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バッセルの「パコダの王子」      (2001.1.3)

 
正月の休みに、ロイヤルの「パコダの王子」のビデオを観て、感動を新たにしたので掲載します。
バコダの王子は、世界的な舞踊家・振付師、ケネス・マクミランにより作られたバレエです。
1990年、ロンドンのコヴェントガーデン王立歌劇場で初演されました。
音楽はベンジャミン・ブリテン。主役はダーシー・バッセルとジョナサン・コープ。
 
このバレエは、チャイコフスキーの「眠りの森の美女」を強く意識しており、登場人物のローズ姫と4人の王子も、「ローズ・アダージョ」に似ています。
 
またマクミランは、ローズ姫にはマーゴ・フォンティーンへの思いがあっようで、彼は次のように言っています。
「彼女の頭が首の上に座るさま、絶妙な身のこなし、花のある音楽性・・・。単に技術という意味ではオーロラを踊った優れたダンサーは枚挙にいとまがないが、彼女ほど理想的なオーロラを表現した人は今日まで出現していない。・・・私自身はプティパのスタイルを作り上げようとしたのではない。しかし若いダンサーにやりがいのある役を少しでも多く創造したいと考えた」
やりがいのある役とは、マーゴ・フォンティーンのオーロラ姫であり、若いダンサーとはダーシー・バッセルをさしていたのだと思います。
私は、1973年頃、フォンティーンが東京バレエ団に客演してオーロラ姫を踊ったのを観ましたが、決してテクニックを駆使するような派手なところはないのに、とても丁寧で、とても品があって、やはり誰も真似の出来るものではないと思いました。 【マーゴ・フォンティーンの「眠りの森の美女」】
マクミランは、当時まだ20歳の若きダーシー・バッセルに、かつてのマーゴ・フォンティーンを夢見て、この役を抜擢したに違いありません。
 
バッセルもマクミランの期待にこたえて、とても素敵な踊りでした。
ロイヤル生え抜きの秘蔵子として大事に大事に育てられたバッセル。
春風のように大らかな上に上品で、このローズ姫にぴったりです。
体は大きいけれど可愛らしい。こんなところもマーゴ・フォンティーンに似ています。
気品に満ちて、ロイヤルの他のプリマと一味違うこのバッセル。
良家のお嬢さんを思わせる雰囲気に、ロンドン子が夢中になるのも分かるように思います。
 
現在は、押しも押されぬロイヤルのプリンシパルですが、このパコダの王子のビデオは、そんな彼女のういういしい姿を観ることができる、貴重な作品だと思います。
なお、1999年末のコヴェントガーデンの新装オープンのガラコンサートで、バッセルは「ローズ・アダージョ」を踊りました。これはテレビ中継もされましたが、素晴らしい踊りで、録画して大切にしています。 【ダーシー・バッセルのローズ・アダージョ】

 
 

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