスに近いですが、日本の法令上は無軌条電車とされ、鉄道として扱われています。 トロリーバスは複数台連なって走り、1車線ですが、トンネル内信号所で対向車とすれ違っていました。 20分足らずで、扇沢駅へ到着。 扇沢駅からバスで上田駅に向かい、19:26 長野新幹線(あさま544号)で東京への帰途に着きました。


      今回は、「日本最高標位の天空ホテルに泊まる、ゆっくり立山黒部アルペンルート・トロッコ列車絶景8つの日本一を巡る3日間」というパッケージ・ツアーを利用しました。
      このツアー、♪♪ゆっくり立山黒部アルペンルート♪♪ということが売りでしたが、東京駅発、8:48と余裕の出発に始まって、 宇奈月、室堂で宿泊という、宣伝文句の通り、ゆっくりと、無理のないスケジュールでした。 宇奈月に泊まったことで、室堂に早く着き、雪の大谷のウォーキングを存分に楽しむくとができましたし、この日も翌日も、室堂をゆっくり散策することができ、ラッキーなことに、天延記念物の雷鳥にも出会うことができました。往復の新幹線はグリーン車、在来線は特急、ホテルも一流・・・、と豪華で、ツアーとしてはかなり高額でしたが、それだけのことはありました。 添乗員の半澤さんの、私たちへの心配りがとても有り難かった。ご本人は「雨にも負けず、風にも負けず、嫁にも行けず、頑張っている」と言っておられましたが、 とても親切に、適切な誘導をしてくれました。この仕事が楽しくてたまらないというようで、生き生きとした仕事ぶりが美しかった。今後も、「良い相手を見つける」ことも合わせて、頑張って欲しいと思います。

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