これは、1995年頃「バレエ誕生」というテレビ番組で放送された映像で、横浜市泉区の「テアトルフォンテ」にビデオカメラを持ち込み、当時の新進バレエダンサーを紹介していたものの一つで、オーロラ姫は佐々木三夏、王子は呉竹伸之による眠りの森の美女〜第3幕のパ・ド・ドゥです。10数年以上も前の映像でお二人とも若く初々しい。
佐々木三夏さんは、力を入れて曲げたら折れてしまうのではと思わせるほど、ほっそりとした華奢な体型、だからといってギスギスした感じではなく、静かな物腰、理知的な雰囲気で、私の抱いているオーロラ姫にぴったりのイメージでした。踊りは、繊細で上品でとても感じの良いものでしたが、カメラを強く意識していたのか、相当の緊張がみられ、表情がとても固く、最後まで笑顔は見られませんでした。このパ・ド・ドゥは、結婚式での嬉しさ一杯の踊りです。佐々木さんは、技術的にはとてもしっかりしているようで、容姿もとても美しいのですから、自信を持って、もっと明るい表情で華やかに踊ってくれたら良いのにと思いました。 特に一人で踊るヴァリエーションでは、不安で胸がいっぱい・・・という険しい表情。「失敗しないように・・・」踊り抜くのが精一杯という感じで、全体に小さくまとまってしまったのは否めませんが、「無事終わって良かった!」と深々とお辞儀する姿が可愛らしかった。最後の、二人のコーダは軽快に跳ばし、フィニッシュのピルエットをピタリと止めて踊り終えたときは、さすがにホッとしたのでしょう、安堵の表情を見せました。
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相手役の呉竹伸之さんは、サポートがとても上手で、佐々木三夏さんの動きを良く見て、しっかりサポートしていたのが印象に残りました。デリケートにウェストを支えて、佐々木さんが完全にバランスを確保したのを見届けてそっと手を離す・・・・理想的なサポートと思いました。 アダージョ終盤近くの見せ場、佐々木さん、右足ポアント立ち、右手で呉竹さんに掴まって、プロムナード。右腕がギクギク揺れて必死にバランスをとっているのが伺えます。
そして、呉竹さんの手を握りしめて、左足を120度近く挙げたアラベスク。ふらつきを懸命に堪えて頑張った佐々木さんの努力に拍手。佐々木さん、呉竹さんを信じ切って身を任せているという感じで、微笑ましい。ただ、お目当ての3度のフィッシュダイブを除いてしまったのは残念でした。果敢に挑戦して欲しかった。ともあれ初々しい二人の心温まるデュエットでした。
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