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パ・ド・カトル:中村明代、田所いおり、藤井直子、井神さおり (2001.10.8改)
パ・ド・カトルの初演は、19世紀中頃、ドニゼッティの歌劇「アンナ・ボレナ」の幕間に上演されたそうです。
当時、短編バレエが、オペラの幕間に踊られることが多かったようです。
この時の踊り手は、マリア・タリオーニ、カルロッタ・グリジ、ファニー・チェリート、リシル・グラーンという
当時の大スターたち。振り付けは、ジュール・ペロー、音楽は、ザール・プーニ。彼が手がけたバレエの為の音楽は300を下らないと言われています。
高名な舞姫が四人も集まったのですから、踊る順序のことで、喧嘩になってしまったのも当然でしょう。
4人ともプライドが高く、自分が最高だと思っていて、自分が最後を踊るのだと、聞かなかったそうです。
そこで、劇場の支配人ラミリーは、「年長の方に最後を踊って頂きましょう」と言ったところ、4人とも、どうぞ、と最後を譲り合ったとのこと。女性の心理を考えたうまい解決法ですね。
私のコレクションは、グラーン役ガッドゥ、グリジ役キスラー、チェリート役テーレホア、タリオーニ役アナニア・シヴィリで、1993年の来日公演のもの。世界を代表するバレリーナによる踊りを一度に堪能できる、とても貴重な映像だと思います。
ガッドウのジャンプ、キスラーの切れのいいターン、茶目っ気一杯のチェリート、年長格としての風格のシヴィリ、と楽しめます。
二つ目は、グラーン:上野水香、グリジ:井脇幸江、チェリート:小出領子、タリオーニ:吉岡美佳という東京バレエ団のスターダンサーによって、
斎藤友佳理の記念公演「ユカリューシャ」で踊られたものです。
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これは、グラーン役の上野水香以は優雅さの面で?ですが、他の三人は理想的な配役のように思います。
また、もう一つ、グラーン:中村明代、グリジ:田所いおり、チェリート:藤井直子、そしてタリオーニ:井神さおりという、若々しく美しい日本のダンサー達の、素敵なアンサンブルです。
優雅な雰囲気の中村明代、きらめくステップの軽やかな田所いおり、躍動感溢れる可愛らしい藤井直子、あでやかな中にも細やかな井神さゆり。
19世紀の初演の時は、ライバル意識見え見えで、観客よりは相手が気になっていたようだったとのことですが、
この4人の踊りはそんなところは少しも感じられず、にこやかな笑顔で、それぞれが自分の持ち味を生かして丁寧に美しく踊っていて、
微笑ましさが感じられる、美しい踊りです。
ピンクのロマンティック・チュチュが優雅に揺れて、アンサンブルこそこの作品の命というところを感じさせ、大好きな映像の一つです。
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