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子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」:沖香菜子、東京バレエ  (2013.08.13)

東京バレエ団の子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」を観てきました。オーロラ姫は、午前は沖香菜子、松野乃知の若手カップルと、午後は上野水香、柄本弾のプリンシパルペアでしたが、迷うことなく午前の回にしました。 上野水香は「6時のポーズ」のようなギエムばりのテクニックを備えボレロで定評がありますが、気品が第一のオーロラ姫にはチョットと感じていたので、初々しい沖香菜子に期待したのです。
 
子供向けということで、上演時間は休憩を含めても1時間10分。東京バレエ団の公演ですから第二幕の幻影の場はいつもどおり全てカット。それ以外にも、第一幕はリラの精のヴァリエーション以外はバッサリとカットしていました。
 
プロローグ・第1幕。花のワルツが終わって、沖香菜子の登場。小柄だが身体のバランスが綺麗。大きな目が印象的。16才のオーロラらしい可愛らしさがあり、はじけるようなパドシャやステップが若々しく、とてもフレッシュな感じでした。
 
ローズアダージオは、最初のアチチュードのバランスも、プロムナードも、手をアンオーまで高々と上げたのは立派。 昨年の初演(2012年3月)では手を離すのが精一杯で、横滑りくらいしかできなかったということなので格段の進歩。稽古の賜物でしょう、偉い!!。 プロムナードの二人目のバランスでグラっとしたけれど、必死に堪えて、破綻なく踊りきりました。 バランスもピルエットも、まだ男性陣の手を頼りにしている感じで余裕はなかったようですが、笑顔を絶やさなかったのは流石です。 ローズアダージョに続くオーロラ姫のヴァリエーションはすべてカットしてしまっていたが、これはやりすぎ。 ヴァリエーションのはじめのディアゴナールではオーロラの足の美しさを強調できるし、アラベスクやピルエット×4や、同じステップの繰り返しといった見せ場の多い部分なので、残してほしかった。 続く、カラボスの毒牙に犯される部分の沖香菜子の演技はとても迫力があって上手でした。 倒れこんだ沖香菜子。ハァハァと息を弾ませ大きく上下する胸には、汗がにじんでいました。
 
第二幕、松野乃知とのグラン・パ・ド・ドゥ。見た目も可愛らしい2人でした。 デジレ王子の松野乃知は、背も高いし、サポートも上手だし、ヴァリエーションもいいし、今後が楽しみ。 沖香菜子の踊りはとてもしなやかで美しい。アラベスク・パンシェでは楽々と180度を越えて開脚できるほどの体が柔らかい。柔軟性は彼女の最大の武器だ。 どんなに体が柔らかいかは、東京バレエ団のブログに紹介されています。( こちら→こちら→ ) かといってシルビー・ギエムや上野水香のように、それを誇示するような下品な嫌らしさはなく、上品で可愛らしい仕草には、彼女の育ちのよさが感じられます。 初々しいローズ・アダージオから気品のあるグラン・パ・ド・ドゥへと、オーロラの成長を感じさせてくれて、とてもいい感じでした。
 
沖香菜子は、踊りのスケールは大きくないし、ローズアダージオもグラン・パ・ド・ドゥも男性のサポートを頼りにしているような頼りなさを感じたけれど、 かっての吉岡美香のオーロラ姫を思わせる、とても品のよい踊りで将来が楽しみ。ぜひ、もっと精進して技術を向上してもらいたいと思う。 ただし、この舞台、主役以外は見るものなし。期待していたリラの精の高木綾も、フロリナ王女の乾友子も、無難な踊りという以外、印象に残らなかった。
 
子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」
オーロラ姫:沖香菜子、デジレ王子:松野乃知
リラの精:高木綾、カラボス:奈良春夏
カタラビュット(式典長):岡崎準也
フロリナ王女と青い鳥:乾友子、岸本秀雄
 
2013年8月9日 めぐろバーシモンホール
1時間10分

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