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パ・ド・シス

フロレスタン王とお妃様の間に待望の子供が生まれ、お城で祝宴が開かれます。侍従長のカタラブットは満足げにお祝いの招待客リストに目を通し、準備万端といった様子です。国中の妖精が立会人として招かれ、それぞれ美しさ、強さ、優雅さ、雄弁、活気、知恵をオーロラ姫誕生の贈り物として授けます。コールドを従えた6人の妖精による パ・ド・シスと呼ばれる有名な踊りで、贈り物は、@水晶の泉の精が「美しさ」、A魅惑の庭の精が「強さ」、B森の聖地の精は「優雅さ」、C歌い鳥の精は「雄弁」、D黄金のぶどうの木の精は「活気」、そして最後のEリラの精は「知恵」です。私は、この6人の妖精たちの踊りを見るときは、6人のダンサーがこの「贈り物」をどんなにふうに踊りと顔の表情で表現しているかを楽しみに見るようにしています。
 
バレエ公演では、ベテランが踊るリラの精は別格として、他の5人の妖精は経験の浅い若いダンサーに任せることが多く、それだけに初々しい踊りを見ることができます。経験が浅いだけに、失敗しそうでハラハラすることもありますが、プレッシャーと戦いながら懸命に踊る姿は清々しく、「頑張って!!」と応援したくなるものです。踊り終わってほっとした笑顔を見ると「無事終わって良かったね」と声をかけたくなります。また、リラの精は、最後のコーダでは、イタリアン・フェッテで締めくくります。体力的にも相当きつい難しい踊りで、ヴァリエーションでの緊張に次ぐ過度の疲労から、上半身と下半身のバランスが崩れてよろけてしまう人もいて、観客は「頑張って!!」と、手に汗握って見守る場面です。

「眠り」というとローズアダージョやグラン・パ・ド・ドゥだけに目が行きがちですが、この妖精のパ・ド・シスも可愛らしい素敵な踊りの一つだと思います。

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