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仲道郁代さんのピアノリサイタル     (2003.3.2)

横浜の「みなとみらい小ホール」で行なわれた、仲道郁代さんのコンサートに行ってきました。このコンサート、先日バレエの公演を見に行ったとき、チラシをもらって知ったのですが、仲道郁代さんの演奏は好きですし、私の自宅・横須賀から「みなとみらい」は遠くないし、ということで、チケットを買いました。
 
「みなとみらい小ホール」は、四谷の紀尾井ホールから、1階と2階のバルコニー席を取ったような感じで、400席と小さいながらも、ヨーロッパの貴族たちのサロンを思わせる上品な作りの演奏会場です。ピアノのリサイタルのような小規模な演奏会には最適といった感じです。
 
1987年頃、「エリザーベート・コンクール」のライブCDを聴いて、仲道郁代さんが好きになり、幾枚かのCDを買いました。でも、彼女の「生」の演奏を聴くのは、今回が初めてです。「春の音楽夢語り」と副題のついたこのリサイタル。曲目は、ベートーヴェンのソナタ、シューベルト、シューマン、ショパンの小品といった、ポピュラーなもの。
 
それにしても、仲道さん、なんと気持ちの良い方なのでしょう。ステージへ出てきただけで、可憐な一輪の花が咲いたようで、フワッと空気が変わりました。第一部の休憩をはさんで、第二部にコスチュームを変えて現れた彼女、客席の女性たちから「わあ〜」というため息を誘いました。「おしゃれ」に気を配り、自分のよさをさりげなく表していくことは、大切なこと。彼女が、演奏家は「音」だけでなく、「スター性」も必要だということをよく心得ておられると感じました。
 
もちろん、ピアノの演奏も最高。ひたむきに演奏する姿は心を打たれますし、演奏できることが嬉しくてたまらないといった気持ちが伝わってきます。
終盤、ショパンのバラード第1番のあと、同じショパンのポロネーズ第6番を休みなしに続けて演奏、バラードで高まった感動が、そのままポロネーズまで持続し、さらに高まりをみました。この演出は実にうまいと思います。演じる方は大変でしょうが、彼女の自信の表れでしょう。
アンコールでは3曲も。へとへとに疲れてても、観客へのサービスを忘れない。この気丈さ、さすがプロですね。
ニッコリ微笑んで、「聴いてくれてありがとう!!」と感謝の気持ちを表情に表して深々と頭を下げる仲道さん。内から自然に出てくる性格のよさ、礼儀正しさ・・・、一層、彼女が好きになりました。
 
この演奏会、彼女がご自分のHPに書いていた「もっと、もっとたむさんの人が音楽を愛して、人を愛して、平和で穏やかな世界になってほしいものです。」という言葉そのままというような、この上なく、気持ちの良い、贅沢なひと時でした。
 
  3月1日(土)横浜みなとみらいホール
  仲道郁代 ピアノ・リサイタル
  ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番ハ短調OP.13「悲壮」
  ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調OP.27-2「月光」
  シューベルト:即興曲変ホ長調OP.90-2
  シューマン:幻想小曲集OP-12 
    夕べに/飛翔/なぜ/気まぐれ/夜に/寓話/夢のもつれ/夢の終わり
  ショパン:バラード第1番ト短調OP.23
  ショパン:ポロネーズ第6番変イ長調OP.53「英雄」

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