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ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート2004    (2004.1.3)

今年も元旦にはテレビでウィーンフィル・ニューイヤーコンサートを観て過ごしました。
ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートは、毎年恒例のウィーン楽友協会ホールでの演奏会。今年も、オーストリアの放送局から、世界の国々へ放送衛星を使って生中継されました。
 
毎年、著名な指揮者を招いてのニューイヤーコンサートですが、今年は、リッカルド・ムーティの指揮でした。ムーティが振るのは四度目だそうです。それだけウィーンフィルの演奏者達の信頼が厚いのでしょう。
花でいっぱいに飾られたウィーン楽友協会のステージでは、例年とうり、とても楽しい演奏が繰り広げられました。私は数年前、ウィーンを訪れたことから、このウィーンでのニューイヤーコンサートをとりわけ感慨深く、随所に映し出されたウィーンの街の景色を懐かしく思って観ていました。
リッカルド・ムーティはオペラの指揮者として有名ですが、このニューイヤーコンサートは、ウィンナワルツやポルカが中心ですから、オペラとは違って、リラックスして指揮していたように思いました。ただ、やはり彼の生真面目さが特に第一部については強く感じられました。ニューイヤーのお祭りですから、もう少し軽い遊びがあっても良かったのではと思いました。 何といっても今回は、最後近くに演奏ゥされたヨーゼフ・シュトラウスの「天体の音楽」につきます。雄大なワルツが会場いっぱいに鳴り響きました。続いて演奏されたヨハン・シュトラウスの「 突進ポルカ」との連携も見事でした。
またバレエはホセ・カレーニョ。マニュエル・ルグリ、ウラジミール・マラーホフ、そして昨年は、キーロフ劇場のアンドレイ・メルクリエフでしたので 今年は誰かなと楽しみにしていたところ、ホセ・カレーニョでした。カレーニョは、現在アメリカン・バレエシアター所属のダンサー。ラテン系のダンサーで情熱的な踊りをします。今回も、「加速度円舞曲」を優雅に踊り、見事な回転を披露していました。彼は、パドドゥでの女性のサポートがとても上手なダンサーだと思います。かって「アメリカン・バレエ・シアター・ナウ」というビデオで、スーザン・ジャフィーと 「白鳥の湖」から「黒鳥のパ・ド・ドゥ」を踊った映像をみましたが、出演前、ジャフィは相当緊張していたようで、カレーニョに腰を支えられて、ピルエットの練習を繰り返す彼女の表情は、こわばっていました。でも、カレーニョのリードに頷いて、手を握り合って、ステージに駆け込んでいきました。 アダージョでのホセ・カレーニョの相手の動きをよく見た丁寧な暖かいサポートは、本当に気持ちがよかった。ジャフィは、カレーニュのサポートに安心しきったようで、不安な表情は消えていました。このアダージョ、「助け合う気持ち」の、微笑ましさに溢れていました。ジャフィは「ホセは力強くて理想的なパートナー。しっかり支えてくれ、私は安心して踊れます。」と言っていました。今回も女性ダンサー(相手はジモーナ・ノヤだと思います)を暖かくリードしていました。
このバレエが踊られたウィーン国立歌劇場とウィーン楽友協会ホールとは一キロほど離れています。ダンサーからは指揮者のタクトは見えず、中継回線で送られてくる音楽をたよりに踊っているのですが、とても良く音楽に合っていました。 ただ、カレーニョをはじめ男性ダンサーはバレエシューズでなく革靴で、激しいバレエの動きにはやや踊りにくそうでした。女性ダンサーがトゥシューズだったので、男性も革靴でなく、バレエシューズの方が良かったように思います。
 
ニューイヤーコンサートは、1940年代クレメンスクラウスの時代から毎年ウィーンで行われてきました。ウィリーボスコフスキー、カラヤン、メータ、アバド、クライバー、ムティ・・・、歴代の大指揮者がステージに立ちました。一昨年は日本の小沢征爾が振り、この時のCDはベストセラーになりました。昨年は、アーノンクールでした。
ニューイヤーコンサートは、最初は空輸された録音テープを用いて、東京オリンピックの頃、NHKのFM放送で放送されました。次に、FMによる音声生中継。
このあと録画されたビデオテープによるテレビ放送。次いでBS生放送。そして、数年前からBSディジタル放送によるハイビジョン生中継と発展してきました。
それにしても、地球の裏側で行われているニューイヤーコンサートを、同じ時間に日本に居ながらにして、ハイビジョンの高画質で観ることができるなんて、本当に素晴らしいことだと思います。
 
思えば、ケネディ大統領が暗殺されたダラスからの衝撃的な映像で幕をあけたテレビの衛星生中継。 それから、約40年、世界のコンサートやオリンピックのような競技の生中継など、世界中のできごとを即座に全世界にテレビで知ることができるようになったのです。情報技術の進歩には改めて驚嘆せざるを得ません。



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