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アンセルメ指揮ファリャのバレエ曲「三角帽子」 (2003.10.1)
バレエ「三角帽子」は、スペインの作曲家マニュエル・デ・ファリャ(1876〜1946)の作品です。この曲は、ファリャが40歳のとき、ロシア・バレエ団を率いるディアギレフから依頼されて作曲しました。バレエのために書かれた作品ですが、バレエは上演されることは稀で、むしろコンサートでよく演奏され、スペインの地方色豊かな色彩感や、洗練されたオーケストレーションが見事です。
バレエは、スペインの小説家アラルコンが、アンダルシアの民話から取材して書いた小説「三角帽子」をもとにしたもので、美しい粉屋の女房、彼女に言い寄る三角帽子をかぶった市長、そして嫉妬深い彼女の亭主が巻き起こす喜劇です。初演は、1919年、ロンドンのアルハンブラ劇場で、バレエリュッス(ロシア・バレエ団)によるもので、振付はレオニード・マシーン、舞台装置と衣装はパブロ・ピカソ、オーケストラの指揮はエルネスト・アンセルメでした。「母が危篤」の電報を当日受け取ったファリャは、急ぎロンドンを離れたため、初演の成功を目にできなかったということです。
エルネスト・アンセルメ指揮スイスロマンド管弦楽団のアナログLPレコードがあります。
アンセルメは、この曲の初演者だけあって、色彩豊かな音づくりのうまさ、巧妙なリズムの扱いが見事な名演だと思います。冒頭のメゾ・ソプラノ、テレサ・ベルガンサの悩ましい歌声が花を添えていて、若々しいダイナミックな演奏が展開します。アンセルメの指揮はラテン系の豊かな感性に、数学者としての緻密な計算が融合しているおり、近代現代の管弦楽曲の色彩感と造形を見事に描き出す指揮者の一人だと思います。
1960年代の古いものですが、現代の最新のディジタル録音に勝るとも劣らない、英国DECCA社のFFSS録音の音のよさで、LPレコードにもこんな美しい音が入っていたのかと驚かされます。
ファリャ作曲:舞踊音楽「三角帽子」
歌劇「はかない人生」〜間奏曲と舞曲
エルネスト・アンセルメ指揮スイスロマンド管弦楽団
テレサ・ベルガンサ(メゾソプラノ)
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