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ロミオとジュリエット〜パ・ド・ドゥ:下村由理恵、篠原聖一   (2004.7.4)

下村由理恵・篠原聖一夫妻による「ロミオとジュリエット」から、バルコニーの場でのパ・ド・ドゥの映像があります。10年ほど前に「バレエ誕生」という番組で放送されたものです。当時下村由理恵さんは、英国のスコティッシュ・バレエに居られ、帰国した合間に撮影されたものです。まだ20代後半だと思います。「下村由理恵は役にのめりこむバレリーナだ。」と鈴木晶さんが書いておられたのを見たことがありますが、このロミオとジュリエット〜パ・ド・ドゥを見ると、本当にそんな感じがします。下村さんは、踊り進むにつれ感情が高まってきたようで、終盤では本当にジュリエットになりきっているように感じます。下村さんはジュリエットが好きで踊り甲斐があると言っておられましたし、スコティシュ・バレエは演劇性を重視するということで(バレリーナのアルバム(新書館))、このジュリエットの下村さんは、ダンサーを超えた演技派女優という感じがします。
終わりに近く、二人が抱き合い顔を見合わせるシーンがありますが、下村さんと篠原さんは、熱い口づけを、本当に交わしています。お二人はおしどり夫婦として評判ですが、このキス、踊っているうちに、お二人の感情が高まって自然にこうなってしまったという感じで、実に微笑ましいのです。芝居・・・という感じではなく、心底ロミオを愛している姿を「地」でいっているという感じなのです。フォンティーン、フェリ・・・・など、ジュリエットの映像を見ましたが、パートナーと唇を触れあっても、やはり演技という感じをぬぐい切れませんが、この下村さん・篠原さんのキスは本物なのです。相思相愛のご夫婦だからこそ、こんなシーンも演じられるのでしょう。下村さんは、スコティシュ・バレエから一時日本に帰国した時、時差ぼけでふらふらしていても、篠原さんと組むとすぐうまく踊れてしまったそうです(バレリーナのアルバム)。それだけお互いのクセも何もかも分かり合っているのでしょう。口づけ後ロミオの目を見つめる下村さんの眼差しがまたなんとも魅力的。感激して夢見ているようで、汗のにじんだ胸は大きく波打って、彼女の心臓の鼓動が聞こえてくるようでした。
 
「バレエ誕生」は、毎週土曜日の深夜2時から30分間、テレビ東京で放送されていました。神奈川県の新興住宅地に作られたテアトル・フォンテのステージで撮影して、当時の若いダンサー達の踊りを、紹介していました。
下村由理恵さんの、「眠りの森の美女」、藤井直子さんの「くるみ割り人形」、森本由布子さんの「黒鳥」、荒井祐子さんの「海賊」、酒井はなさんの「ディアナとアクシオン」、平山優子さんの「エスメラルダ」・・・・など、今でもよく、ビデオを取り出して楽しんでいます。
この番組、スポンサーが倒産したからという理由で1年程でなくなってしまったのです。
素敵なテレビ番組「バレエ誕生」、是非復活して欲しいものです。

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