【トップページへ戻る】
諏訪内晶子のチャイコフスキーコンクール・ライブ映像 (2005.9.25)
大切にしている一枚のレーザーでディスクがあります。1990年に諏訪内晶子さんが第9回チャイコフスキー国際コンクールのヴァイオリン部門で第一位になったときの映像です。収録されているのは、第一次予選からバッハの「シャコンヌ」、第二次予選よりサラサーチの「カルメン幻想曲」、そして本選より、パガニーニの「ヴァイオリン協奏曲第一番」とチャイコフスキーの「バイオリン協奏曲ニ長調」です。
この世界的な大コンクールで日本人が優勝は初めて、しかも18歳の最年少優勝という快挙は、当時音楽の枠を越えた大ニュースとして報道されました。
このコンクールは、6月中旬から7月初旬までの1ヶ月間。彼女はモスクワ入りしてから風邪をひいてしまい、38度の熱に悩まされそうです。解熱剤を飲んで、熱をおさえながらの予選出場でした。しかし演奏は素晴らしい出来で、その美少女ぶりとも言えるルックスの良さとともに会場の人気を独占。決勝では体調も無事回復し、自分でも「私はどこに行ってもすぐにその雰囲気になじんでしまうので、今回も楽しき弾けました。」といえる名演奏に、繰り返しカーテンコールかかったそうです。
この快挙で一躍、諏訪内晶子の名は日本中に知れわたったのですが、19991年に彼女は演奏活動をいったん打ち切ってしまいます。「まだまだ私には学ぶべきことが沢山ある!」と、ニューヨーク留学を決意。ジュリアード音楽学院で約4年間バイオリンのさらなる研鑚をつみ、コロンビア大学でも政治学など音楽以外の勉強にもとりくんでいたとのことです。
1995年から演奏活動を再開した彼女は、99年からパりに拠点を移し、ヨーロッパを中心に着実な活動をつづけています。
この映像の4曲はどれも見事な演奏ですが、中でもチャイコフスキーの「バイオリン協奏曲ニ長調」は見事です。第2楽章の繊細な表情も落ち着きがあって、精緻で隙のないスケールの大きな演奏は、満場の喝采を受けるにふさわしい素晴らしさです。
さらに、超絶技巧の超難曲と言われるパガニーニの「ヴァイオリン協奏曲第一番」も、安定したテクニックで、鮮やかに演奏し、観客の大きな拍手を誘っていました。 彼女は、この曲を2001年に
ペーター・シュナイダー指揮のイタリア放送交響楽団と共演していますが、ストラディヴァリウス「ドルフィン」を使った、10年後のこの演奏と聞き比べるのも興味深いものがあります。
演奏 諏訪内晶子(ヴァイオリン)
管弦楽 モスクワ・フィルハーモニー交響楽団
指揮 パヴェル・コーガン