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車両接近通報装置       (2010.11.1)

プリウスは、低速走行時に電気モーターだけで走るため、「周囲に走行音が聞こえにくく、歩行者にとって危険だ」という声が多いと聞きます。実際、私も旧型(20型)プリウスを運転していて、細い路地をゆっくり走って人や自転車を追い越そうとしたとき、車の接近に気付いてくれなくて、ハラハラしたことがありました。かと言ってクラクションを鳴らして驚かしたくないし・・・。そんなわけで、私は先日買い換えた新型(30型)には、人工のモーター音を発生させる「車両接近通報装置」を付けて納車してもらいました。
 
車両接近通報装置の音は国土交通省のガイドラインに基づいて作られたとのことですが、このガイドラインがいかにもお役所の役人が作った文章という感じで、漠然として何とも分かりにくい。ガイドラインでは、「車両接近通報装置は、少なくとも車両の発進から車速が20km/h に至るまでの速度域及び後退時において、自動で発音するものとする」。また「発音される音は、車両の動作を認知しやすいようにするものとする。音量は、内燃機関のみを原動機とする車両が時速20km で走行する際に発する走行音の大きさを超えない程度のものとする」と言ったぐあいです。「具体的に何デシベルの音量で、どんな音色にしなさい」と書かれていないので、きっと、このガイドラインに沿って製品を開発することになったメーカーは、苦労したに違いありません。

インターネットには、こんな装置は不必要だとか、音が気に入らないとか、値段が高いとか、否定的な意見も載っていますが、個人的には、実際に狭い道を走行してみると、2〜3メートル近づいて歩行者が振り向いてくれたので、それなりの効果はあるように思います。ガイドラインにある「車両の動作を認知しやすいようにするものとする。」という目的は一応達せられているようで、設置料込み25,000円という値段はやや高い気はしたものの、付けて正解だったと思っています。ただ、住宅地での使用に配慮したせいか控えめの音量なので、せめて5メートル手前から歩行者が気づくように、もう少し大きな音にしてもらいたいし、音色は、私の好みからするともう少し明るく華やかさが欲しい気がします。ともあれ、歩行者への配慮は、ドライバーの義務ですから、私は、音のしないHV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)には、車両接近通報装置の設置を義務付けるべきだと思います。いずれメーカーは、新型のHV車やEV車には標準で装着すると思いますが、歩行者の安全を重視する上では、今走っているHV車についても、これが付いていないと車検を通さないくらいにして、設置を義務付ける方向に持っていく方が良いような気がします。

 車両接近音を停止するスイッチ
 (車の再パワーオンで停止解除)


(参考)ハイブリッド車等の静音性に関する対策のガイドライン (2010年1月国土交通省)
    
ハイブリッド車や電気自動車等は、低炭素化社会を進める上で普及促進を図ることと されており、近年急増傾向にあり、今後さらなる増加が見込まれている。 一方、これらの自動車は構造的に音がしなくて危険と感じるとの意見が、ユーザーや 視覚障害者団体から寄せられたり、一部の専門家からも指摘されている。 このため、「ハイブリッド車等の静音性に関する対策検討委員会」から報告された静音 性に関する有効な対策の普及を図るため、内燃機関が停止状態、かつ、電動機のみによ る走行が可能な電気式ハイブリッド自動車、電気自動車及び燃料電池自動車に備えるべ き「車両接近通報装置」の要件を下記T.のとおり示す。
    
T. 車両接近通報装置の要件
1. 定義
「車両接近通報装置」とは、歩行者等に車両の接近等を知らせるため、次の2.及 び3.に示す一定の要件を満たす車両に備えるための発音装置をいう。
2.作動条件
(1) 発音の方法
車両接近通報装置は、少なくとも車両の発進から車速が20km/h に至るまでの 速度域及び後退時において、自動で発音するものとする。ただし、内燃機関を有 する車両にあっては内燃機関が作動しているときには発音を要しない。 なお、後退時に警報を発する装置を備えている車両にあっては、後退時に車両 接近通報装置による発音を要しない。
(2) 一時停止スイッチ
車両接近通報装置には、当該装置を一時的に停止させる操作装置(以下「一時 停止スイッチ」という。)を設けることができる。 ただし、一時停止スイッチを設けた場合には、車両接近通報装置が停止してい ることを運転者席の運転者に表示する装置を備えること。
3.発音の種類及び音量
(1) 発音される音は、車両の走行状態を想起させる連続音であるものとする。この 場合において、以下の音又はこれに類似した音は不適当なものとする。
@ サイレン、チャイム、ベル及びメロディ音、A 警音器の音、B 鳴き声等動物や昆虫が発する音
C 波、風及び川の流れ等の自然現象の音、Dその他常識的に車両から発せられることが想定できない音
(2) 発音される音は、車両の速度に応じて、音量又は音程が自動的に変化するなど、 車両の動作を認知しやすいようにするものとする。
(3) 音量は、乗用自動車、貨物自動車等それぞれの用途において内燃機関のみを原 動機とする車両が時速20km で走行する際に発する走行音の大きさを超えない 程度のものとする。
 
U. 使用過程車等への普及方策
使用過程車への対策の早期普及の観点から、車両接近通報装置としての要件全ては 満たさないが、少なくともT.3.(1)及び(3)の要件を満たす発音装置(操作装置により 発音するものにあっては、1 回の操作によりT.3.(1)の音が5秒以上継続して発音する ものであり、かつ、その操作装置は運転者が定位置において容易に識別及び操作がで きるようにするものに限る。)であれば、車両の接近を知らせる簡易的な装置として 備えることができるものとし、具体的な音量等については、より詳細な検討を行った 後に別途示すものとする。
 
V. ガイドラインの取り扱い
このガイドラインについては、技術開発の状況等を踏まえ適宜見直すものとする。


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