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新国立劇場「ラ・シルフィード」「パキータ」のテレビ放送  (2003.8.8)

2003年6月の新国立劇場「ラ・シルフィード」と「パキータ」の公演の映像が、NHK教育テレビで放送されました。私は6月28日に観にいきましたが、この放送は初日6月27日の録画。ステージを思い出しながら放送を見ていましたが、テレビですとアップで映る場面があって、ダンサーの表情や技術が良く見えて、これはこれで楽しいですね、 同じ演目で同じダンサーでも、日の違いで、いくつか異なった感じがしたところもありました。
まず、「ラ・シルフィード」。主役の志賀三佐枝は、この日もタリオーニを思わせるように、とても繊細で軽やかで妖精そのものという感じでした。 そして正確で美しい細やかなブーレは、カメラのアップによって、劇場で見た時よりもよくわかりました。見事にコントロールされた踊りは絶品です。
ジェームス役は、小嶋直也に替わって、デニス・マトヴィエンコ。志賀さんとのパートナーシップは、小嶋直也と同様、微笑ましささえ感じるほどピッタリでした。
この二人以外で特に目に付いたのが、第二幕で第一シルフを踊った湯川麻美子。 私が劇場で見た時には、それほど印象に残りませんでしたが、この日は、表情がほんとうに穏やかで美しく、絶好調という感じでした。ジゼル第二幕の場面のように、アラベスクのままゆっくり回転するところは、足元に回転台があるかのように、実に滑らか。また、アラベスクのまま足を高く上げていく難しいポーズも、支えの脚がしっかりとぐらつかずに、バッチリ決めて見事でした。
 
第二部の「パキータ」は、主役のヴィシニョーワとコルプも他のソリスト達も皆、私が見た日に比べ、とても頑張って良かったように思います。ヴィシニョーワとても素敵でした。女王然とした貫禄と気品を備え、しっとりとした中にもすごい技術を楽々とこなしながら踊る姿にうっとりしていました。登場のところから他の人と全然違います。
また、「ラ・シルフィード」の第一シルフでも素敵だった湯川麻美子が、この「パキータ」でも見事な踊りを見せてくれました。 彼女はこの日の方が、はるかに調子が良かったのでしょう。劇場で見た日には、イタリアンフェッテの途中、トゥで立った軸足が崩れてボロボロだったけれど、今回は破綻なく踊りきりました。 歯を食いしばって、笑みを忘れて、必死に難しいフェッテに挑戦。何としても難しい技を 成功させるんだという意気込みを感じました。踊り終わって、満面の笑みが爽やかだった。 無事踊りぬいた安堵感から自然に毀れるダンサーの笑顔、ほんとうに美しいものです。 一緒に踊ったその他の日本のダンサー達も、この日は安泰。劇場で見た日には安定感を欠き、バランスの乱れなど、いくつかミスが目立っていました。
 
NHKが、日本のバレエ団の公演の放送してくれたのはありがたい事。今後も、今や外国に少しもひけをとらない優れた日本のバレエ団やダンサーの踊りを積極的に放送してくれることを期待します。
 

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