お気に入り)のバレエ作品

眠りの森の美女〜ローズアダージョ
「眠りの森の美女」第1幕でオーロラ姫が四人の王子から求婚のバラを受ける場面で、バレリーナの至芸をたっぷりと味わうことができる場面です。 バレリーナが片足で立ったままサポートの男性の手を離して長くアチチュードのバランスをとり続けるところは、数あるクラシックバレエの中で最も高度な技術を要する至難な踊りとされています。 女性が片足の細いトーシューズの先で立ってアチチュードのまま長くバランスを保ち、女性は男性が替わるたびに手を離し、支えを失ったままじっと堪えていなければなりません。 サポートの男性と息が合わないと、バランスが不安定になりがちで、バレリーナが恐怖を感じ最も緊張する所です。
ポーランド国立バレエ団プリンシパルの影山茉以さんのローズアダージョのバランスの稽古の映像です。 彼女は、自分でできるぎりぎりまでバランスをとり続けました。揺れ動く体を必死に堪えてバランスを維持する健気な姿。感動的です。 後方に伸ばした足がグラグラして、今にも崩れそうになりながらも、懸命にバランスを辛抱強く持ちこたえ、途中幾度か体が傾いてもグッと堪えて、50秒近くの長い間バランスをとり続けたのです。 彼女は『集中力を高めるのに効果的』『辛抱強く』『これが本番で出来ればね』とinstagramにコメントしていました。 本番の舞台の映像も載っていましたが、これも素晴らしい踊りでした。これだけ精魂こめて稽古したからこその結果でしょう。彼女の弛まぬ努力にリスペクトです。
バランスの稽古(影山茉以)(Instagram)
ローズのバランスの本番(影山茉以)

もう一つ、とても感動した素敵なロースアダージョの稽古の映像がYouTubeに載っていました。 タイトルは、『[Sleeping Beauty] with Minami channel』。『世界3大バレエの1つ「眠れる森の美女」より第1幕。 1人でローズアダージオを踊ってみた』とコメントがついています。登録者はMinami Watanabeさん。
ひとしきり踊って、お目当てのアチチュードのバランス。ここはサポートの男性の手を放してバランスをとる振付のところですが、『1人でローズアダージオを踊ってみた』とコメントしている通り、なんとサポートなしに一人でバランスに挑戦しています。
両足のポアントで立ってから、右足の爪先だけで支えて、左足を後方に挙げて行きます。45度ほど挙げたところで伸ばした左足が上下に大きくグラリ・グラリ。 「ヤバい!。崩れる!」と目が釘付けなりました。 堪えきれず崩れて破綻となるかと思いきや、そこがこの人の偉いところ。 ポアントで立った右足首を前後に巧みに動かして、必死に体の揺れを抑えたのが凄い。思わず「頑張って、堪えて!!」と叫びたくなりました。 彼女、そのまま懸命に持ち堪えて、15秒ほどバランスを取り続け、見事に悪夢の破綻を回避したのです。「よく頑張った。素敵!」と祝福したくなりました。 さぞかし苦しい稽古を積んで獲とくした高度の技術なのでしょう。このバレリーナの努力に感動です。
それにしても、このダンサーの爪先、何と美しいことか。研ぎ澄まされた爪先の先端から円やかなカーブを描く甲。まさに芸術品です。この映像のYouTubeの登録者の名前「Minami Watanabe」をクリックすると、『Minami Watanabe』のページが開きますが、ウェブサイトには自己紹介などのコメントは記載されていません。 インターネットを探したら、Minami channel in Ulan-udeと、渡邊美菜実のページが見つかりました。 彼女、「スタジオマーティ」バレエ教室の教師のようです。 「Eurassian Ballet Competition in Ulan-ude パドゥドゥ部門ファイナリスト」との記述があり、Minami WatanabeさんはUlan-Udeで踊った動画もアップしているので、Minami Watanabeさんは渡邊美菜実さんなのでしょう。 もし人違いであったら御免なさい。

ジゼル〜第二幕 アダージョ
ジゼル〜第二幕のアダージョにも、見ごたえのある、難しいバランスのシーンがあります。
バレエを志す女性が、『いつかは踊りたい』と夢見るジゼル。 中でもウィリとなったジゼルのソロのパート。パッセからバットマン・デヴロッペ、アチチュードでのプロムナード…アラベスク・パンシェへと、今にも崩れそうなバランスの連続のアダージオの冒頭は、観客の視線を一身に集める華麗で見ごたえのあるシーンです。 もともとトウシューズは、爪先で立つことに特化して、靴底は極めて細くできている為、靴底で体を支えのには向いていない。 こんな靴底のトウシューズを履いて片足で立ち、他方の足を挙げていくのだから、足元は不安定になりがち。 ギクギクする足元を必死に堪え、他方の足を極限まで挙げていく舞姫の努力は大変なもの。 『危ない!!、気を付けて!!』と観客が固唾を呑んで見守る中、『堪えるのヨ!。持ちこたえるのヨ〜!!』と自らに言い聞かせて、険しい表情でひたむきにバランスの限界に挑むバレリーナの姿は健気で美しく感動的で、観客はハラハラ・ドキドキ手に汗を握りながら『頑張って!!』と激励と賞賛の拍手をおくります。
影山茉以さんが、このバランスを稽古している映像が、instagramに載っていました。彼女は、「何度稽古しても難しい。安定!!」とTweeterで言っていましたが、必死にバランスを持ちこたえて稽古に励む姿に感動です。
死力を尽くして頑張っている人間の表情ほど美しいものはありません。 彼女の努力に頭が下がります。
そんな努力を積んだからこそ、本番の舞台には、自信をもって臨めたのでしょう。
ジゼル第2幕のアラベスク・パンシェの稽古
( 影山茉以さん)。『頑張って!!』
ジゼル本番のパンシェ〜プロムナード
( 影山茉以)。『お見事!!』