2011年12月に収録された、ロイヤルバレエの「眠りの森の美女」から、プロローグの6人の妖精のヴァリエーションの映像が、YouTubeに載っていました。
6人の妖精のヴァリエーションは、オーロラ姫の誕生祝に招かれた妖精達が、オーロラ姫が愛される女性に育つようにと、
優しさ、呑気、勇気等・・・の人柄や資質をプレゼントしてくれる踊りです。
妖精たちの性格を表現したとてもしゃれた踊りですが、ロイヤルバレエの初々しいダンサー達が出演していて、とても楽しめました。
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この中で、3番手に登場した、森のしじまの精(鷹揚)の金子扶生の踊りが際立っていました。
大阪府吹田市にある地主薫バレエ団で学んだ金子扶生は、2008年ヴァルナ国際バレエ・コンクール・ジュニアの部・第1位、
2009年モスクア国際バレエ・コンクール・ジュニアの部銀賞、2010年ジャクソン国際バレエ・コンクール・ジュニアの部銀賞という実力者。
ロイヤルバレエには、2011年に入団したばかりということで、ソロを踊るのは異例の抜擢というところでしょうが、
スリムな均整の取れたプロポーション、表情は穏やか愛らしく、 踊りは、丁寧で柔らかく上品で、タメるべきところしっかりタメて、
回るところは無理なくスムーズに回って・・・、心温まる踊りに、うっとりとして眼を離せませんでした。
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腕や背中はもとより胸部の表現も細かく美しいし、ふっくらとした太ももから、ほのかに立ち昇るような色香が優美さを引き立てていました。
ロイヤル・バレエの大御所アンソニー・ダウエル直々の指導を仰いだそうで、「ロイヤル・エレガンス」とはまさにこのことでしょう。
恩師の地主薫さんの言葉に「金子扶生は一言でいうとのんびり屋さんという感じで、子供の頃は細いけど条件が揃っているとは言えませんでした。
物凄い努力家で稽古を重ねて成長していきました。」とありましたが、
のんびり屋のおっとりながら努力家という性格の良さが、優雅で上品な「森のしじまの精」の表現で開花したというところでしょう。
終始穏やかな笑顔で、非の打ち所の無い魅力的な踊りなのです。2018年にファーストソリストに昇進したそうなので、オーロラ姫を踊ることも、そう遠くはないでしょう。
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次いで、先頭の「クリスタルの泉の精」の崔由姫の踊りが良かった。ポール・ド・ブラが、この上なく美しい。国籍は北朝鮮ですが、北九州の
真弓バレエスクールに学び、2002年スイスローザンヌ国際バレエコンクール1位受賞して、
翌年ロイヤルバレエに入団したという、これまた実力者。彼女は3幕で青い鳥のパ・ド・ドゥも踊っていますが、こしらも実に愛らしく、軽やかで、優しさ一杯で、とても素敵でした。
リラの精のクレア・カルヴァートは、きちんと踊っているけれど、リラの精にふさわしい威厳や包容力が今一の感じだし、ピンクと白のチュチュは少し違和感を感じてしまった。やはりリラの精は薄紫のほうが良いと思います。
この時、タイトルロールのオーロラ姫を踊ったのは、ロイヤルでは数少ない生え抜きのバレリーナのローレン・カスバートソン。ローズアダージオでは、とても緊張していたようでバランスが不安定で、幾分危なっかしくてハラハラさせられるところがありながら、初々しく、優雅というか、おっとりとして品がいいというか、控えめでやさしげな雰囲気で、コジョカルやタマラロホのような出稼ぎ外人にはない育ちのよさを感じ、どこか、往年のマーゴ・フォンティーンを思い出させるところがあります。
この映像は、DVDやBulueLayでは出ていないようですが、発売して欲しいものです。
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