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長島伸子 クリスマス・コンサート2006      (2006.12.24)

今年も赤坂のサントリーホールで、ソプラノの長島伸子さんによるクリスマスの曲を集めたコンサートがありました。 長島さんの歌と司会、一昨年と同じウィーン・サロンオーケストラの共演という楽しいコンサートでした。
 
ウィーン・サロンオーケストラは、ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団(ウィーン国立国民歌劇場)の第一コンサートマスター、 ウド・ツヴェルファーを中心に「クラシック音楽を気軽に」をモットーとして結成された室内管弦楽団でとのこと。 ツヴェルファーと彼の12名の演奏家たちは、「活気溢れた自発性を持ち、作品に対して忠実かつ透明度の高い響き」という演奏スタイルで、 10年以上も共に活動し続けているそうです。その演奏は、端整で美しく魅力的で、クリスマスに相応しい「喜び」「平和」「静けさ」を奏でてくれました。
 
長島伸子さんは、オペラ出演はもとより、N響、読響等のコンサートにも多数出演している二期会のソプラノ。かって、NHKテレビの「歌のお姉さん」も 勤めたという、クラシック畑ながら、温かみの感じられる、とても美しい女性。ピュアな声質は、文字通り「天使の歌声」。 クリスマス・コンサートは、彼女ならではの演奏会というところでしょう。
 

 ホール前のクリスマスツリー
今回は、「音楽の国シリーズ 第3回"フランス"」と副題がついたコンサート。
第1部は、「フランスの音楽」。 一曲目と二曲目はシャンソン。長島さんは美しく歌い上げて下さいましたが、正直のところ、この二曲は、あまり記憶に残っていないのです。 むしろ清らかな天使のような長島さんの声質には、異質のジャンルのように感じました。 でも、つぎのドビュッシー、フォーレ、アーンの三曲はとても素晴らしかった。 ピアノだけの伴奏で、他のオーケストラのメンバーの演奏はお休みでしたが、メンバー全員が、うっとりと長島さんの歌声に聞き入っているようでした。 長島さん、フォーレを歌うことは珍しく、今回の為に勉強されたとのことですが、新しいことに果敢に挑む意欲、とても偉いと思います。 見習わなければ・・・、と思いました。 続いては、得意のオペラのアリア。ホフマンの舟歌とミカエラのアリアをしっとりと、また、宝石の歌を楽しく歌い上げて、第一部を終わりました。
第二部、長島さんは、シックな黒のドレスから、可愛らしい真っ赤な衣装に着替えての登場。 第二部、最初はモーツァルトのモテット「踊り、喜べ、幸いなる魂よ」。 この曲は終盤のアレルヤが有名で、この部分だけ歌われることが多く、長島さんのCDにも、これだけ入っています。 今回、長島さんは全曲を歌って下さいました。コロラトゥーラ・ソプラノの歌とオーケストラの協奏曲と言われる通り、独唱者の力量が問われる難曲です。 長島さんは、ボロボロになった楽譜を携えて恩師のもとで最終チェックをされたとか。 彼女のようなベテランでも、リサイタルの為には、大変な勉強をして準備をし、その結果として、 私達観客が感動する歌を聞かせることができるのだと、胸が熱くなりました。 全曲を歌いきるには、大変な体力と精神力が必要ですから、きっと長島さんは歌い終えて、相当に疲れておられたと思いますが、 そんな様子は少しもみせず、この後に続くクリスマスの歌を全て完璧に歌い終えたは、本当に立派なことだと思います。
最後は長島さんが最も好きと言っておられる「オーホーリーナイト」。この曲は、バレエ「ジゼル」の作曲家、アダンが作ったものですが、 彼女のクリスマスコンサートで毎年歌われています。 終了近く、長島さんは涙ぐんでおられたようで、今回はことのほか、心のこもった最高に素晴らしいステージでした。
長島さんがステージから消えても拍手はおさまらず、しばらくして場内が真っ暗になると・・・・、 クリスマスツリーがバッと浮かび上がるという心にくい演出。 灯りがついて再び長島さんが登場。オーケストラの一人一人と握手してから、静かに「清しこの夜」を歌い、舞台の奥へ消えていきました。 もう一度出てきて欲しいな・・・と余韻を残しながらの幕切れでした。
サントリー・ホールを出ると師走の寒気が見にしみましたが、長島さんの歌った「踊れ喜べ、幸いなる魂よ」を口ずさみながら、家路を急ぎました。
また、来年のクリスマス・コンサートが楽しみです。
 
長島 伸子/ウィーン・サロンオーケストラ
2006年12月20日(水)サントリーホール
コベール・ジロー:パリの空の下セーヌは流れる
ピエール・ルイギー:バラ色の人生
ドビュッシー:星の夜
フォーレ:夢の後に
アーン:わが歌に翼ありせば
オッフェンバック:ホフマンの舟歌(喜歌劇「ホフマン物語」より)
ビゼー:もう恐れはせぬ(歌劇 「カルメン」より)
グノー:宝石の歌(歌劇 「ファウスト」より)
モーツァルト:モテット:「踊れ喜べ汝幸いなる魂よ」 K.165
レーガー:マリアの子守歌
讃美歌:ああベツレヘムよ
讃美歌:神の御子は
アダン:オー・ホーリーナイト

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